2003/1/12 Sunday Song Book「新春放談 part2（ゲスト:大滝詠一）」

山下達郎/Ride On Time(TV Edit)  1980 Single/2003 *1
小泉今日子+大瀧詠一/怪盗ルビイ  1989 Single/2002『KYON3』
辛曉琪/幸せな結末   2001 *2
羅勲児/熱き心に    1987 *3
羅文/熱き心に    19?? *4
大瀧詠一/空飛ぶくじら(LIVE)  1976 神戸サンダーハウス *5

*1 テレビ・エディット・ヴァージョン。
*2 Winnie Hsin(ウィニー・シン)という台湾の女性シンガー。
*3 ナフナという韓国の男性シンガー。日本語ヴァージョン。
*4 ローマン・タムという香港の男性シンガー(昨年亡くなったそうです)。中国語
   ヴァージョン。
*5 神戸の三宮の地下にあったサンダーハウスでのライヴ。

内容(長いですが完全書き起こしではありません)

・前置き

  「新年恒例の大瀧詠一さんをゲストに迎えての新春放談2回目。大瀧さんとは今
  年で付き合い30年目。この新春放談も来年で20周年。」

  「1月19日から放送のTBS日曜劇場「GOOD LUCK!!」(木村拓哉主演)の主題歌に
  「RIDE ON TIME」が決定。今回シングル・カットが予定されているが、マスタ
  リングを近代的に施し、音圧上げまくりのニュー・リマスターで登場。」

・キョンキョンとのデュエットの件

  達：去年はもう1個キョンキョンの。あれはいきなりどうしたんですか？
  詠：あれはね、人に提供した曲っていうのは僕はあんまりやってないんですよ。
      基本的には。「夏のリビエラ」とかいうカヴァーしかない。
  達：セルフカヴァーっていうのはほとんどやりませんもんね。
  詠：その人に向けて書いたのでね。あと、キーが全く別だからね。
  達：キーも神経質だからね。大瀧さんはね。
  詠：キーはね。俺キーがちょっと違うと全部ヘタになるのよ。もともとピッチは
      悪いんだけど、キーが合わないとずーっとヘタなのよ。不思議だね。
  達：そんなもんですよ。絶対そうですよ。半音違っただけで全然歌違いますもん。
  詠：その半音の間にポイントがいっぱいあるんだよ。半音違ったら全く別の歌。
      男と女なんてまるでそうでしょ。例えば、だから小泉の場合でも、彼女の場
      合は上がCだから1つ低いんですよ。だからデモテープ聴いて「暗いねー」
      なんて（笑）。暗いも何もないでしょ。男が歌うにはあれっきゃないんだか
      らさー。
  達：ホントそうですよ。
  詠：あとはまあ、提供の曲はあまり自分でやらないようにってこともあったんだ
      けれども、たまたま当時のスタッフだった人と会ってね、お父さんのお葬式
      だったんだけれど。その時に担当ディレクターの田村と会って「いやあ久々
      に「怪盗ルビイ」聴いたら良かったよ」って僕が言ったのがきっかけだった
      のよ。それで何かアイデア閃いたらしくて「デュエットどうでしょう？」な
      んて言われて「いや、あんまり」と思って断ろうと思ったんだけれど。どー
      もね、そのお父さんのお導きじゃないかって。僕はすぐそういう風にとる方
      なんでね。それで「あっこれはやれって言われたんだな」って思ったんです
      よ。それでやってみたの。
  達：あれは当時の仮歌なんですよね。
  詠：当時の仮歌。2回くらいっきゃ歌ってないと思うんだよね。気軽にこんな感
      じかなあとかいう。
  達：要するにガイドヴォーカルですか？
  詠：ガイドヴォーカル。
  達：じゃあキョンキョンはあれを聴いて…。
  詠：あれを聴いて。だから随分あの通りに歌ったみたいよ。

