音人千一夜

　第

回 : 森勉さん

『めぐり逢い』～『めぐり逢えたら』
レコード屋さん
－お客さんとCDと－

-売る側の喜びってなんですか？
　お客さんが喜んでくれるのが一番ですよね。決まっているものを買っていただくっていうのが多いですが、うちの場合は、アーティスト名も決まってなくて、「こういう感じのものが欲しい」っていうのがあって、そういうのを委ねられるわけですよね。それでこっちが「こんなものいかがでしょう」と、それで、「この前のすごく良かったです」って言って下さるって時は嬉しいですよね。お料理屋さんでいう「おまかせ」です。色んなジャンルがありますから、自分が得意ではないジャンルというのも当然あるわけで、でも自分の中に知識としてあれば、お勧めできますし、もし知ってるものであればとことん説明して、できるだけサンプルを用意しておいて、すぐに聴いていただけるようにしています。

　あと、うちのお客さんで多いのが、アーティスト名が分かっているんだけど曲名が分からない、曲名が分かるけどアーティスト名が分からないとか、その両方とも分からない、自分の頭の中にはあるんだけど、歌えるんだけど、っていうことで質問してくる方が多いんですよ。お客さんからすればお店を信用してくれているっていうことで、それを誠心誠意、その時は分からないものでも徹底的に調べようとするんですよね。もしその場で分かるとお客さんは嬉しいし、こっちも内心やったぜっていうのがありますしね。CD屋としてのプロ意識を持つことが大切ですね。

-お店で森さんとお話がしたいって人って多いんですよ。
　ありがとうございます。
　一言なんでもいいから声をかけて下さるとお話がしやすいですね。こちらも「スタンプカードはお持ちですか」に始まって、次にこの新譜が出ますとかね。シャイな方もいらっしゃいますし、どんどん話し掛けて下さって、何でも聞いて下さってくれたらっていのうがありますね。

　業界では当たり前でも、普通のお客さんには疑問なことってありますよね。最近よくあるのが、これ廃盤なのにどうしてあるんですかって。他のお店で生産中止を廃盤って言っちゃうことがあるんですよね。廃盤っていうのは完全にカタログから除去されちゃうものですけど、生産中止っていうのは今本当に多くて、そういうものはどっかのお店で聞くと廃盤だって言われちゃうみたいなんですよね。うちは生産中止と廃盤の区別はきちんとつけて、非常に確率は低いかもしれないけれど、新品として流通しているものは生産中止として扱って、一所懸命在庫を探すんですよね。

森さんの「砂に消えた涙」コレクション（一部）

-CDの値段ってレコードの時代と変わってないですよね。
　CDの業界は値上げではなく数を多く売ることでしか成長していないので大変です。でも制作費、ジャケット、昔と比べるとべらぼうにかかっているんですよ。それで数を売るためには、当然商品の数も増えますし。そういうしわ寄せが徐々に来てますよね。

　一人の人が買えないくらいどんどん出てくるわけですから。特に僕たちが好きなジャンルなんかは、ちょっと勘弁して欲しいな、もう少し待ってから出して欲しいな、って状態ですね。で、まずいことにリマスターだの紙ジャケだの、同じ商品をね。それをほっぽって置けない。買っとかないとっていう時代じゃないですか。お客さんに対して申し訳ないって感じちゃいますよね。もうちょっといい形で商品っていうのが出せないかなって感じますね。この前買っていただいたのにまた同じ物を・・・。それを買わなければ違うものを買えるかもしれないですからね。それで、しょうがなく例えば Beatles だけを集めてしまうっていう傾向が出てしまう。でも、その一つのアーティストだって買っていくのが大変ですから、あっちもこっちもなんっていったらね。それに Carole King とか Barry Mann とかソングライターを集めてくっていうのも大変ですよね、好きになっちゃうと。それで僕はさっきの「砂に消えた涙」じゃないんですけど、曲単位で集めようという気持ちも出てきて。そっちはそっちで大変なんですけど。

（註、森さんは Mina が歌った「砂に消えた涙」のカヴァーを集めている。日本国内のカバーにはびっくりするようなものもある。興味のある方、珍品をご存知の方はご一報を）

-レコード屋さんを始めてから、レコードとの付き合い方は変わりましたか？
　あまり変わっていないと思います。ずっと好きなままで…。
　相変わらず他の店に行って買ってますけどね、視察というわけじゃなくて、レコード屋さんが好きなんですよね。その場にいるのが好きなんで、自分の店にあるものでも買ってしまったりして（大爆笑）。全然知らない人にとっては、自分の店にあるのにどうして違う店に行って買うのってことになるんですけど、違うんですよね。なるべく中古屋さんとかは危険なので近寄らないようにしてるんですけどね。たくさん買ってしまいそうで…。

