達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/1/6 Sunday Song Book「新春放談(1):ゲスト 大瀧詠一」



大滝詠一/Rock'n' Rollお年玉 1977『Niagara Calendar』
大滝詠一/Go! Go! Niagaraのテーマ〜Dr.Kaplan's Office 1976『Go! Go! Niagara』
大滝詠一/趣味趣味音楽 1976『Go! Go! Niagara』
大滝詠一/ジングル;ベースボール 1976『Go! Go! Niagara』
小林旭/ダイナマイトが百五十屯 1958

内容(書き起こしに近いです)

・達郎氏50代目前

♪ロックンロールお年玉

達:あれですよ、大瀧さん。
詠:一年ぶりでしょ?しばらく。
達:変わらないね(笑)。
詠:あなたも。相変わらず。
達:大瀧さんはもっと変わらない。
詠:いくつになったの?
達:僕48です。今度の2月で49になります。いよいよ。去年年男だったんです。
詠:えー。嘘。いよいよ50の大台なんだ。ねー。老いて益々。
達:老いて益々っていーな(笑)。大瀧さんは今年で…
詠:54になるんですね、図らずも。もう違わないね、ようやく。
達:すいませんね(笑)。
詠:まああの頃から違わないっていうか。年上のような気分してたけどね、俺は。
達:でも20代っていうのは本当に、5つぐらいで物凄く圧倒的に違うじゃないで
すか。僕が初めて、行ったのが20の時ですからね。大瀧さん25でしたよ。そ
の時25の人なんて、ほとんど知り合い居なかったですもんね、学校の先生以
外は。
詠:いや若い頃ってそうだよね。妙に先輩風吹かせてるっていうんだからさ。で
も物凄く年の差があった気がしたんだよ。
達:20代はありますよ。だって中一と高一で3つしか違わないんですから。その
ときの中一と高一って、えらい…
詠:中学生と高校生って凄い違う気がしてたね。
達:でしょ。高校生と大学生というのだって凄いし。
詠:違うような気がしてたんだけど、もう一緒だよ。もう仲間増やさないと。
達:(笑)この間聞いた話ですけど、アフガニスタンでは平均年齢が46歳なんだ
そうですよ。だからウサマ・ビン・ラディンなんて壮年なんですよ。
詠:戦中の平均年齢とかって…
達:そんなもんでしょ。ロシアなんか今でも50そこそこだって言ってましたもん
ね。
詠:大体日本が変なんだよね。
達:凄いですね。日本のこの長寿っていうかね、みんな元気でしょ。うちの母親
の50の時とか思い出しますけど。なんか、とても自分がもうすぐ50になって
、自分の両親を思い出すと、変な感じですね。彼らもそうおんなじように思
ってんでしょうね。

・孫

達:実はお孫さんとか生まれるのって、意外と若いんですね、感覚的に。僕らに
したって、おじいちゃんおばあちゃんなんていわれる年なんてのは、凄くあ
れなのかなと思ってたけど、そうでもないんですね。
詠:君の方が早そうだね、おじいちゃんは。
達:(笑)そんなのわかんないじゃないですか。だってお嬢さんとうちの娘とい
くつ違うと思ってんですか。
詠:いやー、そういうの順番でいかないんだもん、こういうもんて。
達:(笑)なんてお答えしていいんですか。
詠:俺が一番早いと思ってたのに、なんでもさー、結局そうでないのね。世の中
ってなんか面白いねー。
達:まだはっぴいえんどの人たちは一人もお孫さん…
詠:いや細野さんがおじいちゃんだよ。
達:ほんとに!
詠:去年だったかな?いや一昨年だ。もう今年だから。
達:へええええ。はー、そうですか!
詠:そうなんだって。ねー意外って、もともとお爺さんみたいな人だったからね
(笑)。
達:(笑)ああいうやっぱり若いころから老成していた感じの方は、年取っても
そんなに年取らないですね。
詠:あんまり。ずーっと不変のイメージだよね。
達:16、17のアイドル然としてた人が30、40の声を聞くと、変わったという感じ
が…
詠:前のビデオとか写真が出てこなければいいと思うんだけど、最近はそういう
ビデオねー。昔の物の方がひょっとすると今よりも多く露出されるような人
なんか気の毒だね。

