氣志團万博+山下達郎パフォーマンス 2017 レビュー
2017.09.30
氣志團万博+Performance 2017
山下達郎
(2017)
さて、氣志團万博はご存知氣志團がホストするフェスです。各アーチストは綾小路翔のビデオメッセージで登場するのですが、これがおもしろくて、愛に溢れてて、とてもいいのです。
「実在するのか?山下達郎。万博会場はジャケットの世界ですよ。やって来るのか山下達郎?」(翔)
袖ヶ浦海浜公園への道(想定)
ところが台風18号、白浪以外は... >翔やん
袖ヶ浦海浜公園への道(現実)
山下達郎の登場は、2日目の定刻18時45分。既に真っ暗、足元芝生ところにより田んぼ。風は小康も細かい雨が降り続く。
導入アカペラは初めて聴く「Reborn」で、なんと「ハイティーン・ブギ」からのスタート。達郎の「元祖はオレ」と言わんばかりのドヤ顔がスクリーンに大映しになる。「Sparkle」を続けて、「雨で寒いからレパートリーを変えます、バラードやめて、一気に行きます」と挨拶。「Bomber」からキーボードのイントロへ繋いでメドレー「硝子の少年」。これがめちゃくちゃ受けている。「アトムの子」でまりやさんも登場。「ブギ・ウギ・トレイン」で長花道に出て渾身のカッティング、スポットに雨が反射し闇に浮かび上がる達郎。さらに花道駈け戻り、舞台中央大画面前に登っての再度のカッティング・ソロ。テレキャスの大写しと達郎本人が重なるにくい演出。そして、メンバー全員で挨拶後に、決めの「さよなら夏の日」。以上、きっちり40分間。
「雨に濡れながら」大人になれない僕たち。「台風なんてなんぼのもんじゃい」とプロフェッショナル・ツッパリの達郎氏。十二分に堪能させていただきました。
なお筆者が参加できたステージはメインの午後の部、氣志團〜ユニコーン〜岡村靖幸〜山下達郎〜米米CLUB。全てにそれぞれの創意工夫と真に共感できる音楽愛を感じるものでした。1990年(あたり)万歳!
氣志團「幸せにしかしねーから」万歳。
- ハイティーン・ブギ
- Sparkle
- Bomber
- 硝子の少年
- アトムの子
- 恋のブギ・ウギ・トレイン
- さよなら夏の日
今年のツアーも少しだけ記録していきます。
Performance 2017 は全国25都市、全49公演。3月18日市川初日、8月31日長野千秋楽の春夏ツアーでした。冬は体調管理が大変なのでもうやらないと言っていましたが、観る側も楽。声は一番よく出ていたとはラジオでのまりやさん評。
演奏曲目は、下記の24曲でほぼ固定。M23はツアー折り返しのころ差し替えとなっています。「Last Step」の幸運おまけありは今回も。
- Sparkle / For You (1982)
- いつか (Someday) / Ride On Time (1980)
- Donut Song / Cozy (1998)
- 僕らの夏の夢 / Ray of Hope (2009)
- 風の回廊 / Pocket Music (1985)
- Guilty / 初演 (鈴木雅之 1988)
- Futari / For You (1982)
- 潮騒 / Go Ahead! (1978)
- ターナーの汽罐車 / Artizan (1991)
- It's Not Unusual / 初演 (Tom Jones 1965)
- The War Song / Pocket Music (1986)
- So Much In Love / OnSt 2 (1986)
- Stand By Me / OnSt 3 (1999)
- クリスマス・イブ / Melodies (1983)
- 蒼氓 / 僕の中の少年 (1988)
- ゲット・バック・イン・ラブ / 僕の中の少年 (1988)
- メリー・ゴー・ラウンド / Melodies (1983)
- Let's Dance Baby / Go Ahead! (1978)
- 高気圧ガール / Melodies (1983)
- Circus Town / Circus Town (1976)
- ハイティーン・ブギ / 初演 (近藤真彦 1982)
- Ride On Time / Ride On Time (1980)
- The Theme From Big Wave / Big Wave (1994) or Down Town / Songs (1975)
- Your Eyes / For You (1982)
「テーマにとらわれず、自分の好きな曲をやる」とのこと。手慣れた曲々が余裕となり舞台に味わいをもたらしたと思います。選曲もソロもあまり攻めず抑制気味と感じました。といいながら、城北トリオのアコースティック「ターナー」はとんでもないものでしたが。
一方、音がよかった。音の比較は難しくあくまでも印象ですが、とことん細部まで堪能できました。それは袖ヶ浦の野外でも圧倒的。また、初日に(今日しか言わないと断って)「Your Eyes のコーラスを録り直した」ことを紹介。細部への熱意がより重みを増しているように思います。ヴィジュアルは「クリスマス・イブ」でのプロジェクション・マッピングの導入もあり。
また、ステージへの達郎さんの考えがネットや新聞記事にこれだけ取り上げられたのは、なかったことです。ある拍手へのステージからの注意や、客合唱へのラジオからの回答が話題となりました。前者はたまたま大宮で居合わせたのですが、むしろ注意から配慮、再盛り上げの一連の態度にエンターテナーとしての懐の深さを感じました。後者はとてもきっぱりと、さっぱりとしたものでした。うむ。。「山下達郎 Performance」という空間が目指す高みが示される、印象的なできごとだと受け止めています。
チケット環境は、今回初めて全抽選(イープラス独占)となりました。自分の確保も心配だけど、より広いオーディエンスへ行き渡っているといいな。また「夫を初めてさそったら喜ばれた、はまってる」みたいなハガキ逸話は記名式のよいところですね。
本2017ツアーは、山下達郎という存在が、より深く広く共有される新たなステージに入ったと記憶されるものだと思います。「ターナー」や「さよなら夏の日」で到達の音楽表現と共に。
「また会いましょう!」
(たかはしかつみ)