『めぐり逢い』～『めぐり逢えたら』レコード屋さん－お客さんとCDと－ -売る側の喜びってなんですか？　お客さんが喜んでくれるのが一番ですよね。決まっているものを買っていただくっていうのが多いですが、うちの場合は、アーティスト名も決まってなくて、「こういう感じのものが欲しい」っていうのがあって、そういうのを委ねられるわけですよね。それでこっちが「こんなものいかがでしょう」と、それで、「この前のすごく良かったです」って言って下さるって時は嬉しいですよね。お料理屋さんでいう「おまかせ」です。色んなジャンルがありますから、自分が得意ではないジャンルというのも当然あるわけで、でも自分の中に知識としてあれば、お勧めできますし、もし知ってるものであればとことん説明して、できるだけサンプルを用意しておいて、すぐに聴いていただけるようにしています。　あと、うちのお客さんで多いのが、アーティスト名が分かっているんだけど曲名が分からない、曲名が分かるけどアーティスト名が分からないとか、その両方とも分からない、自分の頭の中にはあるんだけど、歌えるんだけど、っていうことで質問してくる方が多いんですよ。お客さんからすればお店を信用してくれているっていうことで、それを誠心誠意、その時は分からないものでも徹底的に調べようとするんですよね。もしその場で分かるとお客さんは嬉しいし、こっちも内心やったぜっていうのがありますしね。CD屋としてのプロ意識を持つことが大切ですね。

	-お店で森さんとお話がしたいって人って多いんですよ。　ありがとうございます。　一言なんでもいいから声をかけて下さるとお話がしやすいですね。こちらも「スタンプカードはお持ちですか」に始まって、次にこの新譜が出ますとかね。シャイな方もいらっしゃいますし、どんどん話し掛けて下さって、何でも聞いて下さってくれたらっていのうがありますね。　業界では当たり前でも、普通のお客さんには疑問なことってありますよね。最近よくあるのが、これ廃盤なのにどうしてあるんですかって。他のお店で生産中止を廃盤って言っちゃうことがあるんですよね。廃盤っていうのは完全にカタログから除去されちゃうものですけど、生産中止っていうのは今本当に多くて、そういうものはどっかのお店で聞くと廃盤だって言われちゃうみたいなんですよね。うちは生産中止と廃盤の区別はきちんとつけて、非常に確率は低いかもしれないけれど、新品として流通しているものは生産中止として扱って、一所懸命在庫を探すんですよね。
森さんの「砂に消えた涙」コレクション（一部）	-CDの値段ってレコードの時代と変わってないですよね。　CDの業界は値上げではなく数を多く売ることでしか成長していないので大変です。でも制作費、ジャケット、昔と比べるとべらぼうにかかっているんですよ。それで数を売るためには、当然商品の数も増えますし。そういうしわ寄せが徐々に来てますよね。　一人の人が買えないくらいどんどん出てくるわけですから。特に僕たちが好きなジャンルなんかは、ちょっと勘弁して欲しいな、もう少し待ってから出して欲しいな、って状態ですね。で、まずいことにリマスターだの紙ジャケだの、同じ商品をね。それをほっぽって置けない。買っとかないとっていう時代じゃないですか。お客さんに対して申し訳ないって感じちゃいますよね。もうちょっといい形で商品っていうのが出せないかなって感じますね。この前買っていただいたのにまた同じ物を・・・。それを買わなければ違うものを買えるかもしれないですからね。それで、しょうがなく例えば Beatles だけを集めてしまうっていう傾向が出てしまう。でも、その一つのアーティストだって買っていくのが大変ですから、あっちもこっちもなんっていったらね。それに Carole King とか Barry Mann とかソングライターを集めてくっていうのも大変ですよね、好きになっちゃうと。それで僕はさっきの「砂に消えた涙」じゃないんですけど、曲単位で集めようという気持ちも出てきて。そっちはそっちで大変なんですけど。（註、森さんは Mina が歌った「砂に消えた涙」のカヴァーを集めている。日本国内のカバーにはびっくりするようなものもある。興味のある方、珍品をご存知の方はご一報を）

-レコード屋さんを始めてから、レコードとの付き合い方は変わりましたか？　あまり変わっていないと思います。ずっと好きなままで…。　相変わらず他の店に行って買ってますけどね、視察というわけじゃなくて、レコード屋さんが好きなんですよね。その場にいるのが好きなんで、自分の店にあるものでも買ってしまったりして（大爆笑）。全然知らない人にとっては、自分の店にあるのにどうして違う店に行って買うのってことになるんですけど、違うんですよね。なるべく中古屋さんとかは危険なので近寄らないようにしてるんですけどね。たくさん買ってしまいそうで…。