2016.05.08
Marriage Made In Heaven Marriage Made In Heaven
Bob Crewe

The Complete Elektra Recordings (2015)

2014年に亡くなったニューヨークの音楽プロデューサー、Bob Crewe 関連のCD化が少しずつ進んでいるようです。その中でも今回は"ボーカリスト"としての Bob Crewe にスポットを当ててみたいと思います。

1970年代に Elektra Records に残した作品、1976年リリースの Bob Crewe Generation 名義のアルバム『Street Talk』、そして1977年リリースの Bob Crewe のソロ・アルバム『Motivation』が Real Gone Music からボーナス・トラック付で 2in1CD仕様でCD化となりました。(過去、地域限定で既にCD化されていたものもありましたが)

元々、Bob Crewe は"歌手"として1950年代に音楽業界入りした人です。甘いマスクとその美声を持ちながらも、残念ながらいずれも大きなヒットには結びつきませんでした。
今回リリースとなったCDに先立って1曲、その初期の頃の Bob Crewe の歌声を聴いてみたいと思います。

Do-Be-Do-Be-Do (Frank Slay-Bob Crewe) / Bob Crewe (1957)

快活なロックンロール・ナンバー。この曲は当時の Bob Crewe とチームを組んでいた Frank Slay との共作曲。特筆すべきはこの曲のバックコーラスを務めたのが、The Rays 。Bob Crewe-Frank Slay が提供した、"Silhouettes" で大ヒットした黒人ボーカルグループです。


1960年代に入ると表舞台から退いて、音楽プロデューサーとして活躍し、数々の実績を積んでいくことになるのですが、業界には"ボーカリスト"としての Bob Crewe を評価した人もいました。Atlantic Records の重鎮プロデューサー Jerry Wexler もその1人。 1975年 Bob Crewe は Jerry Wexler の誘いを受け、単身ホームグランドのニューヨークを離れ、アラバマの Muscle Shoals Sound Studio でレコーディングを行ないました。単身と言っても日頃から付き合いのあるソングライターと共作した曲を持参した形となっています。
その Jerry Wexler とBarry Beckett プロデュース、Muscle Shoals Sound Studio でレコーディングしたアルバム『Motivation』から2曲程、聴いてみたいと思います。


Motivation (Mark James-Bob Crewe) / Bob Crewe (1977)

アルバム表題曲となった"Motivation" は Mark James との共作曲。 Mark James が作る曲は Muscle Shoals Sound Studio 録音でもしっくりきますね。 Bob Crewe の抑制の効いたボーカルが素晴らしいです。


Marriage Made In Heaven (Kenny Nolan-Bob Crewe) / Bob Crewe (1977)

当時 Bob Crewe のプロダクションでもっとも活躍していたソングライター Kenny Nolan との共作曲。 Bob Crewe の甘い歌声がぴったり似合っています。Kenny Nolan が書いた曲の中でも屈指の名曲だと思います。後半部分の幾重にも重なるバックコーラスも素晴らしいです。クレジットをみると コーラスの達人、Curt Boettcher の名前も見つかります。うまくプロモーションを打てば大ヒットに繋がったかも?そう思わせる結婚式にも使える素適なナンバーです。


ちなみに 2in1CDのもう1枚の Bob Crewe Generation 名義のアルバム『Street Talk』の方は1976年制作で当時流行った"ディスコ"を意識した内容です。Bob Crewe らしいゴージャズなオーケストレーションが魅力です。

(富田英伸)




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