2018.03.24 - Songwriter
She's Out of My Life She's Out of My Life
Tom Bahler - Songwriter

(1979)

(2018年3月21日、NHKFM「春は別れの季節!今日は一日“失恋ソング”三昧」で、Michael Jackson "She's Out of My Life" がかかりましたので。)

Songwriterシリーズ、
今回は Tom Bahler を取り上げます。

Tom Bahler は専業のソングライターではなく、兄の John Bahler の共にスタジオのコーラスセッションシンガーとして広く知られている人です。

Tom Bahler は1943年、カリフォルニア州イングルウッド生まれ。10代の頃から兄の John Bahler と一緒に西海岸のスタジオのコーラスセッションに参加していました。この頃の代表作としては Richard Harris "MacArthur Park"(Jimmy Webb) などがあります。

同じくスタジオのコーラスセッションシンガーである Ron Hicklin 率いる The Ron Hicklin Singers にも兄弟で参加し、Jackie Ward、Sally Stevens と一緒に数多くの映画やテレビの仕事をこなしました。ちなみに The Ron Hicklin Singers の代表作としては映画『明日に向かって撃て』(1969)の "South American Getaway"(Burt Bacharach) などが挙げられます。(但し、この作品には Tom Bahler は参加していません)

その他、Tom Bahler の名前は Ray Conniff And The Singers、The California Dreamers でも見つけることができます。また人気を博した The Partridge Family のコーラスアレンジの多くは Bahler 兄弟が手掛けていたといわれています。

Tom Bahler がコーラスとして参加した作品の中で最も秀逸な作品は B.J. Thomas ‎"Rock And Roll Lullaby"(Mann-Weil)だと思います。

1967年、Bahler 兄弟は The Love Generation を結成。3枚のアルバムを Imperial Records からリリース。

1974年、Quincy Jones のアルバム『Body Heat』のコーラス参加をきっかけに以降、Quincy Jones のプロデュース作品にも参加するようになります。

1978年、Diana Ross 主演の映画『The Wiz』の音楽監督を Quincy Jones が担当。このサウンドトラックには Tom Bahler も参加。この映画に案山子役で出演した Michael Jackson との接点ができ、1979年、Michael Jackson の Motown Records から Epic Records の移籍第一弾アルバム 『Off The Wall』を Quincy Jones がプロデュースを担当することになります。そのアルバムで Tom Bahler が書いた "She's Out of My Life" が採用されます。

今回はコーラスシンガーとしての Tom Bahler ではなく、ソングライターとしての一面を見ていきたいと思います。


Groovy Summertime(Dick Ross-Keith Colley-Tom Bahler) / Love Generation(1967)

冒頭に George Gershwin の "Summertime" のフレーズが一節入ってから始まります。The Love Generation の結成により、Tom Bahler は楽曲制作をするようになったようです。プロデュースは Tommy Oliver が担当。


Julie, Do Ya Love Me(Tom Bahler) / Bobby Sherman(1970)

Tom Bahler 単独クレジットになる曲で、US Billboard Hot 100 の5位のスマッシュヒットとなりました。アレンジは Al Capps が担当。Jackie Mills がプロデュースしました。イギリスではこの曲を White Plains が取り上げました。


What's Matter Girl(Tom Bahler) / Andy Williams(1971)

これも Tom Bahler 単独クレジットになる曲。"She's Out of My Life" に勝るとも劣らない切ないバラードナンバーです。プロデュースは Dick Glasser。


Going Through The Motions(Tom Bahler) / Candi Staton(1974)

アメリカ南部を代表する女性シンガー、Candi Staton の1974年のアルバム『Candi』に収録された楽曲。プロデュースは2018年1月に亡くなった Rick Hall 。後に Dee Dee bridgewater もこの曲を取り上げました。


She's Out of My Life(Tom Bahler) / Michael Jackson(1979)

Michael Jackson の1979年のアルバム『Off the Wall』からシングルカットされ、US Billboard Hot 100 の10位を記録。冒頭の美しいストリングス・アレンジは "The Shadow of Your Smile" や "Emily" の作曲で知られる Johnny Mandel。ギターは Larry Carlton が弾きました。

元々この曲は Frank Sinatra が歌うことを意識して書かれた楽曲で、Tom Bahler 自身の"失恋" から生まれた曲とのこと。その"失恋"の相手がなんと、Carpenters の Karen Carpenter だったそうで、これまた驚きです!


*写真は Quincy Jones と Tom Bahler

(富田英伸)




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