達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

1999/07/04 Sunday Song Book「Brian Wilson 来日記念特集」



山下達郎/アトムの子 1999/7/14 Single, 1991『Artisan』*1
The Beach Boys/There's No Other(Like My Baby) 1965『Beach Boys' Party!』*2
The Beach Boys/I'm So Young 1965『The Beach Boys Today!』*3
The Beach Boys/The Surfer Moon 1963『Surfer Girl』*4
The Beach Boys/Kiss Me, Baby 1965『The Beach Boys Today!』
The Beach Boys/Your Summer Dream 1963『Surfer Girl』*5
The Beach Boys/We'll Run Away 1964『All Summer Long』
(BGM)The Beach Boys/Summer Means New Love 1965『Summer Days(And Summer Nights!!)』
(BMG)The Beach Boys/God Only Knows(Stereo Backing Track) 1997『The Pet Sounds Sessions』
The Beach Boys/Surf's Up(Previously Unreleased) 1993『The Good Vibrations:Thirty Years Of The Beach Boys』*6

*1 「サタスマ」のテーマソング。シングルリイシュー用のリマスター。シング
ルのc/wは初回同様「Blow」だが、再発盤は両曲のカラオケ付き。
*2 OriginalはCrystals(1961年)。
*3 Doo-Wop Song。OriginalはStudents(1958年)。
*4 1962年にBob & Sherryに書き下ろした曲(Brianの初のProduce作品といわれる)。
*5 Brianが一人だけで歌い切った曲。達郎氏曰く「珍しい。それだけ思い入れが
強い作品なのでしょう」
*6 Brian Wilsonによる弾き語りヴァージョン。

一節
Your Summer Dreamのイントロ

内容の一部
・近況
「6月一杯のノルマはクリア。今月は曲書き。向う2週間で人に何曲か。スタ
ジオでお籠りの後は内でお籠り。」

・Brian Wilson特集について
「来日記念ということで、比類無きボーカリスト(だった)Brian Wilsonがメイ
ンボーカルを取るBeach Boysの曲の特集」

・「昨今のBeach Boysのブーム、特に若い方のPet Sounds/Smile/Brian Wilson
教というか、新興宗教のような捻れたブームがあって、抵抗があるが、そうい
うものを作った責任の一端は自分にあるので、あまりメンションしないように
していた。この特集もやるつもり無かったが、この間CNNでBrianの米でのライ
ブシーンを見たら血が騒いでしまって、やっぱり私この人が好きなんだと(笑)。
じゃあ、やっぱり番組で特集はやろうと。従って、ひねくれ者の山下から昨今
の捻れたブームへの批判的コメントが沢山でますが、共感されるもよし、反発
されるもよし。辛口のBeach Boys特集ですが、Beach Boysですから良い曲ばか
りです。」

・「Beach Boysの音楽は歌中心で演奏が小さくてショボイ感じがする為、後ろの
Every Little Thingなど他の番組と張る為に、デジタルプロセシングでドーン
と音圧を上げている。よってBeach Boysの感じではないと御不満の方も居られ
るでしょうが、ラジオ向きということで。これを売り物にしたら叩かれるでしょ
う。」

・「『Today』以降のアルバムは全てモノラルなので、位相を変えて広がる感じ
にしている。」

・「番組中に苦言を呈するつもりだったが、Beach Boysを聴いていたら、どうで
もいいかという感じになってきた(笑)。私も大人になったのですかね。」
# しかし、最後に出て来ます。

・リスナーより「BrianやBeach Boysなど往年のスターはほとんど昔の曲でライ
ブをやるイメージがありますのがどうでしょうか。Venturesもそうですが単な
る営業に終っている気がして仕方がない。よく言われるが、商業的に成功した
Claptonは枯れているが音楽的に前向きなJeff Beckが好きという人が数多くい
ます。達郎さんにも末永く歌って欲しいです。決して枯れないで下さい。」

