The Moments
With You 1976 " Moments With You " Stang 1030/ LP |
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僕が初めて"スウィート・ソウル"というジャンルを知ったのは、達郎さんの「サウンド・ストリート」の"スウィート・ソウル特集"でした。それまでソウルと言えば、スライやJBのようなゴリゴリのファンク、アレサやオーティスのような南部系、ドリフターズやレイ・チャールズのようなR&Bといった"泥臭い音楽"というイメージしか抱いていなかったので、最初に聴いた時は「こんなに甘美で洗練されたソウルがあるのか・・・」という新鮮な驚きでいっぱいだったのをよく憶えています。で、その特集でかかった中から、特にお気に入りの曲を手帳にメモして、ある日僕は、"現地買い付け盤を常時放出中" とミュージック・マガジン誌に広告が載っていた、西新宿のとあるソウル専門店へと向かったのです。
でも、この当時(80年代半ば頃)のソウルのオリジナル盤は結構高くて。色々置いてあったものの、その日は財布と相談した結果、何も買わず(買えず?)に寂しく帰宅。家で、エア・チェックした"スウィート・ソウル特集"のテープを何度も繰り返し聴いていました・・・。 |
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それからしばらく経ったある日、"2,000円以上のレコを買うのはめったにない、3,000円以上のレコなんてとんでもない"貧乏学生だった僕に、「どうしても手に入れたいっ!」と思わせ、再びあの西新宿のソウル専門店へと向かわせる一大決心をさせる、そんな素敵な曲と出会ったのです。その曲とは、 Momentsの「I Don't Wanna Go」(もちろん「サウンド・ストリート」で知りました)。
その店にて、この曲が入っている『Moments With You』というタイトルのアルバムをシールドにて購入(確か3,800円ぐらいした)。さっそく家に帰り針を落としてみると、その「I Don't Wanna Go」が入っているA面の4曲全てが極上のバラード・ナンバーばかりでビックリ!しかもどれもすごくいい曲!"これぞスウィート・ソウル!"といった感じの雰囲気が最高で、もう本当に幸せでした。しかも、表題曲の「With You」は、達郎さんがライヴでカヴァーしている音源が、当時「サウンド・ウィズ・コーク」という番組で流れたりしてて、もちろんこちらも大好きに・・・。 |
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調子にのり、レコード盤をひっくり返して今度はB面を聴いてみると、A面とは一転して、アップ・テンポの退屈なナンバーばかりで、これまたビックリ!(苦笑)・・・以来A面ばっかひたすら愛聴する毎日です。ちなみに、プロデュースは、A面が Sylvia Robinson で、B面が Moments 自身。「With You」「I Don't Wanna Go」という二大傑作ナンバーを含むA面4曲の作詞は、Burt Bacharach とのコンビでも知られる Carol Sager。また、「I Don't Wanna Go」の作曲は、AOR系シンガー・ソングライターの Bruce Roberts で、彼自身のソロ・アルバム『Bruce Roberts』(77年)収録の作者ヴァージョンも、SSWテイストの素晴らしい仕上がりで一聴をオススメします。 という訳で、僕の"ハジ・スウィート・ソウル・レコ"の『With You』。76年発表の、Moments としては後期の作品で、代表作の『Not On The Outside,But On The Inside,Strong!』なんかと比べると見劣りする作品かも知れませんが、そんな思い出と共に僕の手元にある、忘れられない一枚なのです。
(木村ユタカ) |