2016.08.24 - Songwriter
Everlasting Love Everlasting Love
Buzz Cason [Songwriter]

(1967)

Songwriter シリーズ、今回はナッシュビル中心に活躍した Buzz Cason を取り上げます。
ナッシュビルはカントリー・ミュージックの聖地と言われている都市ですが、Buzz Cason はそのカントリー・ミュージック以外にも多様な音楽に携わってきた人です。以下に書くようにちょっとウサんくさい人ではありますが(笑)、楽曲がいいので取り上げていきます。まずは簡単に経歴から。

Buzz Cason は1939年ナッシュビル生まれ。ミュージシャンとしてのスタートは1950年代中期に活躍した The Casuals もしくは The Casualteens と名乗ったロックン・ロール・バンドでした。1957年には Buzz Cason が作曲クレジットに載っている "My Love Song for You" が小ヒットを記録します。The Casuals は後に Brenda Lee のバックバンドとなっていきます。

1960年、イギリスで映画『殺人鬼登場』(CIRCUS OF HORRORS-1960) というホラー映画が公開されました。この映画に "Look For A Star" という挿入曲が入っており、それを歌っていたのがイギリスのシンガー、Garry Mills という人でした。この映画を観たのかどうかわかりませんが、Buzz Cason は その Garry Mills とそっくりな "Garry Miles" という名前を使って、"Look For A Star" をアメリカでシングル・リリースします。それがアメリカでオリジナルの Garry Mills よりもヒットしてしまうという珍事が起きてしまいます。もっとも一番ヒットしたのはインストの Billy Vaughn 楽団のバージョンでしたが。作曲の Mark Anthony とは Tony Hatch のことです。楽曲に罪がありませんので聴き比べてみましょう。いい曲です。

Look For A Star (Mark Anthony aka Tony Hatch) / Garry Mills (1960-original)

Look For A Star (Mark Anthony aka Tony Hatch) / Garry Miles aka Buzz Cason (1960-cover)


Buzz Cason が凄いのは、この"Garry Miles" の名前をそのまま使って、Garry Miles & The Statues というボーカル・グループを結成してしまうところ!そこから Buzz Cason の単独クレジットとなる曲を聴いてみたいと思います。楽曲に罪がないので(笑顔)。

Wishing Well (Buzz Cason) / Garry Miles & The Statues (1960)


1962年には Tony Moon というソングライターと共作した "Soldier Of Love" を Arthur Alexander に提供。のちに The Beatles が取り上げ広く知られるようになります。その後はソングライターとして、Steve Alaimo、Bobby Vee、Brenda Lee などに楽曲提供していくことになります。どうやら、中村八大 さんの「上を向いて歩こう」を Jewel Akens がカバーした"Sukiyaki " の英語詩を書いたのも Buzz Cason みたいです。
以下、Buzz Cason のクレジットがある曲で好きな曲を紹介していきます。


Little Girl (Please Take A Chance With Me) (B.Russell-B.Cason-Alaimo-T.Moon) / Steve Alaimo (1962)

"The Night the Lights Went Out in Georgia" などの作曲で知られるソングライター Bobby Russell、そして先の Tony Moon との共作曲。誰が主導で書いたかわかりませんが、可愛らしい楽曲です。


Sandy (Buzz Cason-Bucky Wilkin) / Ronny And The Daytonas (1965)

Ronny And The Daytonas は1964年ナッシュビルで結成されたサーフ・バンド。Ronny ことリーダーの John "Bucky" Wilkin との共作曲。サーフ・バラードとして有名な曲。 John "Bucky" Wilkin も非常にソングライティングに長けた人です。


I'll Think Of Summer (Buzz Cason-Bucky Wilkin) / Ronny And The Daytonas (1966)

これも John "Bucky" Wilkin との共作のサーフ・バラード曲。Buzz Cason は John "Bucky" Wilkin とサーフ・デュオ Buzz And Bucky を組み数枚シングルをリリースしています。
以降、Buzz Cason は多くのサーフ・バンドとも関わっていきます。例えば、Jan & Dean の"Popsicle" は先に登場した Bobby Russell との共作曲です。


Everlasting Love (Buzz Cason-Mac Gayden) / Robert Knight (1967)

Everlasting Love (Buzz Cason-Mac Gayden) / Keith Mansfield Orchestra (1968)

1967年、Buzz Cason は後に Area Code 615 で活躍することになるギターリスト Mac Gayden と組んで、ナッシュビル出身の黒人シンガー Robert Knight をプロデュースしました。シングル・リリースした "Everlasting Love" がヒット。同年にイギリスの Love Affair がこの曲を取り上げ、オリジナルを上回るヒットとなります。今回は Love Affair のバージョンのアレンジを手掛けた Keith Mansfield Orchestra を聴いてみたいと思います。たぶん Love Affair のバージョンに使われたオケだと思います。躍動感溢れる素晴らしいオケです。


Rainbow Valley (Buzz Cason-Mac Gayden) / The Love Affair With The Keith Mansfield Orchestra (1968)

Love Affair は続いてRobert Knight の "My Rainbow Valley" をカバーをします。これもグルーヴある素晴らしい Keith Mansfield のアレンジによって、オリジナルを凌駕しています。

(富田英伸)




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