達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/5/26 Sunday Song Book「History of 山下達郎 番外編」



山下達郎/Boomerang Baby 1998『Cozy』*1
KinKi Kids/硝子の少年 1997 Single *2
鈴木雅之/Guilty 1988『Radio Days』*3
山田パンダ/風の街 1975 *4
松任谷由実/真冬のサーファー 1978『流線形'80』*5
竹内まりや/ドリーム・オブ・ユー(レモンライムの青い風) 1978『University
Street』*6
村田和人/So Long, Mrs. 1983『ひとかけらの夏』*7
竹内まりや/純愛ラプソディ 1994 Single, 1994『Impressions』*8
山下達郎/ららぽーとスキードームSSAWS'93「湾岸スキーヤー」 1993 CM, 2001『山
下達郎CM全集Vol.2』*9

*1 オリジナルは加山雄三(1965年)。演奏とコーラスは山下達郎一人。
*2 デビュー作。山下達郎作曲編曲。ガットギター演奏は佐橋佳幸。
*3 山下達郎作曲編曲。作詞は竹内まりや。
*4 シュガーベイブの山下達郎、大貫妙子、村松邦男がコーラス参加。
瀬尾一三編曲、喜多條忠作詞、吉田拓郎作曲。
*5 山下達郎の一人多重コーラス。間奏のギターも山下達郎。
*6 山下達郎編曲。シングルのアレンジを全面的に変更したアルバムバージョン。
*7 山下達郎プロデュース。Moonレーベル。
*8 山下達郎プロデュース。達郎氏本人がアレンジ的に気に入っているとのこと。
*9 三井不動産TV CM

内容

・ツアー

「3月から続いてまいりました私のコンサートツアー「JACCS Card Presents
Yamashita Tatsuro Performance 2002 RCA/Air Years Special」、昔の曲ばっ
かりで構成されるおかしなツアーでございましたが。全33本、本日の沖縄市民会
館のライブをもって無事に終了する予定です。前倒しですので(笑)、まだこの番
組の後に本番が始まります。昨日、今日と沖縄市民会館二日公演。生まれて初め
て沖縄に行きます。沖縄の皆さんお待ち申し上げてます。本日は日曜日で千秋楽
なので17時半開演です。お間違えの無いように。5時半から始めて終わるのが何時
か、考えるだけで恐ろしいという感じですが。なんとか3ヶ月、無事に終了するこ
とができそうな感じです。コンサート見に行ったよというお便り、コンサートに
関する質問、いろいろいただいてますが、来週すべてお答え申し上げようと思い
ます。来週は打ち上げを兼ねて、皆様のコンサートに関するお便りをご紹介しよ
うと思っております。」

・ヒストリーオブ山下達郎・番外編

♪硝子の少年

「私はいわゆるシンガーソングライターで、20数年ずっとソロシンガーとしてや
ってまいりました。70年代にソロデビューした頃はこういう音楽自体が日本では
全然主流じゃないということもありまして、要するにご飯が食べられなかったん
ですね。そうすると自分で作品を作るだけではとても生計が立たないので、主に
生活のために他の仕事をやらなきゃならない。作曲、編曲、コーラスのスタジオ
ミュージシャン、CM、それからプロデュース、あまり数は多くありませんが。そ
ういう自分の本来の活動と違う作業をいろいろやりました。初めの数年間は自分
のシンガーソングライターとしての活動が思う様にいかないので、最終的には自
分は作曲家とかアレンジャーとかプロデューサとかレコード会社のA&Rとか、そう
いうのになっていくんだろうなと思いましたが。そういう副業をやりながらノウ
ハウを蓄積していくのも無駄なことではない、将来を見据えてですね。今振り返
ると、そういった作品が沢山残っております。今日はそういう人に書いた作品、
人のために働いた作品、そういうような作業の番外編ともいうべき作品を今日は
、それも凄い駆け足ですけどお聞きをいただきたいと思います。」