・著者近影なし

達:大瀧さんなんか著者近影なしでしょ?
詠:そそそそそ。すでにこの世にいないんだもん。
達:(笑)何年前かの朝日新聞のあれ見て腰抜かしましたよ。これでいいんだ!
って。僕もやろうかなって思ったけど。
詠:だって作家がみんなやっててさ、著者近影なしっていうのを聞いて。作家が
やってんだから別にいいんだろ、ミュージシャンも、っていったらさ。
達:よくOKしましたね、向こうが。
詠:聞いたのよ。なんでミュージシャンがやっちゃいけないの?決まりがあんの
?って。ったらないって。聞いてみるもんだね。
達:うーん、すごいですね。
詠:でも相変わらずミュージシャンは「さん、君」つけないんだよ。呼び捨てな
のよ。これは新聞の決まりなんだって。いや、別にさあ、「さん」とかいち
いちいって欲しいとかいう訳じゃないよ。ないけどさあ。あの前、さくらも
もこさんと仕事をした時に、「さくらももこ氏」なんだよ。「大滝詠一の」
なんだよ。おい!なんだこれは。
達:(笑)文士の方が楽隊よりは格が上だと。
詠:いやいやいやそんな(笑)。なんなんだろうね。前々からなんかあって。そ
んで規定なんだって。新聞社は歌手はみんな無いんだよ、敬称が。ま、いい
けどね。
達:じゃ作曲家は?
詠:作曲家はいいらしいよ。
達:じゃシンガーソングライターというカテゴリーがないんですね。
詠:だから随分また遅れてるよね。
達:(笑)
詠:で、どっちにしようかと迷うんだろうな。
達:なるほど。
詠:かといって、呼び捨てされたから氏が付く方になりたいとか思うのもやだよ
ね。情けないよね。
達:(笑)呼ばれりゃ呼ばれたで、また俺はそんな呼ばれ方したくない、ってい
う癖してね。呼ばれないと呼ばれないで、なんだそれと。
詠:いやー、あなた程へそ曲がりじゃないよ、俺はね。
達:人のことは言わないで欲しいなあ(笑)。年が近接してきた感じがする。会
話のテンポが。
詠:とっくにもう追い越されているような気がするよ。

・ラジオ番組「Go! Go! Niagara」復刻

♪Go! Go! Niagaraのテーマ〜趣味趣味音楽

達:大瀧さん、「Go! Go! Niagara」の復刻を始められたじゃないですか。
詠:いやー、聞いたよー。面白かったねえ。
達:一回目っていうのがね、実は記憶が混同してたんですよ。一回目がなぜか、
伊藤銀次と僕と大瀧さんと三人で、虫の鳴く秋のね、夜長を…
詠:大体世界中ね(笑)、虫の声がラジオに入っている放送ってのは、いっくら
なんでもね、アフガニスタンでも無いと思うよ。
達:1975年ですよね。
詠:だからねえ、まああそこの放送局(ラジオ関東)が電波が微弱だからさ、わ
かる人は少なかったと思うけど、見事にずーっと入ってるんだよ。
達:(笑)だけどあれ、大瀧さん自分でやりたいといって始められたんですか?
詠:「Go! Go! Niagara」?
達:今の復刻は。
詠:あ、これね。新しいのをやってくれって依頼があったの。でも今更新しいの
をやるつもりなかったから断ったわけよ。
達:(笑)そしたら。
詠:そして今年また春、旅行って、岩手の洞窟の温泉に入ってたんだよ。
達:(笑)旅好きですね、最近。あれですね、奥の細道ですね。
詠:で、洞窟の温泉に入って、上から水滴がピタっとこう。
達:いい湯だな、ですね。
詠:永六(輔)&いずみたくの世界だよ。額にピッと落ちたときに(指パチン)
これだよと。
達:仏様のここのところに来ちゃったんですね。ピピピと。
詠:そう思ってこれはやろうと。再放送でよければやってもいいぞと。すぐ城田
君にメールを打って。
達:なんかやっぱ断るのが悪いなという感じがあったんですか?
詠:全然。
達:(笑)
詠:なんだ今更そんなもん、とかさ。「夢をもう一度」とかそういうの嫌いなん
だよ。
達:(爆笑)
詠:なんか後、同じことをもう二度やるっていうのが嫌いなのよ。結果的に同じ
になるのはいいの。でも最初から同じことを目論むとか、あの前にあったあ
のようにとかね。その割には同じことばっかりやってるんだけども。
達:(爆笑)
詠:これは全部結果なんだよ。不思議に。
達:別にあれを目指してやったとか。
詠:ないのよ。変えようと思うわけ。前よりはなんか違うことをやろうじゃない
かと思って始まるんだけれども、結果、なんか同じになるんだよなあ。
達:(笑)
詠:とは言いながらもだよ、テレビは再放送の専門番組が、「NHKアーカイブ
ス」ってのが始まったから、あるけれども、ラジオはないんですよ。日本初
ですよ。
達:なるほど。そうなんですよね、言われると。
詠:でしょ?ほら、僕なんかベルウッドのファースト、71年のレコードのマス
ターですら廃棄されてんですよ。自慢じゃないけど。そういう原盤でさえ廃
棄されていた世の中にだよ、ラジオの番組のマスターをとっておくという概
念すらがなかった時代に。
達:よくとっておきましたね、しかし。
詠:たまたまなんだよ。前にもあの頃もいったけどさ。リミッターをかけた音を
録りたかったわけよ。で当時リミッターとかなかったからさ、それでソニー
のカセットテレコのリミッターをギンギンにかけて。それのアウトを…
達:そうなんだ!(笑)
詠:2チャンのオープンに録ってて…
達:(Urei)1176とかじゃないわけ、あの時代。
詠:ないの。だからオープンのを搬入してたわけよ。だから今のマスターの方が
オープンよりもリニアリティが一つ前なわけよ。
達:なるほど(笑)
詠:当時のマスターが送り出しよりも音がいいのは当たり前なのよ。ただカセッ
トだけどね。

