81年11月に発表された独身最後のアルバム。デビュー時から良き兄貴分だったセンチメンタル・シティロマンスの面々、大貫妙子、伊藤銀次、村松邦男といった元シュガー・ベイヴのメンバー、そして翌年に公私ともにパートナーとなる山下達郎らがバックアップ。一部からアイドル視されつつも着実に音楽的成長を遂げたまりやが作りあげた、傑作モニュメント・アルバムである。
この作品はRCA時代ではもっともバリエーション豊かな作品でもある。カントリー・ロックからマージー・サウンド、60'S ガール・ポップス・・・と、とても表情豊か。まりやの愛するサウンドが、彼女の手にかかって更にスパイスを効かせ、味わいを増している。ちなみに達郎は5曲に拘わっているが、今やマリッジ・ソングの定番となった「リンダ」を始め、「ウェイトレス」、「Special
Delivery〜特別航空便」といった佳曲が並ぶ。特に「ウェイトレス」は続・「夏の恋人」といったタイプの曲で、達郎の「潮騒」などとはまるのでは?
エンディングを飾るのは、仲間の安部恭弘のペンによる、アメリカ留学の淡い恋の思い出を歌った「ポートレイト〜ローレンスパークの思い出」。もともとこのアルバムは79年に世を去ってしまったホームスティ先のお父さん、M.フォード氏に捧げられており、この曲のまりやの歌声は単なる郷愁だけでなく、どこか悲しさを秘めて胸に響いてくる。
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