  ♪怪盗ルビイ（小泉今日子+大瀧詠一）

・頑固者？順応派？

  達：30年になりますけど、いったい執着があるのかないのかよくわからない人生
      ですよね？
  詠：あるでしょ。あり方がちょっと変わってるとか。
  達：でもやっぱり色んな人知ってるけど、絶対にイヤだっつったら、最後まで絶
      対にイヤだって通す人って、僕の人生で見てる限り3人しかいない。大瀧さ
      ん、絶対イヤだっていったら絶対やんないもんね。
  詠：やんない時はやんないね。
  達：いいんじゃないのって思うんだけど。頑固者っていったらそれまでだけど。
  詠：いや、頑固者はあなた。僕は全然頑固者じゃないですよ。
  達：そうですか？
  詠：うん。順応派ですね。
  達：でも、方針から外れることってダメでしょ。一旦ノーって言ったら、絶対
      ノーだって言うことがあるじゃないですか？
  詠：いや、99％言ってもぽーんと1％でひっくりかえるっていうのは人生で僕ね、
      3、4回ありますよ。

・デュエットについて

  達：それが今回の「Somethin' Stupid」だったりするわけですか？
  詠：いや「Somethin' Stupid」は到達点として最初から用意されていたものな
      の。
  達：それはもう霊感師だな。
  詠：81年にね、杉（真理）君と（竹内）まりやさんに「スピーチバルーン」って
      いう番組に出演して頂いたんですよ。僕あの時（まりやさんと）初対面だと
      思うんですよ。で、その放送があるんですけど、これ今聴くと面白いですよ。
      デュエットの話してますよ。
  達：お便りが来てますけど「他にデュエットしてみたい女性はいらっしゃいます
      か？それとも今回のまりやさんが最後ですか？」
  詠：あー最後かも知れないね。
  達：だけどデュエットづいてる言えたら言えないこともないし。
  詠：機械的なものはね、山ほどあるし。ライヴは何度もやってきたけど、本当に
      レコーディングは初めてだから。僕は最初が最後になる場合が結構多いです
      から。
  達：じゃああのシリア（・ポール）さんの「The Very Thought of You」とかは
      別録りなの？
  詠：別録りですよ。僕が最初に歌うっていう。僕が橋幸夫ですから。
  達：なるほど。じゃああの橋幸夫さんと吉永小百合さんていうのは別録りなんで
      すか？
  詠：あれ別録りだよ。っていう話を聞いたよ。まあ、スケジュールが忙しくて合
      わなかったのと、緊張するからっていうようなことで…。聴いて良けりゃそ
      れでいいんじゃないっていう。
  達：別に録ってよくこんだけ合うなとかね。別にやった方が合うんすよね。
  詠：合うよ。実は。
  達：同時にやって合わせる方が難しいんですよね。
  詠：あんまり合わせようとすると変になるしね。やっぱね、Steve & Eydieは凄
      いよ、言っとくけど。だからやってもいいんじゃないの？日本のSteve &
      Eydie。
  達：別にチャンスがあれば。結果論なんですよ、そういうのがないのは。
  詠：ああそうなの？
  達：だってそれこそ「Let It Be Me」なんて結婚式ネタっていうか…。そうい
      うのやってましたもん。
  詠：普通にSteve & Eydieをやれる人ってもう君たちしかいないよ。歴史的に色
      々考えてみたけど。まあ、森進一と森昌子ってのはあるけど、Steve &
      Eydieにはならないからね。

・「幸せな結末」の中国語版

  詠：あんまり世の中で聴いたことないっていう「幸せな結末」の中国版っていう
      のがありますんで…。
  達：中国語？
  詠：香港の人だと思うんだよ。女の人なんだけど。
  達：いつ頃なんですか？
  詠：去年かな？去年に向こうの方で出たらしいんですよね。それをちょっと聴い
      てみよう。

