Teddy Randazzo

Big Wide World

1963-1997 " The Ultimate Compilation of All Labels "
Marginal MAR028/CD





 この大きな広い世界、2人は偶然に知り合い、恋に落ちる。
その奇跡の一瞬を歌った、Teddy Randazzo 自作自演による美しいバラード。

 Teddy Randazzo は、1937年、ニューヨーク生まれで、イタリア系移民の一家で育ちます。幼い頃からアコーディオンがうまくて、1955年に仲間の Tommy Romano (guitar) と Russ Gilberto (bass) といっしょに、Three Chuckles というグループを結成。「Two Times I Love You」 (1955) や「And The Angels Sing」 (1956) と小ヒットを放ちます。その後、Teddy のラテン風の舌をまくる早口な歌い方やそのツイスト・ダンスなどの身のこなし方に女性中心に人気が高まり、ソロとしても、「Little Sernerade」などをリリース。
 Teddy は容姿端麗、なかなかのハンサムボーイだったので、当時流行りのロックン・ロール・ムービー『The Girl Can't Help It』(1956年、邦題「女はそれを我慢できない」)などにも出演。青春映画『Rock, Rock, Rock』(1956年)、『Hey, Let's Twist』 (1961年)では主演をこなし、当時は映画スターとしてもかなり人気があったようです。
 ちなみに『Rock, Rock, Rock』は、Teddy 以外にも Frankie Lymon や Chuck Berry、Johnny Burnette、La Vern Baker、Connie Francis らが競演。相手役の Tuesday Weld の歌声は、共演者の Connie Francis がアテていたようです。


 1960年、ABCレコードからリリースした、Barry Mann-Howard Greenfield コンビによる、「The Way of A Clown」が全米トップ50に入るヒットとなります。
 この頃の逸話で、Barry Mann と Cynthia Weil との出逢いに、この Teddy Randazzo が関わっていたというのは有名な話。
 その後も自作による「Dance To The Locomotion」などのツイスト・ダンスナンバーをリリースしますが、1963年に COLPIX より、自作の素晴らしいラブ・バラード、本作品「Big Wide World」をリリースします。この曲が彼の転機となったと思われ、この頃から Teddy の作る曲の曲調は一変、それまでのツイスト・ダンスナンバーから壮大なバラード曲中心になっていきます。
 その後、Teddy は職業作曲者、編曲者、プロデューサの道を歩むことになります。 まず、Don Costa の率いるレーベル DCP の専属作曲者、プロデューサとなり、ティーンエイジャー Doo Wop グループからイージーリスニング・ボーカルグループに脱皮を図ろうとしていた、Little Anthony And The Imperials を手がけ、その後の我々が知るところの 「Goin' Out Of My Head」、「Make It Easy On Yourself」、「Hurts So Bad」など、Teddy Randazzo らしい流麗で荘厳なアレンジ、切ないバラードナンバーを次々と生み出していくことになります。

 その後の彼は完全に"スタッフ"として音楽人生を歩むことになり、The Royalettes 、The Manhattans 、Joe Simon 、The Stylistics などブラックミュージックを中心に手がけています。
 煌びやかなロックンロール・スターだったミュージシャンが、このように一流の作曲者、アレンジャー、プロデューサーとして転進したのは他にあまり例がないことで、以前、達郎さんが竹内まりやさんの音楽経歴(ニューミュージックの歌手から本格コンポーザーへの転進)に準えて説明されたことを印象深く覚えています。


 Teddy Randazzo、2003年11月21日、永眠。
 本土アメリカではひっそりと伝えられた訃報でしたが、日本国内では、達郎さんがSSB で「Teddy Randazzo 特集」を組んだくらい、お馴染みのミュージシャン。
 彼の作ったラブ・バラードは、これからも永遠に世界を駆け巡ることでしょう。

Yes it’s a big wide world we live in
but I can’t believe it’s true
Out of everyone in this whole wide world
I fell in love with you…

(" Big Wide World "(Randazzo-Weinstein-Barberis)より)

(富田英伸)


(" The Ultimate Compilation of All Labels "裏ジャケット)



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