・「Go! Go! Niagara」を始めたきっかけ

達:で、もともとラジオ関東で「Go! Go! Niagara」を始めようと思われた、あ
れ75年の話ですよね、その動機は何なんですか?
詠:あれはだから、あの当時エレックにいたから。エレックがあそこの番組の時
間帯を買っていたのよ。
達:3時間ぐらい。後ろが"あのねのね"なんかでしたね。
詠:で、前が"まりちゃんズ"。
達:(笑)
詠:まりちゃんズの長いワイドがあって、その中に吉見祐子が1コーナー持って
たのよ。面白くもない番組。
達:(笑)吉見さん聞いてるか。
詠:あんな番組やめろよと。俺がやってやるからと。ということをエレックに言
ったらね。
達:じゃエレックとはそういうコミュニケーションがあったんですね、その時代。
詠:たまにね。
達:(笑)去年あたりからふと思ってきたんですけど。
詠:よく思うんだよね。もう、思うの好きだよ、この人。常に思ってるんだよ。
達:(笑)このやりとりね、最近ね、だんだん(ビート)たけしさんと高田(文夫)
さんのああいう感じに近づいてきてません?もともと75年のあのときの虫の
声のバックのあれは、ちょっと、なんていうか、アナーキーなね。
詠:まだね。あの頃は聞いている人がいないという前提で行われているよね。
達:全く何言ってるかわかりませんもんね。
詠:だって聞いている人を想定していないもん。
達:(笑)
詠:途中で転がったりしながらね、テープは逆回ししてるし。
達:2回あったんですよね。あれの後にナイアガラトライアングルの時に一回あ
ったでしょ。それで布谷(文夫)さんが。
詠:それをまた放送するんですよ。
達:(笑)それで、今年の新春放談でお伺いしたかったのは、「Go! Go!
Niagara」が復活するっていうのと、あと「スピーチ・バルーン」ともう一
つあるんですけれど。ま、「スピーチ・バルーン」は横置いといて。あの、
いや僕は復刻っていうから、僕は今でも覚えてますけど、一番最初がCarole
Kingだったんですよね。
詠:そうでした。
達:だからそこから順を追っていくと思いきや、いきなりあそこから始まって…
詠:でもそれは、山下さんが再放送する場合はそうするんだろうなあと思ったね。
達:(笑)またそうやってね。
詠:でね、結構そういう人間かと自分でも思っていたんだけれども。昨今はねえ
、ランダムになってきましたねえ。もうちょっと順序立ててやる人間だと思
ってたんだけどね。
達:順序立てて散々やってきたから、もうあれなんじゃないですか?ピカソです
ね、まるっきり。キュビズムですね。
詠:昨今はどうでもよくなりましたね。そういった順列みたいなのは。
達:なんかやっぱり、あれですね。「青の時代」が過ぎたんですね(笑)。わか
りませんね、よく。

・「スピーチ・バルーン」

達:それともう一つ「スピーチ・バルーン」ていうのを始めたじゃないですか。
それも昔なさってらっしゃったプログラムの復刻ですけど。ま、復刻ともい
えないんだけれども。あっちはどういう動機なんですか?
詠:あれはですね、前々からああいう対談番組を企画していたんですよ。でもレ
ギュラーでやるには継続的な考えがなかった。もうお亡くなりになった青田
昇さん、プロ野球の名選手で解説者で。青田さんと野球の話がしたいなと、
例えば。
達:なるほど。
詠:ラジオ聞いてて、この人に聞きたいことがあるとか。で、もっとこういう人
に聞きたいとか、たまに思うわけよ。上岡龍太郎さんと話をしたいとか。も
ちろん会えばいいんだろうけれども、ラジオとかそういう時の方が会いやす
いというかね。
達:昔の「スピーチ・バルーン」って凄く多彩なゲストが、今から見るとね。今
の大瀧さんからは信じられないような、ユーミンから桑田君からありとあら
ゆる…
詠:あれ確か、「ニューミュージック・フォーラム」とかいう番組だったのよ。
元々が。なんかその流れをということと、大阪の方の制作だったのよ。
達:人選はあの当時は誰がやったんですか?
詠:いや、僕でしょう。
達:でしょ?この人はいいとか、この人はあんまりとか。そういう意志は出てる
んでしょ?
詠:選択してる。
達:誰でもいいって訳じゃないでしょ。
詠:ないと思うけど。あの頃のものだよね。
達:ですよね。
詠:それから編集権を全部向こうに預けたっていうか、忙しかったからね。
達:忙しい時代があったんですもんね(笑)。

