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2017.07.11
Our Day Will Come

Our Day Will Come

Mort Garson

(1963)

#Songwriter

(2024年10月6日SSB「リクエスト大会」で、Ruby And The Romantics "Our Day Will Come" がかかりました)
(2017年7月9日SSB「納涼リクエスト大会」で、Ruby And The Romantics "Our Day Will Come" がかかりました)

Songwriterシリーズ
今回は Mort Garson を取り上げたいと思います。

Mort Garson は1924年カナダ生まれ。2008年に83才で亡くなっています。
キーボード・ミュージシャンとしてそのキャリアを出発させますが、1950年代中期には作曲クレジットが見つかります。1956年にはデビューしたての Bobby Darin に Buddy Kaye との共作 "Hear Them Bells" という曲を書いています。その他、The Four Coins、Bobby Helms、Patti Page といったジャズ寄りのミュージシャンに楽曲提供。ポップスでは1957年に Brenda Lee に "Dynamite" を Tom Glazer という人と共作、提供しています。

Dynamite (Mort Garson-Tom Glazer) / Brenda Lee (1957)

この曲がヒットしたことにより、Brenda Lee は"リトル・ミス・ダイナマイト"の愛称で呼ばれるようになり、広く親しまれます。コーラスは Anita Kerr Singers が担当。あらためて聴いてみて、Brenda Lee のダイナマイト歌唱に対照的で、清楚でいいコーラスですね。

1960年代に入ると、The Shadows や The Poni-Tails などポップス・フィールドへの楽曲提供も増えていく中、1963年に Ruby And The Romantics のアルバム『Our Day Will Come』、『Till Then』のアレンジを全面的に手掛けることになります。以降、Ruby And The Romantics にはアレンジのみならず、多くの楽曲提供も行っています。その中から数曲、聴いていきたいと思います。


Our Day Will Come (Bob Hilliard-Mort Garson) / Ruby And The Romantics (1963)

Ruby And The Romantics の代表曲。1963年のミリオンセラーです。アレンジは Leroy Kirkland に託しています。まだ珍しかったボサノバ調をうまく取り込み、しなやかなオルガンの音色とともに心地いいナンバー。
主なパーソネルは以下の通り。

Organ : Leroy Glover
Guitar : Vinnie Bell、Al Gorgoni、Kenny Burrell
Bass : Russ Savakus
Drums : Gary Chester


Our Day Will Come (Bob Hilliard-Mort Garson) / Roger Nichols & The Small Circle Of Friends (1966)

"Our Day Will Come" はその後多くのカバーも生まれました。とりわけ白眉なのは、Roger Nichols & The Small Circle Of Friends (Roger Nichols Trio) のバージョンだと思います。このバージョンは Mort Garson 本人がアレンジを担当しました。聴き慣れたボサノバ調を廃して、素晴らしいストリングス、コーラスです。



My Summer Love (Bob Hilliard-Mort Garson) / Ruby And The Romantics (1963)

My Summer Love (Bob Hilliard-Mort Garson) / The Tymes (1963)

この頃の Mort Garson はブロードウェイ出身の作詞家、Bob Hilliard とチームを組んで楽曲提供しています。同時期、"So Much In Love" で知られる The Tymes もこの曲を取り上げました。


Much Better Off Then I've Ever Been (Bob Hilliard-Mort Garson) / Ruby And The Romantics (1964)

これも好きな1曲。ホーンとパーカッションとオルガンがアクセントになっていてなんとも心地いいです。プロデューサーの Allen Stanton は後に The Byrds 等を手掛ける人ですが、まだこの頃は駆け出しの頃。サウンド面は全面的に Mort Garson に託したと思います。


Every Day's A Holiday (Bob Hilliard-Mort Garson) / Mel Torme (1964)

この曲も元々は、Ruby And The Romantics のナンバー。"The Christmas Song" の作曲でも知られるソングライター、ジャズ歌手の Mel Torme が同年に取り上げました。Mel Torme のボーカルが優しく、とってもいい感じです。お気に入りの1曲。


その後、Sandpipers に "What Makes You Dream, Pretty Girl" を提供したりしますが、楽曲提供よりもアレンジの仕事が多くなっていきます。1960年代後半に新しい電子楽器"ムーグ・シンセサイザー"と出会います。そのムーグ・シンセサイザーの使い手として電子音楽のアルバムを発表。その頃の作品をちょっと聴いてみたいと思います。


Gemini The Cool Eye (Jacques Wilson-Mort Garson) / The Zodiac Cosmic Sounds (1967)

1967年に当時のサイデリック・ムーブメントを背景に制作されたスタジオ・アルバムです。作曲、アレンジは Mort Garson 。ドラムス=Hal Blaine、ベース=Carol Kaye といったように西海岸のスタジオミュージシャン達が演奏。ナレーションは Modern Folk Quartet の Cyrus Faryar が喋っています。

(富田英伸)