  ♪幸せな結末（辛曉琪）

  達：なんか絶えて久しい素直なオケって感じがしますね。日本の今のオケより素
      直で、ギミックが少なくて。
  詠：うーん。歌も巧いしね。
  達：ルックスもなんか安室ちゃんが台湾に…。
  詠：アイドルらしいよ、向こうの。
  達：何ていうんですか？これ。
  詠：これ漢字が読みにくいんだよね。
  達：わかりません。
  詠：これは無理でしょ。見たことない漢字だよね。

・「熱き心に」のカヴァーについて

  達：今日は色々ネタありますね。
  詠：今日はね。韓国の人なんだけども、羅勲児（ナフナ）っていう人がいるのね。
      10年位前の人だったかなあ。日本語で「熱き心に」を歌ってるんだけど。
      まあいわゆる韓国ヴァージョンっていうのか、表現方法をね、聴いてみよう
      と思います。

  ♪熱き心に（羅勲児）

  達：この人、歌巧いですね。
  詠：巧い人ですよ、この人は。歌唱力あるし。
  達：レコーディングは日本だそうですね。
  詠：うん。テイチクから出てるんですけどね。
  達：このエコーの感じはキャリアのあるミキサーの人ですね。
  詠：ああなるほど。吉田（保）さんじゃないの？
  達：内職でやってんじゃない？でももっと（エコー）入れますね。
  詠：やっぱ歌い方とかっていうのがあって、韓国のサッカー観てたらやっぱりこ
      ういう感じだなって感じましたね。国によって解釈が違うっていうか。まあ
      個人の解釈もあるんだろうけど、国によってあるんじゃないかって思うのは、
      次のこれも台湾か香港か中国なのかよくわからないんだけど、羅文(ラブン)
      っていう人なんだけど、これも「熱き心に」をやってるんですよ。これは中
      国語ヴァージョンなの。これをちょっと聴いてみましょう。

  ♪熱き心に（羅文）

  達：しかしアジアン・メロディなんですかね？こんなにアジアの人が歌っている
      のは。
  詠：ねえ。で、これ僕が驚いたのはマイナーになる所あるでしょ？「♪熱き心に
      ～」ってあの所。コーラス被るじゃん！あれがね、なんかロシアっぽいんだ
      よね。あそこに普通コーラス被せてくるっていう感覚は、大陸繋がりでロシ
      アとの国境があるから。
  達：自分にはないですか？
  詠：いや、あそこ普通コーラス被んないでしょう、日本的に考えると。さっきの
      韓国の人もそうだけど。「♪熱き心に～」っていったら「♪熱き心に～」っ
      てこないでしょ。くるんだよ。大陸。
  達：あそこが要するにキモだと思ってるんでしょ。
  詠：あそこに反応してくるわけなんだよ。だから面白いと思った。ぜひこの歌を
      イタリア人にカヴァーしてもらいたいの。で、あそこはロシアのメロディな
      んだけど、オペラじゃないですか？だからあの辺の国の人にやってもらうと、
      どこに反応するか面白いんだよ。
  達：朝妻一郎さんに、フジ・パシを通じて。カンツォ－ネ・ヴァージョン。
  詠：Jay & The AmericansのJayさんみたいな人に、ゴーンと一発やってもらっ
      たら面白いと思う。

