達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2001/12/30 Sunday Song Book「年忘れ夫婦放談(2):ゲスト 竹内まりや」



竹内まりや/毎日がスペシャル 2001『Bon Appetit!』
竹内まりや/マージービートで歌わせて 1984『Variety』
The Beatles/I'm Happy Just To Dance With You 1964『A Hard Day's Night』*1
The Beatles/Devil In Her Heart 1963『With The Beatles』*2
竹内まりや/Something 2001 *3
山下達郎/Over You 2001 *4
山下達郎/Loveland, Island 1982『For You』, 2002/1/23発売予定 Single
竹内まりや&山下達郎/Let It Be Me (LIVE) 2001『Souvenile』

*1 Lennon/McCartney作。歌はGeorge Harrison。邦題「すてきなダンス」。
リアルステレオのアナログより。
*2 George Harrison歌。オリジナルはThe Donays「Devil In His Heart」
(1961年)。
*3 カラオケもの。オリジナルはThe Beatles『Abbey Road』(1969)。
George Harrison作。
*4 カラオケもの。米国の新洋楽カラオケを利用。
オリジナルはGary Puckett & Union Gap(1968年)。4thヒット。

一節
Raunchy (Bill Justis)

内容

・George Harrison追悼

Q:まりやさんはGeorgeの91年の来日公演の時に本人にお会いしたんですよね。
その時の話を聞かせていただけませんか。

ま:丁度10年前の横浜アリーナにEric Claptonと一緒にやってきたときに、た
またま楽屋に招かれた。
達:一日目に行ったんだよね。初日はあなたと何人かしか居なくて、二日目から
は楽屋から出てこなかったんだよね。
ま:ああ、そうだったんだ。じゃあ自分はラッキーだった。あまりにも恐れ多い
人なので、会うなんて心構えはしてなかった。凄くやっぱり思っていた以上
に素敵な人で、なんかこう人柄がにじみ出てたね。格好良かったし。それか
ら10年たっていなくなるとは思わなかったので。だからなんかもう、私もす
ごくショックです。今もまだ信じられない。
達:今日の前半は竹内まりやさんの要望でGeorge Harrsion関係で攻めてみよう
と。
ま:追悼の意を表してですね。
達:一人でやってください。
ま:いえいえ、そんなそんな(笑)。

・素敵なダンス

ま:初期のBeatlesの、Lennon/McCartneyの曲を彼が歌っているというパター
ンがすごくすきなのね。
達:そんなに何曲もないでしょ。
ま:彼のボーカルってまた一種独特の味があるでしょ。そんな中で一番好きな、
64年のレコードでよく聞いた、この「すてきなダンス」。

♪すてきなダンス

達:うちのCDは全部モノラルなんですよ。だからリアルステレオ・バージョンは
LPしかないんで、そこから録ってマスタリングしてお聞きいただいてます。
ま:私はこれを小学校の時にシングル盤で買って、カップリングが確か「Tell
Me Why」。この二つを随分聞いたのを記憶があるんですけど。でもGeorgeが
亡くなったってニュースを聞いた日に、やっぱ朝まで眠れなくて、BBCとCNN
をずっと見てたのよ。そしたらどうしても「A Hard Day's Night」が見たく
なって。Georgeがこれを歌うシーンの最後にMcCartneyとLennonが「♪Oh〜
っていうハーモニーがいいよね」といって、そのシーンが本当に忘れられな
い。

・Devil In Her Heart

ま:これ、Beatlesのオリジナルじゃないのよね。
達:これはDonaysというね、全くヒットしない曲なんだけど。いつもこの番組
で言うんだけど、BeatlesとかってLiverpoolでしょ。たとえばManchester
とかLiverpoolとか港町ってアメリカ東海岸と貿易があったわけじゃない。
PhiladelphiaのUS Steelとか石炭の積み出しとかそういうことをやってて
。向こうに船員が行ったときにシングル買ってくるわけ。それをLiverpool
とかのバンドの奴らがクラブで先物買いで演奏してるわけ。Beatlesはその
辺かなり凄くオタクな人たちで、「Mr.Moonlight」なんて曲はDr.Feelgood
という人たちがやっている曲なんだけど、B面なの。だからもしBeatlesが扱
わなかったら、おそらく歴史に埋もれて全然忘れ去られた曲だったんだけど
、Beatlesがやったためにね、だれでも知っている曲になったという。
ま:だからもしかたしたら、アメリカの音楽なのにアメリカの片田舎では聞かれ
てないような曲を、Liverpoolで聞いてた連中が一杯いたってことだよね。
達:そういうこと。だからヒットチャートに上がるも上がらないもなくて、店先
に飾ってある奴を船員が一掴み持ってきたわけよ。たとえばAnimalsがやっ
ている曲でもオリジナルが誰だか未だに判らない曲が何曲もある訳。これは
Donaysという黒人のガールグループの曲なんだけど、今は聞けるんだけど、
オリジナルが聞けるようになったのはここ10年ぐらい前。それまでめちゃく
ちゃ高いシングルだったんだけど。
ま:これを歌うGeorgeの英語の発音が凄く好きです。