・自分で皿回し

詠:あった。ねえ、聞いてよ。「Go! Go! Niagara」を聞きなおして、すごい番
組だと思うわけ。で、自慢じゃないけど、自分で皿回ししてるんだからね、
言っちゃわるいけど。
達:だってしたかったんでしょ?(笑)
詠:ええ、そうそう。だからなけなしの、全財産はたいて、ターンテーブルをど
っかり買ったわけだよ。FM東海のものを。でっかいものを置いて、ターンテ
ーブルを買って。それでたとえばBeatlesイントロクイズなんて何十曲もな
んて、自慢じゃないけどアナログテープだよ。編集だよ。スプライシングだ
よ。
達:(笑)だってやりたかったんでしょ?
詠:でさあ、あれをやりながらだよ、アルバム11枚も作ってたんだぜ。
達:だから出来たんですよ。暇だったらやりませんよ、絶対。
詠:そうなんだよ。
達:(笑)
詠:だから今回2本同時にやってるのは、そういう意味なのよ。
達:なるほどね。
詠:1本じゃなくて2本あった方が。ただね、全部今もう録って出し。
達:ふーん。
詠:土曜日の放送のマスターには金曜日。
達:しょうがないな(笑)。
詠:日曜日も、まあぎりぎり木曜日。だからずーっと延々。もう凄い、よくやっ
てるね、君は。えらい!ほんと。
達:(笑)だからやりたくてやってるんでしょ?
詠:いやだからさあ、あなたはやりたくてやってないの?
達:いや、やりたくてやってますよ。
詠:75年から3年間やっている時も、レギュラー持つと、ほんっとうに一週間早
いんだよ。
達:ラジオ関東で3年だったんですか。
詠:そうです。
達:一週も欠かさず3年。
詠:たぶんね。2回目の時休んでんだよ。マスターのね、搬入しそこなった気が
したなあ。
達:(笑)
詠:だから2週目のCarole Kingの時の放送しなかったバージョンというのがある
のよ。
達:へえ。何すかそれ?
詠:それが残っている。
達:気に入らなかった?
詠:なんかねえ、2曲ほど曲を間違ってんのかな。

・資料がなかった時代

達:へえ。だけどあの時代にね。僕この間、Carole Kingの特集を恥ずかしなが
ら、自分でやらせていただいたんですけれども。あとその前の
Leiber/Stollerの特集をやった時に、あれは完全にアンチョコが「Go! Go!
Niagara」で。だけどあの時代によくあれだけレコードがあったし。もう今
はCDになっているから、何の苦労もないんですよ。資料だってもうCarole
Kingのこんな本も出てるし。
詠:山のようにねえ。
達:昔はだって本当ペラ一枚みたいな、どこが本当に正しいか間違っているかわ
かんないような。例えば朝妻さんがライターに入って…
詠:そうそうそう、嘘書いて。
達:(笑)
詠:「何?嘘書いてんじゃない!」って言ったら、「だって何にも資料なかった
んだもん」
達:みんなそうですよね。
詠:「少年の頃、聖歌隊に入った?本当なの?」「大抵入ってんだろ?」(笑)
達:(笑)
詠:「そりゃ日曜にはみんな教会に行くんだから、聖歌隊に入ってんだよ。」
達:よくもうあの時代にあれだけやってましたよね。あれは凄いですよ。
詠:いや本当レコードよくあったよね。だからそれを今考えると、ああいうCDな
んかいっぱい出てんじゃない?随分簡単に手に入るよなあ、こんなもんって
思ってさあ。
達:それであの時代に、あれは違うとか合ってるとか、ふざけんじゃないって(
笑)。
詠:ふざけんじゃないっていうのよ。それと同じように、なんかさビデオとかあ
あいうのなんかでも、ビデオ見て細かくどうのこうのっていう奴とは話した
くないね。すっごくやだ。
達:(笑)ですよね。(昔は)映画館行って一回しか見れないですもんね。
詠:CDなんかもね。なんかやっぱり音楽って体験するもんだしさ、車の中で聞く
のも、オーディオって浴びるもんだと考えているから。そういう意味合いで
逆の方向へ行っている気がして。ああいう奴とは話したくないね。
達:(笑)
詠:全然だめ。なんかとにかくなんか一緒で車ででかい音響でもかけて、一緒で
大声で歌うとかさあ、音楽ってそういうもんだと思うよ、俺。

