2001/07/15 Sunday Song Book「棚からひとつかみ」

達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2001/07/15 Sunday Song Book「棚からひとつかみ」

山下達郎/踊ろよ、フィッシュ 1987 Single, 1995『Treasures』
Paul Revere & The Raiders/Him Or Me (What's It Gonna Be)
1967『Revolution!』*1
Small Faces/Sha-La-La-La-Lee 1966『Small Faces』*2
Chet Atkins/Main Street Breakdown 1949 *3
Chet Atkins/Yankee Doodle Dixie 1958『Chet Atkins At Home』*4
Chet Atkins/Trambone 1962『Down Home』*5
The Oracle/The Night We Fell In Love 1966 *6
Dante & His Friends/Now I've Got You 1962 *7
山下達郎/君の声に恋してる 2001 *8

*1 Portland(Oregon州)出身5人組。Mark Lindsay(lead vocal)。
Sundazedからのリイシュー。全米5位のヒット。
*2 Deccaレーベル時代。全英3位。
*3 60年代頃のFENカントリー番組のテーマソング。
*4 「Yankee Doodle」と「Dixie」の二つの曲を演奏している。
*5 Spotnicksがカバーした曲でChet Atkinsのオリジナル。達郎氏は「トランボ
ーネ」と読んだが正確な読みは不明とのこと。
*6 Curt BoettcherとKeith Olsenの共同プロデュース。オリジナルシングル。
*7 Dante & The EvergreensのDanteを中心とするグループ。Beach Boysがカバ
ーした「Miss America」のシングルB面曲。Dante自身の作品。Imperial
レーベル。オリジナルシングル。スクラッチ入り。
*8 プロモシングル用モノラル・ミックス・バージョン。

一節
Alley-Oop (Dante & The Evergreens)

内容

・近況

「まりやのアルバムが出来上がって、やっと暇になるかと思いきや、いろいろ
と雑用がありますね。年取るとなんかこう、あれやれこれやれ言われまして。
制作ノートを書けだの、テレビスポットを作れだの。最近はそういうのが内で
作れますからね。便利なんですけどその分自分のノルマが増えていく。なんか
いろんなことをやらされていると、雑用に追われて毎日忙しい。こういう時は
得意技"棚つか"。先々週は真っ黒だったので、今週は夏に入ったことだし真っ
白けで行ってみようか。なんだかよくわかりませんが。」

・Chet Atkins追悼

「先日John Lee Hookerの訃報を聞いた直後に今度はChet Atkinsが亡くなり
ました。Chet Atkinsは随分前から癌だという情報が入っておりまして、抗癌
剤の副作用で手が動かなくなっていて、Chet Atkinsのエイドをやろうという
運動が起こりかけた矢先のことでした。前にギタリスト特集で一度かけたこと
がありますが。Chet Atkinsはアメリカが生んだ最も偉大なギタリストの一人。
5分や15分で説明がつくようなものではないので、本当は一週間特集をやるべき
なんでしょうけど、今とても心の余裕がございませんので、先日のJohn Leeと
同じで何曲かけたいと思います。」

「Chet Atkinsというと我々世代にはFENのカントリーの番組のテーマソングで
これ(Main Street Breakdown)が流れておりまして、私達が小学校や中学校の
時に初めて聞いた彼の曲といえば、だいたい日本人でしたらこの曲じゃないか
なと思います。」

「アメリカ南部、いわゆるカントリーミュージックの中で育ち、カントリーを
代表するギタリストであると共に、アメリカを代表するギタリスト。エフェク
タ、フェイズ・シフターとかディストーションとかの開発にも非常に深く関わ
っている。エレクトリックギターを語るには切っても切れない人。私もステー
ジで使うエレ・アコとかエレ・ガットはギブソンのChet Atkinsモデルで、何
年も十年以上使っております。」

「星の数ほど名作があるので、２，３曲しかかけられないのがどうしようもな
いのですけど、この曲(Yankee Doodle Dixie)は2分足らずだが、Chet Atkins
の特徴がよく出ていると思う。「Yankee Doodle」と「Dixie」を一緒に弾いて
いるという、すごい超絶テク。」

「ギタリストだけでなく、プロデューサーとしても有名。グラミーを１４回獲
っている。史上最年少、４９歳でカントリーのHall of Fameに入った。兎に角、
超人であります。何しろ凄いのはロックンロール以前の人ですから、顔色一つ
動かさずに超絶テクを披露する。グルーヴというものが所謂「のっているか！」
とかそういうものではないということがよくわかる。そこらへんのジャズ・ギ
タリストより全然テクが凄い。もう言うことが沢山あります。」

