達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/4/14 Sunday Song Book「History of 山下達郎 (1)」



竹内まりや/明日の私 1994 Single
山下達郎/Your Summer Dream (LIVE) 2000/1/30 高田馬場ESPホール
山下達郎他/Don't Worry Baby 1972『Add Some Music To Your Day』*1,2
山下達郎他/Why Do Fools Fall In Love 1972『Add Some Music To Your Day』*1,3
大瀧詠一とココナツ・バンク/ココナツ・ホリディ (LIVE) 1974『1973.9.21ライブ・
はっぴいえんど』*4
シュガー・ベイブ/Show 1975/4『Songs』
シュガー・ベイブ/Down Town 1975/4『Songs』
山下達郎/ドリーミング・デイ 1976/4『Niagara Triangle Vol.1』
山下達郎/パレード 1976/4『Niagara Triangle Vol.1』

*1 19歳時に作成した100枚限定の自主制作盤。現在ファンクラブでCD販売中。
*2 Beach Boysのカバー。
*3 Frankie Lymon & The Teenagersのカバー。
*4 1973年9月21日文京公会堂、はっぴいえんど解散コンサート「CITY - Last
Time Around」での録音。

一節
Rainy Walkのコーラス
Showのエンディングのコード弾き
エイトビートのギターリフ

内容

・ツアー

「昨日今日4/13,14と福岡サンパレスでライブでございまして。今日は日曜なの
で先週の仙台と同じで6時開演でございます。今日いらっしゃるお客さんはお気
を付けて。この福岡が終わりますと33本中17本が消化したことになりますから、
折り返し地点ということになります。いよいよ後半戦に突入でございます。今週
は水木4/17,18と東京に戻ってまいります。NHKホール。今週来週で浜松を挟み
ましてNHKホール4公演というスケジュール。こうなると4月も下旬で、早いもの
でございます。いらっしゃるお客様、お待ち申し上げております。」

・History of 山下達郎

「ツアー中なのでなかなかまとまった特集をやる余裕がありません。前回の
Cozyのツアーの時は「History of Japanese Rock」なんてのを人の手を借りて
やりました。今回は何をしようかと考えましたが、久しぶりに自分のヒストリー
でもやってみようかなと思います。20年間ぐらい前からラジオのレギュラーの番
組をやっていく中で、私はそういう日本の芸能会では反主流というか傍流なので
、誰もやってくれないので自分でやろうかなと。「History of 山下達郎」10年
に一遍ぐらいやっております。前回はこのSunday Song BookがSaturday Song
Bookという土曜日の番組だった時代、1993年にやったことがありますのでほぼ
10年ぶりという感じでございます。最近お若い方がお便りを下さったり、お若い
方がライブに沢山いらっしゃるような、不思議な時代になりました。一つ新規開
拓といってみたいと思います。何回かに分けていきます。ま、4週間ぐらい予定
しておりますが、10年前にやったときは6週間かかりました(笑)。それからキャ
リアが重なっていったのでどうなるか予想もつかないですが、段々その分、濃く
できない。段々薄くなってしまいますけど(笑)、あんまり沢山やってもしょうが
ないので。とりあえず今日はパート1。ソロシンガーの前の、生い立ちからシュ
ガーベイブというバンドを組みまして、ナイアガラトライアングルを経てソロに
なるまで。今週からしばらくの間は山下達郎のヒストリーで御楽しみ下さい。」

「10年に一遍ぐらいこういうのをやっていると申し上げましたが、まさかに2002
年にもなってこういうことをやっていると思いませんでした。お陰様でキャリア
が随分来ました。私も来年で50歳になります。私がプロに最初になったのが20歳
のことでございます。レコードデビューをもって芸能生活何年としますが、レコ
ードデビューから数えて今年で27年。その前を入れますと29年になります。29年
を一体何週間でやればいいのか、ぞっとしますが。ま、やれるところまで。そん
な訳で今回は横道に逸れられませんので、今回はレコードを中心としたストレー
トなヒストリーです。超常連の方が、そんなのもうわかってるよ!もっとライブ
音源、レア物をやれ!といわれるかも知れませんが、今回あくまで新規開拓です
。横道はもっと道筋が見えてきてから、後からフォローしたいと思います。」

「私も今のお若い方と全く変わらずに中学高校の頃は音楽が好きで、アマチュア
バンドをやっておりましたが、ちょっと当時の流行とは違いまして、コーラスグ
ループが好きであまり日本じゃ有名じゃない洋楽のコーラスグループ、例えば
Beach Boysが好きで、私はアマチュアバンドではそういうのをコピーしており
ました。そうした仲間と自主制作を作ります。1972年、19歳の時です。当時はCD
がありませんからアナログで、アナログ盤のA面がBeach Boysのカバー。カバー
というよりコピー。B面は当時好きだったオールディーズ、Doo Wopとか。今と全
く変わりません(笑)。British BeatとかEverly Brothersとか、そういう奴で
す。自主制作で100枚作りましたが、どうせそんなの学生の手慰みなので売れる
訳ないので、仲間内に配ってしまいましたが、現在はFCでCDリマスタリングしま
して。そういうのが聞きたいという物好きな方がいらっしゃいますので、FCで販
売しております。バンドの名前がありません。アルバムのユニットが『Add Some
Music To Your Day』というBeach Boysの有名の作品から取った名前です。」

