2019.03.03 - Magic Voice
Day By Day Day By Day
Bob Flanigan

The Four Feshmen (1955)

(2019年3月3日SSB『リクエスト特集』で The Four Freshmen "Spring is Here" がかかったので、)

Magic Voicesシリーズ、
The Four Freshmen の Bob Flanigan を取り上げます。

The Four Freshmen は現在でも活動を続けている伝統あるグループですが、今回は特に The Four Fresmhen の創設時のメンバーでトップテナーの Bob Flanigan に焦点を当ててみたいと思います。

The Four Freshmen の成り立ちを簡単に。
1940年後期、Ross Barbour と Don Barbour のインディアナポリス出身の Barbour 兄弟は大学時代に楽器を弾きながら、歌うコーラスグループを作ろう考えます。そこで声をかけたのが、後のバス担当の Hal Kratzsch、そして2人のいとこで後のテナーの Bob Flanigan でした。いくつかグループ名を変えて、最終的に The Four Freshmen と名乗るようになります。4人は演奏しながら歌う訓練を続け、いくつかのライブに出演、その素晴らしいパフォーマンスが Stan Kenton に認められる形で、1950年に Capitol Records と契約を結びます。1952年にリリースした "It's A Blue World" がヒットし、人気を勝ち取ります。

The Four Freshmen のコーラス・ハーモニーがこれまでの男声コーラスグループと違って何よりも画期的だったのは、一番上のパート、トップテナーがメロディ(主旋律)を担当したことだと思います。これまでバーバーショップ・スタイルと言われた男声カルテットは、上から2番目、主にセカンドテナーがメロディ(主旋律)を担当し、凡そ1オクターブ幅に収まったハーモニーでした。

トップテナーがメロディ(主旋律)を担当、かつオクターブ幅を超えた解放感のあるハーモニー(解離和音=オープンハーモニー)を保つためには、どうしてもかなり高い声が必要となります。その声を女声でなく、男声でやってのけたのが、Bob Flanigan でした。Bob Flanigan の持ち前の伸びやか声と柔らかいファルセットでそれを可能にしたんだと思います。

このボーカルスタイルは Hi-Lo's の Gene Puerling や The Beach Boys の Brian Wilson にも大きな影響を与えました。何よりも聴いていて素直に心地よく感じるハーモニー・スタイルです。

The Four Freshmen はメンバーは長い歴史の中、メンバーが交代していきましたが、Bob Flanigan は創設から1990年代まで在籍し、屋台骨となってグループを支えました。2011年に84才で旅立ちました。

今回は The Four Freshmen がライブステージなどで実際に誰がどのように演奏し、歌唱しているかわかるように映像付きで聴いていきたいと思います。

The Four Freshmen のライブステージですが、メンバー1人1人が歌いながら弾ける弦楽器(ギター、ベース)やドラムス、そしてソロの管楽器(トランペットやトロンボーン)の2種類の楽器をこなすところが凄いです!


Day By Day (Axel Stordahl-Paul Weston-Sammy Cahn) / The Four Freshmen (Live)

1955年発表のこの曲を1960年以降のライブ演奏で。冒頭、Bob Flanigan がトロンボーンを吹いて始まります。低い2人(Ross Barbour、Ken Albers)が歌って、その後 Bob Flanigan がハイトーンで入ってくるところ。何とも心地いいですね〜!たった4人だけの演奏、歌ですがグルーヴ感があります。


Graduation Day (Joe Sherman-Noel Sherman) / The Four Freshmen (TV Show)

1956年発表の曲。曲を書いたのは Joe Sherman-Noel Sherman。ここでは Bob Flanigan はウッドベースを弾きながら歌っています。こうやって映像と一緒に聴くと、途中から入ってくるトップテナー、Bob Flanigan の重要性がよくわかります。ソロをとるのは Ken Albers、3代目のバス担当です。


Shangrila (Robert Maxwell) / The Four Freshmen (Live)

続いて、ハープ奏者の Robert Maxwell が書いた曲を。左から、Ross Barbour(ドラムス) 、Ken Alber、Bill Comstock(ギター) 、Bob Flanigan(ウッドベース) 。
Bill Comstock は1960年代になって Don Barbour と交代した人です。


Poinciana (Buddy Bernier-Manuel Lliso-Nat Simon) / The Four Freshmen (TV Show)

今回の映像で一番古いものです。創設オリジナルメンバーだと思います。後にこの曲は後に1956年のアルバム『Freshmen Favorites』でスタジオ録音されました。南国の熱帯夜を想う、真夏の夜に聴きたいナンバー。


In This Whole Wide World (Gene Roland-Jacques Cascales) / The Four Freshmen (Live)

1956年のアルバム『Freshmen Favorites』に収録されたナンバー。バスの Ken Alber のソロの後、Bob Flanigan のハイトーンが入ってきて解放します。この感じがいいです。間奏は Ken Alber によるトランペット。ラストの Bob Flanigan のファルセット、素晴らしいです!


Day By Day (Axel Stordahl-Paul Weston-Sammy Cahn) / The Four Freshmen (1964、Live In Japan)

"Day By Day" をもう一度、聴いてみたいと思います。1964年に来日し、NHKテレビ番組に出演した映像がこのように今観ることができます。現在、こんな貴重なライブが聴けるのは幸せなことですね。パート1からパート7までありますのでお時間あるときに是非!

(富田英伸)

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