・演歌の世界

  達：だけど1歩間違えれば演歌で…。あの頃オファーがいっぱい来てたじゃない
      ですか。演歌を書いてくれって。「リビエラ」から後、「熱き心に」もそう
      だけど。だけど全部断っちゃったじゃないですか。
  詠：できませんよ。
  達：受けてたら今頃第2の…。
  詠：簡単にやれそうなものほど難しいのよ。ってのがわかると、もうまったくで
      きません。だから例えばね、技術的にコード進行とか、使ってる音も少ない
      とか、演歌だからいつでも書けるとか…。書けませんっ！全然ダメ！あのも
      う船村先生とか遠藤先生とかみたいにできませんよ。逆立ちしても全然ダメ。
      ただあの人たちの後継者がもし誰もいなければ、御鉢が回ってきたかもしれ
      ないって気はしないでもないね。
  達：ま、演歌自体がね、ニーズが段々おっこってきちゃったっていうね、悲劇が
      あるから。
  詠：キーで思い出したけどね。遠藤実さすがだなって思ったのは「熱き心に」は
      低いって言ったのよ、旭には。あれね、僕が歌ったのもあるんだけど、僕が
      1音高いのよ。もう全然ダメなの。あの頃の旭さんに合わせたんだけど。で、
      遠藤さんって全盛期の旭のオリジナル・キーのまんまで作る人なんだって。
     「あれ半音から1音低くない？」って言われたのよ。そう言われて聴いてみる
      と、全盛期のものに比べると確かにね。いやおっしゃる通りと思ったよ。す
      ごいと思ったなあ。
  達：だからやっぱり知らない世界がまだまだあるんですね。
  詠：いやあっちは深すぎてダメだなあ、俺には。早々に逃げ出して良かったと思
      う。

・今年1年について

  達：今年はそういう、例えば去年の小林旭さんみたいなね、コンピを編纂すると
      か、本とか。
  詠：さすがになくなりましたね。小林旭やっちゃうともう本当にないね。いやホ
      ントなーんにもないよ。どうしよう1年。来年の『Each Time』までどう持
      たそうかね？
  達：83年という年は大瀧さん…。
  詠：20年前は一番忙しかった時なんですよ。
  達：人に曲書いてたの？
  詠：そうですね。あとプロデュースと。
  達：作品集とかでまだ出してないのあるじゃないですか。
  詠：うーん、もういいでしょ。みんな個別に集めてるから。あんなもんでもう。
  達：じゃあ今年は休みの上の上塗りの休みですね。暇だから何かやれるじゃない
      ですか？
  詠：そういう意味ではね。やりましょうよ、デュエットを。

・NIAGARA TRIANGLE Vol.3

  達：でもナイアガラ・トライアングルの女編っていうのは考えたことないんです
      ね？
  詠：ありますよ、昔っから。シンガース・スリーとやるとか。考えてましたよ。
      当時のシャネルズとオシャマンベ・キャッツと僕とかね。
  達：何回となく企画は出るんですよね。Vol.3は佐野（元春）君と…。
  詠：そうそうあなたとかね。
  達：村田(和人)君と安部(恭弘)君でやろうとかね。それはフジ・パシ絡みでね。
      そういう企画がありましたよ。
  詠：色々消えてるんだよね。消えてるったって、たててないんだよね。実際のこ
      というと。
  達：だけどナイアガラ・トライアングルは基本的に4-4-4じゃないですか、分担
      が。やれないことはないですよね。でもやりたくないだけでしょ？
  詠：僕全然やりたくないことないっすよ。4曲くらい作りゃいいんでしょ？
  達：そう。言いましたね。
  詠：言ったよ。明日までに4曲作ってこいって言われたらね。まあ、今は風邪ひ
      いてるから、ちょっと明日までには無理だと思うけど。4曲くらいは朝飯前
      ですよ、あーた。散歩行く前に。
  達：10曲作ろうと思うからダメなんですね。
  詠：っていうか、コンセプト・アルバムって言われた時代に育っているからね。
      どーもあーいうのじゃないとダメなような気がするわけ。
  達：わかりますよ。そういう人は出せないんですよね。
  詠：何にもコンセプトが出てこないのよ。

・セルフカヴァーについて

  達：セルフカヴァーなんて死んでもイヤでしょ？
  詠：イヤだね。こればっかりは。トリビュートはいいよ。カヴァーはみんなやっ
      てほしいけど。
  達：人に書いたカヴァーだったらいいけど、自分が1回出した曲をもう1回リレコ
      するのは…。
  詠：もうだってやるだけやったもの、そういうの。自慢じゃないけど。『Debut』
      と称したベストとかさ。あれセルフカヴァーだよ、今で言えば。
  達：確かに。元祖セルフカヴァー。
  詠：そうそうそう。『夢で逢えたら』のアルバムだって全部あれカヴァーだよ。
  達：確かにそうだ、うん。なんか高田文夫さんみたいな答え方になっちゃった。
  詠：アイデアでよければ。商業的にはうまくいかなかったけど、アイデアだけだ
      ったら色々やってるよ。随分早いよ、やったのは。