・自分の趣味の為の番組

達:だけど本当に期せずして、2001年になってね、「Go! Go! Niagara」と「ス
ピーチ・バルーン」が復活したっていうのが、その復活のやり方っていうの
が大瀧さんらしいという。本当は普通だったら例えばTokyo-FMとかNHKとか
ね。NHKが僕は一番あるかなって思っていたんですよ。
詠:もうね、NHKももういい。
達:(笑)
詠:だから要するに今の「スピーチ・バルーン」なんて、まるでNHK向きなんで
すよ。そりゃもう船村徹さん、遠藤実さんねえ。
達:だってあれ、(NHKラジオ)第一でやって全然おかしくないプログラムです。
詠:全くね。あのままNHKに持っていってもそのまま放送できるもんなんだけど
。やぁ、でも前にもいったかも知れないけどさあ、ああいうところでやると
専門家が聞いてんだよ。こっちは戦前生きてる訳じゃないしさあ。
達:また詰めが甘いとか始まるんですか?
詠:来るんだよ。そいで「あなたもそういうことを研究なさるんなら、この辺の
ことはちゃんと調べてから」って言われっとさぁ。いやー。で、よく考えて
。ああいうことやるじゃない?「なんか本、出すんですか?」とかね。「自
説を主張したいんですか?」とか言うけど。
達:そうじゃないんでしょ。
詠:いや、俺はさあ、自分の趣味なんだよ。
達:わかりますけど。
詠:単純に自分が知りたいだけで。出来るならば別に人前で居たくもないのよ。
面倒くさいから。
達:なかなか世の中にそれが通用しない。
詠:で、それで話をしてね、みんなに話するじゃない?たとえば、個人的に会っ
てこれはこうだったんだよとかさ、みんな乗ってくるじゃない?人によって
は「あんた、それ一人でお墓にその話持っていくのか」とかいう人も居るわ
けよ。だから世の中には聞きたい人も居る。上岡さんが言ってたんだけどね
、これ前にも言ってたかもしれないけど。もっとみんなそういう話を聞かせ
てやってよって言われたから。ま、そういう意味合いもあって言ってるんだ
けど、一切本にする気もなければ、まとめて何かにする気もないのよ。
達:わかりますよ(笑)
詠:どうもでもね、そういう風に見えるらしいんだなあ。
達:いやだけど、行動様式的にはそうやってもおかしくないようなやり方でやっ
てんだけど、大瀧自身さんはそうじゃないって、誰に説明したってわかんな
いですよ。25年も一緒にやってるから、ああそんなもんだね、当然だねって
思いますけど。
詠:自分が知りたいんだね。
達:25年も自分とこのスタジオで(笑)、機材買い込んで。
詠:お皿回して、マスターテープ作って、編集して、あの送り込んだって奴。
達:人を介在したくないのは、要するに自分の趣味にしたいからなんですね。
詠:まあ、それもあるんだけどさあ。編集とか自分でやった方がうまく行くんだ
よ。
達:わかります(笑)。

・引退宣言する人々

詠:音楽なんかでも、本当は聴いていたかった訳よ。面倒くさい、なんかさあ。
人の前出て、なんだかんだと言われたりして、やなんだよね。
達:今更言ったってしょうがないでしょ(笑)。
詠:だから途中からやらなくて済む様になったから、ずっとやらないっていうん
だけど、それが本来の姿なんだよ。
達:10何年も前からもう…
詠:Elton Johnがさ、もうステージはやめてこれからはレコードだけだとかさ、
Billy Joelが子供と一緒にチャートでがんばったりすんのはもう疲れたとか
言うけど、今頃かいってな感じだな、僕に言わしゃあ。
達:(笑)とっくにやってる。
詠:とっくにやってんじゃないか俺が(笑)。
達:しょうがねえなあ、ホント(笑)。
詠:今頃気が付いたのかいってな感じだよな。
達:みんな気持ちはわかるけど、やれっこないよっていうね。言ってみたいんで
すよ。
詠:だからあれは言っているだけで、実際本当にステージはやりたいし、人前立
って歌も歌いたいんでしょ?
達:そそそ。人が後ろからきて、「そんなことを言わずに、あなたはまだまだ」
って。
詠:言って欲しいから、ああ言うだけでしょ?俺は言っておくけど、本当にやら
ないんだからね。
達:(笑)みんな認めてます。
詠:ポーズじゃないよ、言っておくけど
達:それを認めてどうするっていう説もある。
詠:認めて頂戴よ。
達:しょうがねえ(笑)。

♪ジングル;ベースボール

・小林旭

達:今回の「スピーチ・バルーン」はああいうラインナップにどうしてなさった
の?
詠:いや、小林旭を。小林旭をやり始めた時に。小林旭って一人歌謡史だったの
。あの人は明治の演歌から始まって、戦前のある種の歌謡から、戦後の歌謡
。で、まして今だったら、船村(徹)・遠藤(実)・星野(哲郎)って演歌の大御
所って言われている人たちの一番初期の頃の、初めの頃を模索しながら一緒
に、で、たまたまああなったと。それからツイストとかカバーもある。映画
音楽とかそういうのもあるし。なんせ大笑いっていうか、僕がびっくりした
のが、アキラさんのコロムビアの後半に浜庫さん(浜口庫之助)が出てくる
訳よ。
達:ふーん。
詠:「恋の山手線」が浜庫さんだってのだけで知られているんだけど、他にも沢
山トライしているのよ、浜庫さんが。そこも面白かったし。
達:それは製品化されてるの?
詠:シングルになってる。それから船村さんだって、なんで「ダイナマイトが百
五十屯」みたいなああいうロックンロールをね。今は船村徹っていえば演歌
の大御所って言われる人が、初期に。「ダイナマイトが百五十屯」ってもう
日本語のロックなんだよ。
達:そうですね。
詠:他にロカビリーとかウエスタンとかいろんな人がやっているにも関わらず、
あの人が小林旭で実現してたんだよ。評価されなかったんだよ、今ひとつね。