「22,3の時から、シュガーベイブや初期のソロアルバムを聞いて、「曲を書いて
みないか」という物好きなレコード会社のA&Rの方がいらっしゃいまして、いろい
ろアイドルの人とかにポツポツ曲を書いておりました。最近はお陰様で自分の活
動が忙しいのでそういうことができなくなりましたけど。そんなに数は多くない
のですが、いろいろな人に曲を提供してまいりました。そんな中で私が人に書い
た曲で最大のヒット曲というのが、今お聞きいただいております1997年のKinKi
Kidsに書きました「硝子の少年」という一曲です。このKinKi Kidsはデビュー作
でございまして、すっごくプレッシャーがあったので、結構この時は根性入れて
作りました。私が作曲したものはほとんど自分で編曲もするので、作曲家と編曲
家が不可分なので、この作品も当然自分のアレンジです。ガットギターを弾いて
いるのが今回のツアーで一緒にやっております佐橋佳幸さん。あとは生のストリ
ングスが入って、コンピュータ・ミュージックで自分で全部打ち込んでやってお
ります。ミックスもほとんど自分でやった一作です。これは自分にとっては凄く
思い入れの深い…。時々そういう物凄く根性を入れなきゃ駄目だという時が、曲
を書くときに出てきます。何年に一遍そういうのがあります。そういう作品は今
聞いても凄く思い入れが甦ってきます。」

「1988年に鈴木雅之さんのアルバムのために何曲か作曲したことがあります。こ
れもすっごく自分では根性を入れて書きました。今聞いても自分では自信作の一
作です。」

♪ Guilty

「作詞は竹内まりや。今回のツアーのメンバー、青山純ドラム、伊藤広規ベース
、難波弘之キーボード、私自身のサイドギターで、リードギターは今は亡き大村
憲司さん。私にとって凄く思い出深い一曲です。この曲と同じ時に「おやすみロ
ージー」を同じアルバムのために書き下ろしました。これは自分でもセルフカバ
ーしております。えー、沢山曲があるんですけど、今日は割と自分の思い入れの
強い2曲。」

「私は昔からコーラスが好きで、10代の時はBeach Boysとかコーラスグループの
コピーバンドを随分やっておりました。70年代のロックやフォークのシーンには
男のコーラスというのがほとんど絶無だったんです。で、まあ私は珍しがられて
いろんなところに呼ばれる内に、スタジオミュージシャンでかなり仕事をしまし
た。そんな中からちょっと珍しいところでお聞きいただきたいと思います。シュ
ガーベイブをやっていた時代は私と大貫妙子さんとギタリストの村松邦男さんと3
人でよくスタジオでコーラスをやったもんでございます。当時仲のよかったアレ
ンジャーに瀬尾一三さんという方がいらっしゃいまして、今は中島みゆきさんの
をすべてやっていますが、当時は吉田拓郎さん、山本コータローさん、南こうせ
つさん、ああした所謂フォークを一手に引き受けるアレンジャーでした。で、瀬
尾さんの仕事は沢山あります。意外なところでそうしたフォーク関係のレコーデ
ィングに参加しております。そんな一つ。」

♪風の街

「喜多條忠作詞、吉田拓郎作曲、瀬尾一三編曲。歌っている山田パンダさんはか
ぐや姫のメンバー。1975年のヒットシングル。大ヒットです。(コーラスは)トッ
プが大貫さんで、セカンドが僕で、サードが村松君という構成です。これは吉田
拓郎さんの曲でプロデュースでして、クラウンのレコーディングスタジオで譜面
をもらって「♪おもてーさんどー」と歌っておりましたら、吉田拓郎さんがトー
クバックで「すみません、そうじゃないんです!『♪おもてぇさんど、おぉ』っ
て歌ってください。」それはすごく覚えております。それ以来、拓郎さんとは一
回も口をきいたことがありませんが(笑)。そういう思い出と共にあります。」

「私が元々コーラスのスタジオミュージシャンとして仕事をやった一番最初のき
っかけは、たまたまユーミンがシュガーベイブのコーラスをやってんのを見て、
指名して、彼女の1974年の『ミスリム』に起用してくれたことで、それから名前
が通ってきまして、いろんなとこから声がかかってきました。やっている内に僕
一人で多重でコーラスをやるということもユーミンのアルバムでは何回かやった
こともあります。」

