2016.08.03 - Songwriter
		The Nicest Things Happen Julius Wechter [Songwriter] (1966)

（夏真っ盛りなので、）
Songwriter シリーズ、今回は Julius Wechter を取り上げます。

Julius Wechter はビブラフォン、マリンバをはじめ、多種多様なパーカッション楽器の演奏者、そして、1960年代中期から後期にかけて活躍したメキシカン・スタイルのインスト・バンド、Baja Marimba Band のバンドリーターとして広く知られています。今回は "演奏者=Julius Wechter" ではなく、作曲家、ソングライターの側面から Julius Wechter を追ってみたいと思います。

Julius Wechter は1935年シカゴ生まれ、1999年に亡くなっています。1956年に自身のグループ、Julius Wechter Quartet を結成して活動を始めたそうです。1958年にエキゾティック・サウンドで知られる Martin Denny の演奏グループに誘われて、ビブラフォン初め多くのパーカッション楽器を演奏しています。
1960年に入ると、Arthur Lyman と入れ替わる形で、Martin Denny のグループから抜け、いわゆる "The Wrecking Crewe" といわれる西海岸ミュージシャン達と交流する形で、スタジオミュージシャンとして多くのセッションに加わるようになります。代表的なセッションとしては Phil Spector や The Beach Boys 『Pet Sounds』辺りです。特にアルバム『Pet Sounds』は聴いてわかる通り、様々な打楽器が多用されており、Julius Wechter は "Pet Sounds" セッションにおいて大きな役割を果たしたと思います。

1962年に Herb Alpert & the Tijuana Brass のデビューアルバム『The Lonely Bull』の参加をきっかけに、 Herb Alpert との交流が始まります。
1964年には Herb Alpert & the Tijuana Brass に"Up Cherry Street "という楽曲を提供。1968年には自身のグループ、Julius Wechter And The Baja Marimba Band を結成し、Herb Alpert が主宰する A&M Records からデビューアルバム『Those Were The Days』をリリースします。

Julius Wechter が書いた曲をいくつか紹介していきます。


Mau Mau (Julius Wechter) /Martin Denny (1958)

1958年、Martin Denny のアルバム『Primitiva』に収録されている Julius Wechter のペンによるナンバー。Julius Wechter のビブラフォンが大きくフィーチャーされています。


Spanish Flea (Julius Wechter) / Herb Alpert And The Tijuana Brass (1965)

Julius Wechter が書いた曲の中でも最も有名な曲。後に多くのカバーが生まれました。翌年1966年、同じ A&M Records からリリースされた SSergio Mendes & Brasil '66 の "One Note Samba" には、"Spanish Flea" が１節登場しますが、これがいいんですね。"One Note=一定律"から "Spanish Flea" のメロディで解き放たれる感じがいいです。


Fresh Air (Julius Wechter) / Julius Wechter And The Baja Marimba Band (1969)

The Baja Marimba Band の後期の１曲。The Baja Marimba Band はメキシコスタイルが基本ですが、このようなラテン調もいいんですね。明るさが心地いいです。


The Nicest Things Happen (Julius Wechter-Cissy Wechter) / Jean King (1965)

今回、一番紹介したかった楽曲。以前にも紹介したことのあるセッション・コーラスグループ The Blossoms に在籍していた Jean King に提供したナンバー。タメイキが出る程いい曲。西海岸のセッションの最中に書いたものでしょう。詩は奥さんの Cissy Wechter が書いています。後に Herb Alpert & The Tijuana Brass も取り上げていますが、断然このオリジナルがいいです。


I'll Marimba You (Julius Wechter) / Julius Wechter And The Baja Marimba Band

最後に The Baja Marimba Band のライブショーの様子を。"観せる"に徹していて楽しいですね。当時、大人気だったのも頷けます。この可愛らしいメロディも Julius Wechter のペンによるもの。