♪Devil In Her Heart

達:こういうカバーはBeatlesの場合、クラブバンドで演奏力があるので、「
Money」とか、これにしてもオリジナルと一歩もひけを取らない。オリジナ
ルより良かったりする。
ま:かっこいいわ。今聞いてもかっこいい。
達:(笑)

・Raunchy

Q:George Harrisonを仲間に入れるか、客のいない深夜バスでJohn Lennonが試
した時、GeorgeはJohnの好むインスト曲「Raunchy」を弾いて合格したと新聞
に書いてありました(12/5毎日新聞)。「Raunchy」とはどんな曲ですか。

達:「Raunchy」とはBill Justisという人の大ヒット曲。簡単な曲なので。
♪(演奏)
ま:聞いたことがあるような気が(笑)。でもサンソンでBeatlesの曲かかるこ
とあまりないね。
達:だって他の番組でいくらでもかかるもん。
ま:でも私Georgeが居なくなって、いかにGeorgeが好きだったか確認しちゃた
ね。
達:最も大事なものは失った時にわかるという。
ま:やっぱ着てるものとか一番格好よかったし、一人男性としてBeatlesの中で
誰が一番好きだったかっていったら、やっぱGeorgeだったね。
達:判官びいきって奴。みそっかす。
ま:いや、なんかそういう存在だったんです。
達:Georgeは評価がね、全体的にアイドルグループだったから低いじゃない。
ギターも実はJohn Lennonの方が上手いとかね。いろいろなことを言われて。
この人はカントリー系のギターなんだよね。だからブルースギター系とか、後
のヘビーメタルやジャズとかとはタッチがね。
ま:ヒルビリーから入ったからね。
達:Chet Atkinsとかカントリーの指で弾くギターで始まっている人だから。だ
からClaptonとか比べて上手いとか下手とかいうのは全く次元が違うの。そこ
を間違えないようにしないとダメなんですよ。

・Something

ま:Johnは元々カリスマな人で、40歳の時にあの亡くなり方で永遠のカリスマ
になったじゃない。Georgeってやっぱ亡くなり方が寂しすぎたの。
達:そうかね。
ま:でも長く患ってとかさ、そういう意味で。本当に素敵な人柄でしたね。唯一
会って言葉を交わせたBeatleでしたから。そういうGeorgeの曲を歌うことに
よって追悼の意を表したいと思います。

♪Something

達:やっぱりあれだな。バンド物のカラオケはどこまで行ってもダメだな。やっ
ぱスタジオミュージシャン然としたオケの方が再現性があるというかさ。
ま:気は心でね。
達:(笑)なんかCarpentersが「Something」をやっているみたい。
ま:やっぱり女の人の声じゃね、そういう感じにならないみたい。
達:Claudine Longetとかいろいろありますけど。そういうわけでGeorge
Harrison享年58歳。
ま&達:ご冥福をお祈りします。

・Q&A

Q:まりやさんは達郎さん以外の人ともしご結婚されていたら、なんの職業の方だ
ったと思いますか?

ま:そんなこと(笑)。逆に職業で選ぶかな?
達:医者じゃなきゃいやだとか、そういうのがいるじゃない?
ま:いる?たまたま好きだった人が医者だったということじゃないの。まあお見
合いとかあるからね。
達:たまたま好きだった人に旦那が居たとか。
ま:たまたま好きだった人がミュージシャンだったというよりは、ミュージシャ
ンだったから結婚したのかも知れない(笑)。
達:それは鶏が先か卵が先かですな

Q:お二人は外出されるときに手をつないだり腕を組んだりされますでしょうか。
私の主人は嫌がってしてくれません。私は両親がごく自然にこういうことをし
てきたのを見てきたのでちょっと寂しくもあります。主人曰く「僕は照れ屋や
ねん」大体がこの一言で終わります。そこで決めたんです。家から一時間以上
かかるところなら手をつないでもいいと。そしたらなるべく遠出をしないよう
になってしまいました。ちゃんちゃん。

達:よくある話です。これは男の美学として、みんなそれぞれあるんです。
ま:知っている人が見てないところだったらするよね。
達:馬鹿馬鹿しい(笑)。誰だってしてんでしょう、この人だって。しょうがな
いね本当にもう。全然答えになっとりません。
ま:いや、でも私、六本木の交差点を達っつぁんと手をつないで歩いた記憶があ
るよ。
達:昔でしょ?
ま:全然昔じゃない。最近。
達:いつでしたかね。そんなことがあった、ような。