♪ Don't Worry Baby

「久しぶりに聞きましたが、丸30年前ですからね。19の自分、穴があったら入り
たいという感じであります。録音機材なんか今とは比べ物になりません。ま、作
っただけ。友達4人で作りました。もう1曲、今度はB面。嫌だといいながらかけ
る奴。」

♪Why Do Fools Fall In Love

「ただ今お聞きいただいてお解かりの様に、先日の『On The Street Corner 3
』に入っている一人アカペラのアレンジと全く同じでございます。このしぶとさ
。この100枚作った自主制作アルバムというのが私にとっての人生の大きな転換
でありまして、これが口コミで広がって人間関係が出来まして、ミュージシャン
への道をスタートする訳であります。最初は四谷にありましたロック喫茶の人達
とこのアルバムを介してたまたま知り合うことになりまして、そこで毎夜セッシ
ョンが行われました。そこに居ましたのが大貫妙子さんとか、シュガーベイブの
ドラマーをやる野口君とか、そういう人たちが居ました。マネージャーの人(長
門芳郎氏)もそこにおりまして。そこでシュガーベイブというのを結成します。
1973年のことになります。」

「余談になりますが、毎日新聞でライターの田家秀樹さんが私のライブの評を書
いていただきましたが、この田家さんもちょうどその時代、その四谷のロック喫
茶で原稿を書いていたらしいんですよね。そしたらその『Add Some〜』がお店で
かかって、彼は77/100という一枚を持っているという、そういう記事がこの間の
毎日新聞に書かれていました。人の縁というものは不思議なものでございます。
私初めて聞きましたが。」

「ま、それはともかく。そこでシュガーベイブというのが結成されて、ちょうど
同じ時期にそれをたまたまに耳にしたはっぴいえんどの大瀧詠一さん、以来30年
お付き合いが続いておりますが、大瀧詠一さんはちょうどはっぴいえんどが解散
してソロになる時です。やはり73年の事です。1973年9月21日にはっぴいえんど
の解散コンサートというのが行われます。その時に大瀧さんはココナツ・バンク
、こちらは伊藤銀次さんのバンドですが、これをバックにして自分のソロパフォ
ーマンスを展開しました。この時に私のところに連絡がかかりまして、この『
Add Some〜』を聞いて、コーラスを手伝ってくれないかと。勿論、こちらの自主
制作はアマチュアバンドですが、その時はシュガーベイブが出来ていたので、シ
ュガーベイブのメンバーと1973年9月21日文京区公会堂に大瀧詠一さんの助っ人
としてコーラスで参加することになります。これが私にとってそうしたパフォー
マンスに参加した初めての出来事であります。」

♪ココナツ・ホリデイ

「20歳の時です。その時は何も考えておりませんでした。今から考えますとはっ
ぴいえんどの解散ライブでして、いわゆるロック関係のライターや評論家という
人がほぼ全員来ていた。そこにいきなり出てって裏声でガナる男の子がいたんで
皆興味を持ったという。非常に幸運な場所でありました。ちなみに1973年9月21
日に文京公会堂でアルバイトしていたのが、今日SSBで一緒にやっております岩
崎君です。人の縁というのは中々面白いものです。もう一つちなみに、このはっ
ぴいえんどの解散ライブ盤に入っているこの「ココナツ・ホリデイ」でのテイク
でのコーラスは、後にスタジオで歌い直したものです。本番では私一人がガナり
過ぎて、一緒にやっていた大貫妙子さんとか村松(邦男)君の声のバランスが悪か
ったので、歌い直して。まあ、時効でございます。」

「このライブ以降、大瀧詠一さんと仲良くなりまして、福生に出入りするように
なりました。丁度やっていたシュガーベイブというバンドがありましたので、大
瀧詠一さんははっぴいえんどを解散してソロになりまして、自分のレーベル「ナ
イアガラ」というのを立ち上げまして、このナイアガラの第一弾と致しまして、
シュガーベイブが1975年4月25日に『Songs』というアルバムでデビューするこ
とになります。この『Songs』の記念すべき一曲目。」

♪Show

「1975年4月に発売されたシュガーベイブ唯一のアルバム『Songs』。メンバー
は私山下達郎、そして大貫妙子さん、村松邦男さん、鰐川己久雄、野口明彦とい
う5人組、これが第一期です。これからメンバーが変わりつつ、1976年の4月まで
活動を続けます。およそ2年半の活動で1枚だけしかアルバムがありません。」

「このシュガーベイブの『Songs』というアルバムはナイアガラという大瀧詠一
さんのレーベルから出ましたが、配給元がエレックレコードという当時の唯一無
二のインディレーベルでした。要するにこの『Songs』というアルバムはインデ
ィなんですね。正にインディ。あの当時のインディですからね。今でしたらイン
ディでも随分ヒットが出ますけど、あの頃のインディはほとんど自殺行為でござ
いましてね(笑)。もう、ほとんど売れませんでした。私、この『Songs』がレコ
ード屋にあるのを一度も見ないままに終わったという。未だに残っているのが夢
のようだという感じです。この『Songs』からシングルカットしたただ一枚の作
品を。」