達郎氏「おっしゃりたいことはよく判る。お若い人なのでしょう。でも
Brianは私の10歳上で56歳です。普通56になったら現役をやることさえできま
せん。ましてや新曲を書いて22,3の頃のように新しい作品を出すなんてことは
有り得ません。最近坂本龍一さんが47歳で現役最年長のNo.1の記録を作りまし
たが、歴代の記録では石原裕次郎さんが51歳。アメリカでも先日のCherの
「Believe」が51,2歳でビルボード始まって以来の記録を更新しました。こと
程さようにスポーツ選手の次に寿命が短いのがミュージシャン。特に
creativityは20代でほとんどの人が無くなります。それで後は営業と言われる
懐メロショーで生きていく。それに比べて今のRock'n'Rollの人達は、全く無
から有を生むcreativityに於いて枯れていくと思いますが、演奏するパッショ
ンというものは失われていない。Claptonが枯れているなんて全く嘘です。彼
はBlues Guitaristでまだまだプログレスしているし、まだこれから更に良く
なると私は思う。B.B.KingとかGuitaristは70〜80になってもいけますが、作
曲家・作詞家・編曲家は流行と背中合わせですので50〜60になっても物凄い作
品を生むのは難しい。やっているだけで偉いという感じで見て欲しい。
Brianが復活してアルバム2枚出したけど60'sよりポテンシャルが下がったっ
て、当り前でしょ!ドラッグから帰って来たことだけで、凄いことだと思って
やるべきだと思う。」

・リスナーより「実際にBrianに会ったことがありますか?会ったら何を話した
いですか?」
達郎氏「会った事もないし、これからも会いたいと思わない。私自身
Musicianだからかも知れないが、別にその人に会いたいとか、友達になりたい
とか言うんじゃなくて、音楽を聴きたいだけ。Musicianに友達がいますが、友
達であるだけでMusicianだから友達なのではない。彼は私のアイドルだけど、
天才肌の人なので会っても打ち溶けられるとは思えない。もう一人のアイドル
であるFelix CavaliereはとてもWarmな人なので、この人とは会っても話をす
るし、冗談も通じる。僕にとってBrianは音楽の人なので、今回もインタビュー
や対談を持ち込まれたけど、みんな断った。必要ないからです。音楽が聴きた
いだけで、会いたい訳じゃないので。」

・「昨今90'sに入ってBrianが神格化されているというか。今回の公演はFM東京
主催なので、毎日Beach Boysがかかる。それ自体は嬉しいことなのだが、ヤン
グジャンプにまでBrianの特集記事が載るようになると、なんか違うんじゃな
いかと。だったら30年前にやってくれよと。こういうメディアの軽薄さ、浅薄
さが死ぬ程(嫌だと)思う今日この頃。若い人のイメージというのはミュージシャ
ンの不滅(性)というか、ステージを20代も50代も同じ視線でとらえている風潮
がある。だから若いライターは『今度のライブはどんなステージか』って。そ
んなのはどうでもいい。Brianはドラッグで廃人同様になって、絶対再帰不能
と言われていたのにワールドツアーまで出来るようになった。それだけでいい
じゃないか。60's中期のBeach Boysの音楽は(自分にとって)掛け替えのないも
ので、それをBeatlesと並べてどーだとか、McCartneyが影響受けたとかって、
どーでもいいんです、今ごろ。だからBrianがステージで歌って演奏する、そ
れを我々がそれを静かに聴く、言って見れば文化功労者のような応対で、この
人が何を歌うかではなく、この人が何をしてきて、今こうやって生きて来て、
我々がこうやってその時間を共有しているということで、それだけで十分なん
です。バックミュージシャンとか全く興味ありません。Jeffrey Foskettが居
ようが居まいが全く興味がない。僕にとってBrianはそういう存在なので、こ
れから何をするかじゃなくて、如何に凄いことをやって来た人が、一回死にか
けて又戻ってきたというベクトルというか。5分や10分じゃ言えませんが、こ
のことを言いたくて今日番組をやっているので、あまり過度に、何というか、
浅薄な騒ぎ方をしないで欲しい。でもBeach Boysを聴いているとこんな御託も
どうでもよくなってくる(笑)。」

# この辺は幾分冗長ですが、敢えて要約しませんでした。

・長崎市のいとうゆうすけさん(眼科医の方)より、7/17(Sat)に福岡市でBeach
Boys Conventionの第3回目を開くので、参加を呼びかけて欲しいというメッ
セージ。時間は19:00〜。連絡先は092-712-2545「輸入レコードショップ山兵」。

・ビアグラス当選者発表(10名)。

・Associationの'The Time It Is Today'の達郎氏直筆の楽譜の件
「見つかりません。返信用に送られた封筒とか全部取ってあるんですけど。改
めて書き直せばいいんですが、仕事がたて込んでしまって書く暇がありません。
罪滅ぼしということで、'Don't Worry Baby'ならあります。20歳頃に書いた物
です。これをあげますのでご応募下さい。ただお送りする為の方法として、返
信用の封筒と切手ぐらいは用意して下さい。」

・達郎氏は最後に「Welcome to Japan, Brian Wilson. We love you!」。

今後の予定ですが
・7/11は「棚からひとつかみ」。
・7/18は「リクエスト特集」。



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