・Over You

達:カラオケが一曲残っています。
ま:レア音源をね。
達:どこがレアやねん(笑)。先週に続いて今週もGary Puckett。4thヒット。
これが一番好きな曲なんです。
ま:でも山下達郎の声にUnion Gapって合うね。
達:はまってます。Gary Puckettか山下達郎か、なりたくねえ(笑)。

♪Over You

達:私高校一年の時です。夜に勉強しながら、これがFENでかかっておりました
。こういうのがカラオケ屋にあれば、行ってもいいなと思いますが。全く歌謡
曲を聞かなかった高校時代なので。

・Q&A

Q:達郎さん、まりやさんは二人で芝居を見に行ったことはありますか?

ま:私たちは一緒にコンサートに行くより、芝居を見に行った方が多いかもしれ
ないね。
達:この間は奈良岡朋子さんと大滝秀治さんの。
ま:イタリアの翻訳劇を見に行ったり。
達:三越劇場。
ま:後は森光子さんのをみたり、ヒガシ君のをみたりね。
達:芝居の方がライブより沢山みてるかもしれない。音楽の趣味が合わないんだ
よね。
ま:音楽は個で聴くものなの。映画と音楽はね。
達:竹内まりやさんと映画に行くとね、映画見る前にやれポップコーン買って、
マクドナルドへ行ってコーヒー買って。
ま:そんなことしないよ(笑)。
達:そういうのが面倒臭いんですよ。
ま:ポップコーンとコーラはやっぱ映画を見る前に必ず必要なものなのよ。
達:そんなものはスパッと行って、まっすぐ行って、ダンと座って、ジュッと見
て、スッと帰りゃいんですよ、そんなものは。もうほんとに。どうしてああや
ってそんな長く。それでもうだめになっちゃうんですね。イライラしてくるん
です、もう。
ま:(笑)

・来年の予定

達:竹内まりやさん、来年の予定は。
ま:未定です。プロデューサの達郎さんがすごーく来年は活動なさると聞いてま
すので。
達:来年は私がやります。
ま:さっそく一月にはシングルを出すということで。
達:出すっていっても20年前のシングルですからね。
ま:それがフジテレビの一月のドラマの主題歌になるんですってね。
達:どうなってんでしょうね。リサイクルですね。
ま:「漂流教室」だっけ
達:「ロング・ラブレター〜漂流教室」。私もまだ全貌が。
ま:窪塚さんが出てんだっけ。
達:常盤貴子さんと窪塚洋介さん。
ま:でも「Loveland, Island」はシングルカットしたことがなかったんだよね
。シングルだったような錯覚が。
達:CMだったんだけどね。あの当時はシングルを切らない方がアルバムが売れる
時代だったから、わざとシングルを切らないで。今と全然違う。ナイーブな時
代だ。
ま:でもリマスター盤を一斉に出す時期にドラマが入るとはね。偶然だったんで
すね。
達:偶然中の偶然。誰もそうは言わないけれど、僕のところの社長は「偶然、偶
然」って言ってます。

・来年のツアー

ま:今度のツアーは古いRCAの時代のばっかりやるでしょ。楽しみだね。
達:まあ、いつものツアーでも半分ぐらいは昔の曲だから。「また昔の曲ばかり
やって」って言われるんだけど。よく考えたら17,8年やってない曲ばっかり
なんだよね。「Circus Town」なんて20年近くやってないし。
ま:「Solid Slider」なんかも。
達:そうだね、20年近くやっていない。「Let's Kiss The Sun」なんてまとも
なマルチトラックレコーディングが残っていないんだもん。不思議なことにね
。そういうのを重点的にやろうという感じでございます。
ま:旦那さんがいろいろ忙しいんで私はまた籠りますわ。
達:シングルがいつ出るかみたいな感じでしょうね。来年は前半私が働かせてい
ただきます。
ま:頑張ってください。

・最後にメッセージ

達:月並みですが全国の竹内まりやファンのみなさんに一言メッセージなんつー
のも、いかがでございましょう。
ま:今年は9年ぶりにアルバムを出させていただいて、沢山の人に聞いていただ
けて、私にとってはすごく実り多い一年となりました。でも世の中的にはね、
凄く悲しいことが沢山あったりしたので、来年はもっと明るい年になるように
と祈っております。

・プレゼント

(1)『Bon Appetit』全15曲の直筆歌詞カードセットを10名。
(2)山梨県のワインメーカー「すずらん酒造」の『ボナペティワイン』を10名。

今後の予定

・1/6,13は大瀧詠一さんをお招きして「新春放談」。Carole Kingの話など。
・David Gatesの特集は?



circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


Copyright (c) circustown.net 1999 - 2006, All Right Reserved