♪ダイナマイトが百五十屯

達:大瀧さん、以前から小林旭さんやるやるっておっしゃってたじゃないですか
。いつ頃から計画してたんですか。
詠:去年、一昨年の新春放談を聞いて。「アキラがいい」って話を、コロムビア
の人が。この放送だよ。この放送聞いて、なんかやってもらえませんかって
電話してきた。
達:あー、向こうから来たんですか。
詠:うん、だから3年前になるのか。だからもう2年間毎日アキラを聞いてたよ。
達:それで資料を集めて、あれしてずーっとやって。
詠:で、やるからには、小林旭だけがいいって。もちろんね、アキラの歌は聞け
ば判る、って言ってしまえばこれでもう終わりだから(笑)。なんの仕事に
もなんないから。ふっと思ったら…
達:ボランティアみたいなもんですからね。
詠:まあね(笑)。船村、遠藤、星野っていうところの、丁度面白い時期だった
のよ。
達:はまっちゃったわけですね。
詠:そこをやると戦後の全歌謡史も語れるし。これはアキラでものすごく広くな
るなと思ったらさ、やったらに広くなったんだよ。もう収拾つかないのよ今。
達:(笑)だけど大瀧さん、ずーっと今までほら、普動説から始まって…
詠:分母分子論からね。
達:明治維新から、まあその前もそうだけど。日本の歌謡史っていうのをやって
きたけど、どちらかというと戦後史の世界では大瀧さん自身がはっぴいえん
どからロックンロールの世界だから、どちらかというポピュラー系の作家を
語ることが凄く多かったじゃないですか。だから、いずれ小林旭さんであれ
するようになってから、ここ1,2年ぐらいずっと船村さんとか遠藤実さんと
か…
詠:ドメスティックなラインをね。
達:どんどんそこに没入し始めてね。
詠:ていうか、やらざるを得なかったのよ。万やむを得ずなのよ。
達:で、面白いでしょうね、きっと。
詠:面白かったねえ。ほんっとうに面白かった。
達:それでちょっとまだ。ちょっとすいません。(?)
詠:一個前、うん、ジェスチャー。(柳家)金語楼さんね。(?)

・小林旭コンピレーション

達:この小林旭さんのカタログを、何をどういう形でどうなさるんですか?
詠:全部聞いたのよ、全曲。で、自分がセレクトして。一つは民謡と。あの宍戸
錠さんの本が出たんだよ。で、アキラさんのああいう最初の歌を聞いたとき
に、「なんだこれは?都会の民謡か?」つったんだって。錠さんが。それ面
白いなと思って。
達:それは何に書いてあるんですか。
詠:「シシド」って本かな。初めて聞いたときにそう思ったんだって。アキラさ
んは東京の人だから。
達:あべこべに見えますけどね。
詠:裕次郎さんは北海道とかそういうんでしょう?だから不思議でしょう。
達:日本のモダニズムといわれているものが実は地方色がね。
詠:だからその辺が面白いところで。深く行くとその辺まで行くんだけど。で、
それで一枚目が民謡など。二枚目がポップス。「アキラでツイスト」、「ア
キラでボサノバ」、「恋のチュンガ」ね。もういろんなことやってるよ。ポ
ップスも「さいはての慕情」とかね、「黒い傷痕のブルース」とか、いろん
な洋楽のカバーもやってるから。それだけ集めたものと、童謡をね、アキラ
節にしてんのよ。Spectorのクリスマスと同じなの。
達:童謡のカタログてのがあるんですか?
詠:童謡出してるのよ。その頃、島倉(千代子)さんとコロムビアローズと守屋浩
と小林旭と、童謡出してんのよ、コロムビアだから。アキラさんのだけ自分
のヒットソングのスタイルでやっている訳。これは面白い。
達:それの企画はだれがなさったんでしょうね。
詠:それは、池田さんっていう音楽評論家の方が、よく深夜便で出てくる。池田
憲一さんと対談したときに、島倉さんのラジオ番組でたまたま童謡を歌った
ので、それが企画になって、その流れでアキラさんの所に行ったんだろうっ
ていう話だったんだけどね。まあ、元々コロムビアとキングっていうのが童
謡の二大メーカーだからね。
達:文芸部が強いところですからね。
詠:それで三枚目がスクリーンテーマと、まあヒット曲。「さすらい」とか「女
を忘れろ」とか「ダイナマイト〜」とか、その辺ので。四枚目がクラウンな
んだけど。今までのがコロムビアで。四枚目がコミックソングだけ。「自動
車ショー歌」からね。
達:ついに登場。