・神戸サンダーハウスのライヴについて

  達：今日ね僕ね、神戸のサンダーハウスって覚えてます？
  詠：あー覚えてます。あなたがよく言ってる、後ろ向いてやったっていう。
  達：それの時のライヴなの。これが意外といいんですよ。これの 「空飛ぶくじ
      ら」と「外はいい天気」。
  詠：いいの？
  達：うん。アンコールがね、何回も出てきてやらされるの。で、最後に「福生ス
      トラット」をやるんだけど、これが非常に貴重だと思いますよ。あの天井の
      低い、喫茶店に毛が生えたみたいなライヴハウスじゃないですか？でもちゃ
      んと声出てるしね。
  詠：あっそうなんだ。
  達：すっごく高い声出てるんですよ。「空飛ぶくじら」一緒に歌ったら高くて歌
      えなかった。
  詠：あなたが？んなバカな。
  達：ホント。あの囁くようにね「♪く～じるら」そこもね、声出てるの。
  詠：ヤケクソになって歌ってるんじゃないの？
  達：いやいやいや。これ4回やって一番機嫌の悪い時なんだけど、でもね…。
  詠：（笑）そうなんだ。機嫌悪い方がいいのか、俺は。

  ♪空飛ぶくじら（LIVE）（大瀧詠一）

  達：これ結構貴重なテイクがたくさんあるんですよ。最後の「福生ストラット」
      っていうのがね、なかなか貴重なんですけどね。そのうちかけようと思って。
      こういうこと言うとね、リクエスト来るから。また来年かける。
  詠：フフフ。
  達：この前にね、シュガー・ベイブが前座やってるでしょ？前座の演奏時間の方
      が長いの（笑）。でもこれ90分無いんですよ。それを2ステージ、2日やっ
      たでしょ？
  詠：なーんで不機嫌だったんでしょ？
  達：くたびれたんですよ。何で4回もやんなきゃなんねえんだって。確か僕もそ
      う思ったんですけどね。土日で4回やって、4回が終わったらそのまま新幹
      線で帰るっていう。一泊二日。土曜日はね、大瀧さん、結構機嫌良くやって
      たんですよね。客と受け渡しずっとやってて。日曜日のね、昼間サウナ行っ
      たのがよくなかったんだ。
  詠：何かね、変わったことやるとよくないんだよね。
  達：くたびれたんですよ、あれで。
  詠：何かサウナの中に恐い人がいたような気がするなあ。
  達：で、妙にぬるかったんですよ、サウナが。それでフォーエバー・レコードで
      借りたThe Four Loversを無くして…。
  詠：無くしたね、レコード。
  達：ええ。それもあったんですよ。
  詠：この頃、シュガー・ベイブはツアーやってたんだよね。
  達：やってましたよ。このあとすぐ解散するんですよ。
  詠：布谷（文夫）は？
  達：いません。大瀧さんがメインで、シュガー・ベイブで、4回ステージってい
      う。GSなみの。
  詠：あー、ないよね。後にも先にも。
  達：それでこれの最後にね「次に来るのは六番町コンサートが3月にあります」
      って言ってたんだけど、結局行けなかったんですよ。解散してて。これマス
      タリングしながら昨日結構思い出しちゃった。（大瀧さんが）僕の使ってる
      テレキャスターを弾いて、僕がオルガンなんかにまわってね、ター坊がコー
      ラスやって。結構良くハモってるんですよ。「ハンド・クラッピング・ルン
      バ」とかね。
  詠：あ、やってる？
  達：三声でちゃんと村松（邦男）君と僕で「♪ハ～ンド」のずり上がりのところ
      とかね、ちゃんとやってますよ。うちで聴いて下さい。
  詠：君の声通るからね。「♪ハ～ンド」とあそこで出て来るんだよ、ぐわ～っと。

・R&Bの作曲家だった!?