♪Down Town

「あの当時はこういう綺麗なメロディや綺麗なコード進行で物を作っている奴は
みんなプチブルだと、所謂中産階級のお坊ちゃんだと言われまして。とんでもな
い!こっちは金が無かったですけど(笑)。こういうコードが好きだったんです。
しかもインディでしょ。今でしたらインディでもソフトなものがありますけど、
あの頃は有り得なかったので。そうだなあ、たとえばさっきの「Show」のエンデ
ィングなんか、♪〜、こんなのやると物飛んでくるんですよ。もう、あーこれは
プチブルだ!って。やっぱロックじゃなきゃダメだって♪(エイトビート)。です
からどっちからも受け入れられない。メジャーカンパニーだったらまだ何かちょ
っとやり方もあったんでしょうけど。綺麗な曲でインディはダメだ!というそう
いう時代でした。兎に角、受けない、売れない。敢え無くシュガーベイブは2年
半で解散でございます。かなりの原因は経済的理由、そこからでございましたけ
れども。」

「全然これも余談ですけれども、ナイアガラからエレックというシフトでシュガ
ーベイブを発売した時代に、『Songs』を宣伝した方がいらっしゃいまして、山
崎さんとおっしゃる方でしたが、これが現在のモーニング娘。のレーベルのオー
ナーの山崎さんだと知ったのがついこの間のことで(笑)、みんな生き残っている
んですね。すごい話です。」

「ソロになる前に、1976年にシュガーベイブが解散しまして、1976年10月にソ
ロデビューするんですけれども、その間に一枚作品がありまして、大瀧詠一さん
のナイアガラレーベルを離れる時に、大瀧さんの提案で伊藤銀次、大滝詠一、山
下達郎の三人で『ナイアガラ・トライアングル』という企画を出そうじゃないか
と。一人4曲持ちで、オムニバスと申しますか3人持ち寄りでアルバムを作るとい
う企画です。先日『ナイアガラ・トライアングルVol.2』というのがデジタル・
リマスターで出ました。そちらは佐野元春さん、杉真理さん、大滝詠一さんの3
人でしたが、それのVol.1というのが1976年にあります。1976年4月の発売です
。その中で私のパートから。」

♪ドリーミング・デイ

「これもしかし久しぶりに聞きました。インディな音をしてますよね、今から聞
くと(笑)。福生の音ですね。丁度『Songs』から一年後という感じになりますか
。「ドリーミング・デイ」、私は結構自分では気に入っている一作です。90年代
に入っても「Sings Sugar Babe」でもやりました。」

「この後、1976年にナイアガラを辞めまして、いよいよソロ活動を始めます。
1976年10月に『Circus Town』を発売しますが、今回のRCA/Air Yearsでも丁度
出たところなので、ライナーにも書いておりますが、来週はいよいよそのRCA/
Air Yearsをどっと駆け足で過ぎて、その先のMoonに突入したいと思います。か
なり詰め込んでおりますが、キャリアの長さゆえのことでございます。という訳
で今日の最後はもう一曲『ナイアガラ・トライアングル』から。これは90年代に
私のベストアルバムに無理矢理ぶっこみまして、曲が行き続けることができまし
たが。元々はシュガーベイブのレパートリーだったものを、これが実質ソロ第一
弾というレコーディングでございます。」

♪パレード

・RCA/Airリマスター盤発売記念プレゼント

(1)2002/2からのカレンダー20名(ツアースケジュール入り)
(2)「Loveland, Island」ポスター20名
(3)スペシャルダイジェストプロモ盤CD10名
(1)〜(3)はすべてサイン入り。

4/28に当選者発表予定。5月にずれ込む可能性あり。

・Q&A

Q: 4/7のSSBで声がかすれてました。大丈夫でしょうか?

「その前の日に飲みすぎたんです。大丈夫です。飲みすぎて、地方から帰ってき
てそのまま番組やってます。すみません。」

Q:「Rainy Walk」の4分21秒、4分32秒、4分44秒のところで、その後も少しあり
ますが、そこで何と歌っているのでしょう。

「変な質問ですな。♪タブロウの中へ〜降り続く〜Woo, Rainy Walk〜です。あ
そこは3つのパターンのコーラスがクロスしております。」

Q: シュガーベイブの名前の由来は?

「Youngbloodsの「Sugar Babe」という曲があり、その曲名から名付けたグルー
プです。」

今後の予定

・4/21以降も引き続き「History of 山下達郎」。
 4/21は70年代ソロ。RCA/Air Yearsの前半。
4/28はRCA/Air Yearsの後半からMoon Yearsの80年代。
5/4は90年代。以上を予定。
・5月になったら「棚つか Philadelphia Soul編」でも。
・夏になったらBruce Johnstonの特集を。


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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