「我々の世代にとって彼の作品で物凄く馴染みが深いのは、Spotnicksがカバ
ーしたTrambone。これは彼のオリジナル。」

「なにしろ5分や10分じゃ何も語れないので、日を改めて一周忌ぐらいになった
ら特集をしたいと思います。二十世紀最高のギタリストの一人、Chet Atkins、
心からご冥福をお祈り申し上げます。」

・禁煙話

「私はタバコはぱっとやめたので、禁煙はぱっとやめなきゃだめだ、20本を10
本に減らすとか漸減はだめだなどと以前口からでまかせをいいましたが。実は
私の３０年来の友人で、一緒に中学校からバンドをやっていた人がいるんです
が、彼が呼吸器科の医師でして、禁煙の専門家であります。彼に言わせると、
人間のストイシズムに期待して止めるのは無理があると。そういうレポートを
私のところへメールを送ってきました。『ニコチンにはヘロイン、コカインと
同等の麻薬作用がある。禁煙を実行すると禁断症状が開始後一週間から二週間
の程度、特に直後の三日はきつい。強く出て5%の人しか成功しない。行動療法
を行うと30%に上がる。』この行動療法ってよくわかりませんが。『ニコチン代
替療法、ニコチンパッチやニコチンガムなどですが、これと行動療法を併用し
てきめ細かいサポートを専門医にやってもらうと、なんと90%近い成功率がえら
れる。しかもつらい禁断症状も無く二週間程度でらくらく禁煙できる。欧米で
も１０年以上も前からニコチンの代替療法が行われている』んだそうです。
『禁煙は決して諦めず、専門医と相談すること。』これがポイントだそうです。
『楽に確実に成功します。』したがって自分の意思ではどうにもならないとこ
ろがあるので、必ず専門医に相談しようということでございました。あしから
ず。ためになるSSB。折角禁煙の話が出たので、そこまで話をしないと気がすま
ない。」

・Curt Boettcher/Oracle

「Curt Boettcher、いわゆるソフトロックという最近のだんだん私の嫌いな言
葉になってきましたが、その周辺では熱狂的な指示があります。一番有名なと
ころではAssociationのプロデュース。West Coastの60'sのコーラスシーンに
は非常に大きな影響を与えた人で、私なんかもたとえば「クリスマス・イブ」
のエンディングもCurt Boettcherがいなかったらああいうアレンジにはならな
いという。コーラスが好きな人なら誰しもCurt Boettcherのコーラス・アレン
ジメントの影響を受けております。特にアメリカのWest Coastの音楽で育った
人間はみんな受けております。いろんな仕事をしておりますが、彼の初期の仕
事で、若い頃一緒に仕事をした人にKeith Orsen。Fleetwood Macのプロデュ
ースなどで当てたりして、この人の方が遥かに有名ですけど。この二人は若い
頃から友達で、一緒に仕事をずっとしておりまして。彼らが二人で手がけた
Oracleというグループがあります。全く無名のグループですが、1966年に
Verve for Castで一枚シングルを出しています。曲を書いているのがKenny
Greenという全く無名の人。これが凄くいい曲で、ボロボロのシングルしか持
っていなかったのですが、今回状態のいいシングルが手に入ったので番組でお
かけしたいと思います。」

「Curt Boettcherの特集なんて結構面白いものができそうだけど、手間かかり
そーだなー、ネタ仕込むのに。気が向いたらでありますが。」
# やってー！！

・Dante & His Friends

「Beach Boys『Surfin' Safari』でカバーしている「Miss America」のオリ
ジナル。Danteという人はDon Drowtyという本名で、この人はDante & The
Evergreensというグループで２曲ヒットを持っている。ひとつは
「Alley-Oop」、もう一つはBarry Mannの曲「Time Machine」。このDanteの
マネージメントをやっていたのがHerb AlpertとLou Adlerで、Sam Cookeと同
じプロジェクトであります。50年代の終わりから60年代の頭、West Coastの
White Doo Wopの流れですね。「Miss America」シングルのB面「Now I've
Got You」はWhite Doo Wop然としたいい曲です。」

・プレゼント

「君の声に恋してる」プロモシングル。「君恋」と「ソーマッチ」と、カラオ
ケの代わりに「君の声に恋している」のモノラルミックス。非売品。10名に。
7月いっぱい募集。

「こういうウォール・オブ・サウンドをやるとすぐモノラル・ミックスを作り
たがる奴。」

8月には『ボナペティ！』プロモグッズを予定。

今後の予定

・7/22も「棚からひとつかみ」。
・夏は暑いので「サマーサウンド特集」など。
・8月にはまりやさんを呼んで「ボナペティ特集」を二週間。
・その次には「納涼夫婦放談」を二週間。
・10月頃にライブ特集をやる予定。

circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。