・50年代の日本の編集技術

詠:ぐっとこれがねー。面白かったのはコロムビアのマスター。テープ。編集が
異常に多いんだよ。マスターに全部白が入っている。あの頃から。1959年〜
60年にものすごい編集のテクニックが、既に日本でも行われていたってんで
ね。
達:どういう編集なんですか?行き方を変えるとか。
詠:あの頃はカラオケの場合と通し(どうし)の場合があるんだけど、カラオケの
場合はヘッドホンじゃないんだよ。スピーカーなんだよ。スピーカーで漏れ
てくる音をある種エコー風に使いながら、スピーカーの位置とボリュームと
で合わしてやってるわけ。だから間奏がぼやけてんだよ。
達:ああ、なるほど。被っているからね。
詠:で、その間奏だけカラオケ使ってんのよ。
達:ほー、なるほど。よくありますね、そう言われると。僕はフェーダーを下げ
てるのかなって思っていたんだけど、そうじゃないんだ。
詠:で、見たら全部白が入ってた。これは感動もんだったよ。それからライブの
場合は、キープがあるんだよ。
達:へー。
詠:アキラさん、キープの歌はいっぱいあるの。
達:そうか、じゃあ自己申告で「やらしてくれ」じゃなくて、向こうから声がか
かったんで、この2年間シコシコと…
詠:実は「熱き心に」の時に声掛けたの。
達:へー。
詠:乗りが悪いんだよ〜。ああいう古い体質の会社っていうのは。なんなん…そ
れから旧譜とかそういうもんはあんまり売れないから、新譜ね。そんなもん
に…
達:今、特にそうですね。
詠:お金掛けても、とかっていう風に思ってたんじゃないかな。でも今はリイシ
ューというものの方が新譜よりも利益率が高いんだよ。宣伝することないん
だもん。
達:ああそうか。制作費無いですからね。なるほど。
詠:ましてや、段々そういう世の中になってくるのではないか、と…
達:今頃わかってもね(笑)。でも音源とか全部ちゃんとしてるんでしょ?
詠:してたねー。スコッチテープで。
達:さすがやっぱり、あれですね。
詠:そういうところはやっぱりちゃんとしてるなと思ったけどね。で、歌の真ん
中なんかにも白がいっぱい入ってるんだよ。
達:ふーん。
詠:やってるんだよー。これは驚いた。
達:歌い直しのテイクとか、そういうもの…
詠:結局今のようにボーカルのセレクト、結果的なボーカルのセレクトをやって
るんだよ。
達:ここんとこは一回目のがいいやって…
詠:やってるんだねー。でもそれはさ、アメリカのテクニックで既にあった話な
んだけど、日本じゃ「テープにはさみを入れるのはなんていうのは」と言っ
ていたような人が70年代にはっぴいえんどを始めたような頃に、どうもそう
いう風なことを聞いた気がするんだけど。初期の頃は普通にダイナミックに
やってたんだ。
達:本当に考古学ですね!

・理屈はいらない

詠:「アキラでツイスト」って、アキラさんは途中まで全部モノじゃない?
達:ええ。
詠:「アキラでツイスト」のトゥルー・ステレオがあったんだよ。
達:へえ、それ入れるんですか?
詠:入れますよー!今度の売りだから。
達:(笑)結局いつ発売なんですか?
詠:2月21日。
達:221。
詠:これはもう決まったの。最初は12月だった。ここまで遅れたから今度は大丈
夫だ。
達:なるほど。
詠:君のアルバムとかなり違うから。
達:(笑)人のことはいえませんよ。
詠:いやいやいや、最近は。
達:それはバラなんですか、ボックスじゃない…
詠:ばら売り。全4枚。クラウン1個、コロムビア3枚。平野甲賀さんというトニ
ー谷、東京ビートルズのジャケットの人で、これがジャケットが面白いんだ
よ。
達:で、ライナーはどうするんですか?大瀧さんがご自分で…
詠:書かない。今回は歌詞カードのみ。
達:へー。クレジットもなし?要するに録音年月日とか…
詠:せいぜいそういうデータ。で、キネ旬から本が出る予定。そこで解説とか書
こうと。
達:(笑)
詠:いやだってさ、アキラの歌は理屈はいらないんだよ。よく書くとさ、読んじ
ゃうじゃない、みんな。あれが良くないんだよなあ。
達:(笑)自分のだったら書きますけどね。人のだとね。
詠:ま、クレイジー(キャッツ)とか東京ビートルズとかは…
達:東京ビートルズ、説明しなきゃわからない(笑)。
詠:トニー谷とかね。やっぱりあれはちょっと説明が必要だったと思うけど、小
林旭に説明なんかいらん。余計だよ、逆に。
達:なるほど。
詠:同じようでいて、ちょっと違ってるでしょう?どうよ。
達:(笑)僕の番組でしか言わないから大丈夫なんだ。

・「スピーチ・バルーン」のラインナップ

達:で、「スピーチ・バルーン」は手始めに、小林旭さんのそれが絡んだから、
そういうラインナップから始まって。今後はどうなんですか?
詠:えーとねー、野球(笑)。
達:(笑)
詠:二宮清純さんっていうスポーツライターの人と。しゃべったなー。3回分ぐ
らいあるんじゃないかな。まだ編集してないんだけどね。しゃべったよ。そ
れから次はテレビ。あの高須(光聖)君っていうダウンタウンの放送作家の