  達：前の自分たちのシュガー・ベイブの演奏を聴くでしょ。で、大瀧さんのを聴
      くでしょ。同じバンドがやってるとは思えないような音楽の違い。2コード・
      ブルースと、その前はメジャー7thじゃないですか？ 今ないですよね、そ
      んなのね。
  詠：うーん、確かにね。まあ同じレーベルだったからね。
  達：面白いですよ、これ今聴くと。
  詠：そうか、ブルース・シンガーだったのか、俺は。
  達：そうですよ。R&Bシンガーだったんですよ。
  詠：できそこないのね。それは言えるよね。だから布谷とかウルフルズがやった
      方がいいのは当たり前なんだよね。R&Bの作家だったんだよね。そういう意
      味ではね。
  達：Otis Blackwellみたいなもんですよね。「それは私が作った」ってやつで
      すよ。
  詠：あっそうそうそう。「Don't Be Cruel」のね。それはあるよね。何かブル
      ースっていうとシンガー・ソングライターっていうか、その人が歌わなくち
      ゃいけないっていうような先入観も変だよね。
  達：うーん、まあブルースは自作自演のメディアですからね。ストリート・ミュ
      ージックですから。
  詠：で、Otis Blackwellみたいな、あーいう人もいるわけだから。俺はOtis
      Blackwellだったのか。この線で行こう。これはいいヒント貰った。
  達：悪いこと吹き込んじゃったな。
  詠：あ、でもね、考えはあるのよ。ちょっとね、クロスするね、そのことと。

・4曲作る宣言

  詠：4曲は作れるよ、言っとくけど。
  達：作るって言ってますよ。
  詠：4曲作りゃいいんでしょ？
  達：・・・。
  詠：なんだよ。言葉詰まってんじゃん、結局。
  達：すいません。今日はちょっとあの企画がかなり大瀧さんに寄られちゃったん
      で。昨日メールして、あれ持ってきて下さい、これ持ってきて下さいって言
      おうと思ったんだけど、あんまり要求するのも何だなって思ったら、自主的
      に。
  詠：自主的にね。
  達：しかし今日はなかなか有意義な話を。
  詠：4曲くらいいつでも作るよ。ホントに。
  達：何度も言ってますからね。今日はナイアガラーの皆さん、随喜の涙で眠れな
      い。
  詠：今年は4曲くらい作るんじゃないのかな。
  達：「え～っ、作れんのかあ？」とか否定形、反語形を駆使して…。
  詠：あなた、新曲作れないって賭けたっていうじゃない？
  達：作らない方がいいんじゃないですか？
  詠：やめとこか（笑）。
  達：ダメですよ、それじゃ。
  詠：いや、なんかやめた方がいいって言われたから、やめよかなって。
  達：いやいや、やってくださいよ、4曲。

・新春放談20周年

  達：だいたい新春放談っていうのも、来年で20年なんですよね。
  詠：20周年記念なんかやりましょうよ。普通なんかやるもんじゃない？スタジオ・
      ライヴ？
  達：いいですね、それ。またEverly（Brothers）？あのEverlyからもう20年で
      すからね。あっという間ですよね。今年はもうちょっとメールを差し上げて、
      穴の開いた部分を埋めたいと思います。
  詠：いやいや一緒にやるんでしょ？
  達：じゃあやりましょうよ。今年はよろしくおねがいします。
  詠：ひとつまた。
  達：師匠、お願いします。
  詠：ええ、よろしくお願いします。

今後の予定

・1/19,26はTom Dowdの追悼特集。