達:完全にあれですね。南方熊楠じゃないけど、めちゃくちゃ広くなってきまし
たね。
詠:ま、元々ナイアガラはエリアがない、ということでしたからね。「ナイアガ
ラ音頭」を聴いていただければわかると思うけど。
達:(笑)出鱈目ですよね。
詠:(笑)それでそういうことです。で、またもう一回音楽の方に戻ってと…
達:映画もあるし。
詠:はじめりゃね。
達:引き出しは沢山あるんだ…
詠:アキラさんの、映画も対談しました。

・時間を支配したい

達:ん、それで忙しい忙しいって言ってるんですね。
詠:や、今年は久々に忙しかったね。
達:(笑)
詠:やっぱレギュラーってのはやだね。
達:(笑)
詠:ほんと、定期っていうのがこんなにやなもんだとは思わなかった。
達:人に束縛されるのがやなんでしょ?
詠:やだね。
達:要するに時間とっても束縛されるのが嫌なんですよ。凄いですね。タイムマ
シンのような人ですね(笑)。
詠:とにかく時間を支配したいんだろうね、やっぱりね、自分で。
達:「If I Ruled The World」、かけましょうか?James Brown。しょうがない
な、ほんとに。
詠:だから、後はやりながら感じてるわけよ。つまり編集が一番楽しいわけ。黒
沢(明)さんじゃないけどさ。で、放送局側としてはいつマスターが来るのか
、っていうとこなんだろうな。
達:(笑)
詠:これはレコード会社がいつニューアルバムを作るのか、っていうことと全く
同じ構造なのよ。俺なんかそんな、結果なんかどうもいいわけよ。出なくて
もいい訳だから。作ってるときが楽しいんだから。
達:(笑)マスター来ないと大変でしょう。
詠:まあ、なぜかその日にはギリギリ間に合うっていうようなことが、今のとこ
ろ幸運にも続いているんだけどね。
達:昔、ニッポン放送の20周年だか30周年だかの時に、「マイケルジャクソン物
語」ってのがあって、大瀧さんが(笑)本番が始まっているのに、その55分
頃、その結末のテープがまだ届かないって…
詠:いや本番が始まっているときに、まだミックスダウンしてたんだよ。
達:(笑)しょうがない。
詠:えーと15分編集して出しているわけ。で、次の15分で編集してるんだよ、放
送してる間に。で、できたらそのマスターをやって。最後が大変だったんだ
よ、すごい時間がかかって。そしたら(笑)二時間延びて、次の番組の頭に
入っちゃったんだよ。
達:(爆笑)
詠:オールナイトニッポンかなんか、12時と1時とかさあ。
達:よくそういうことができますね。
詠:知らない、だって放送おわんないんだもの。だから今回なんかでも、いつも
そうなんだけど、何分以内の放送とか作りたくないのよ。
達:(笑)
詠:作ってみたらそうなったっていうことなのよ。不思議にね。でも大体一時間
ぐらいになるんだよ、俺がやると。考えてないのに。
達:(笑)
詠:前NHKでやった「ポップス伝」だって、不思議にね、90分になるんだよ。用
意してきて、しゃべって、相手と話してんじゃない?で、終わってみると丁
度90分なんだよ。あれ、不思議だなあ。だけどたまにね(笑)、100分なっ
たりして、10分こう…いいじゃないの、90と100って大した違いじゃないよ
。何光年とかに比べりゃさ。
達:(笑)
詠:ねえ、たかが10分じゃん。あっという間だよ。
達:桂文楽とかそれぐらいになると、「よかちょろ」100回やっても2分と違わな
いっていいますけどね。
詠:文楽さんはね。でも君はそっちのパターンで、もう。パンクチュアルな人な
のよ。
達:(笑)
詠:60分に収めなければいけないっていうと、ちゃんと体内時間が60分、60分、
60分って、合わせることができる人なのよ。
達:人間が真面目なんです、僕。
詠:やっぱりそれ、都会っ子だから。
達:(笑)

・タイに行こう

詠:俺は基本的に10歳から18歳は、非常に野原ののんびりした場所で育ったから
、体内時計が逆に天空に近いんでしょうな。
達:タイとか行くとね、今日やるはずのライブが機材が来ないんですって。でも
、そんなこと日常茶飯事なんで、「あ、今日は止めだ」って。今日の6時開
演止めて明日になるんだって(笑)。「明日ライブやる」つって。でも明日
帰んなきゃならない人がいるし、スタッフで、照明の人とか。「どうするん
だ?」「帰れば」って照明無しでやればいいんじゃないかって。
詠:タイに行こう。
達:(笑)
詠:やっぱタイはいいと思ってたんだよ。
達:(爆笑)
詠:只者じゃないと思ってたな。タイ米も美味しいしね。
達:エスニックフードとか好きですか…
詠:タイは美人が多いじゃない。
達:(笑)



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