♪真冬のサーファー

「私この時は25かな。するとユーミンは24か。若いな(笑)。声が若いですね。こ
の時代はとにかくなんでも仕事があればなんでもやると、そういう時代でござい
ました。主にコーラス、それからCM作曲家、時々人に作曲。編曲だけというのは
ほとんどありません。人に曲を書くときに編曲込みという。人の曲を編曲だけや
るという仕事はほとんどないんですけど、大体仲間内が無理やりに頼んでくる奴
が何曲かあります。ですから編曲だけ山下達郎がやるというのは珍しい音源なん
ですが。そんなものの一つ。1978年の竹内まりやの『University Street』とい
うのがありますが、それの先行シングルの「ドリーム・オブ・ユー」のアレンジ
がちょっと問題があったので、アルバムバージョンは全面的にアレンジを替えた
いといって私が引っ張りだされました。これは村上秀一さんのドラム、小原礼さ
んのベース、松木恒秀さんのギター、そして佐藤博さんのキーボードというリズ
ムセクション。それにブラスと弦が入ります。」


♪ドリーム・オブ・ユー

「作詞は安井かずみさん、作曲は加藤和彦さん、編曲は山下達郎。そうだ、コー
ラスは吉田美奈子さんと二人でやっております。ちょっとだけPhiladelphia風。


注)作詞は安井かずみではなくて竜真知子。

「後半は私がプロデュースした作品をちょっとだけお聞きいただきたいと思いま
す。前半は作曲したもの、編曲したもの、コーラスしたもの。でも作曲したもの
は編曲も一緒にやってるんで、ほとんどプロデュース作品と何も変わりないんで
すけど。でも自分がこれは自分がプロデュースした作品であるという最低限の条
件というのは、自分のスタッフでレコーディングされたもの。例えばスタジオ、
エンジニア、ミュージシャン、あとは宣伝チームとかプロモーションの所に関し
ても自分のスタッフでやらないものは自分のプロデュースとしてはやりたくない
というのが昨今の世界であります。そういうものの中で一番古いものの一つは、
村田和人さん。自分のMoonレーベルで彼のアルバムを一枚やりました。1983年の
『ひとかけらの夏』を私がプロデュースしました。その中で僕が一番好きな曲。


♪So Long, Mrs.

「私の『Melodies』の直後にプロデュースしました。その中から、大人になれな
い少年の歌、「So Long Mrs.」。作曲は村田君。ドラムが青山君、ベースが伊藤
君、ギターが私です。キーボードは確か難波君だと思いました。この頃からもう
全く同じメンバーです。」

「私が人をプロデュースした仕事の中で最も大きな成功を収めたのは、言うまで
も無く竹内まりやです。まりやは元々70年代の終わりに私と同じRCAに入ってき
まして、彼女はそのときは歌手でしたので、彼女のために曲を書いたり、アレン
ジをしたりしていました。私のRCA時代のカタログのマスタリングが終わりました
ので、今度はまりやの奴をやらなきゃなんないんですけど、それがなかなか大変
です。いつになりますか、なるべく早くやりたいとおもっています。それはとも
かく、まりやも結婚してからは私のMoonという移籍したレーベルに彼女も入って
まいりまして、1984年のことですけど。そこから全曲詞曲のソンガーソングライ
ター、今日の彼女のスタンスになる訳です。以来18年、彼女の全部の作品のプロ
デュースと編曲は私がやってまいりました。1曲や2曲、こんなところでかけても
焼け石に水でどうにもならないんですけど、まあそれはこの番組のリスナーの方
が十分にご承知だと思います。いろいろやって来ましたけど、今日は編曲的に自
分で凄く気に入っている作品。彼女の作品で好きなものは沢山あるんですけど、
自分がアレンジした作品として、アレンジメントが凄く自分で愛着があるものが
何曲があります。そういうものの内の一曲を今日はお聞きいただければなと重い
ます。」

♪純愛ラプソディ

「ベストアルバム『Impressions』にしか入っておりません。この当時は打ち込
みというかコンピュータミュージックで、全部一人でやっておりました。コンピ
ュータの演奏データやシンセの音色作りまで、ギター・パーカッション・キーボ
ードと楽器すべてもほとんど一人きりでやっておりました。その分どんどん内面
に入ってまいりました。そういう編曲法だったので、この時代の作品はどれ聞い
ても愛着があります。」

「そんな訳で本日は「ヒストリー・オブ・山下達郎」6週目、番外編。もう本当
に駆け足でしたが、後はまあギターとかドラムとかそんなのはどうでもいいっす
ね(笑)。後はCM作家としてのあれ(作品)がありますが、それはCM全集という形で
CD化されてますので、まあいいかなという感じです。10年ぶりにヒストリーをや
りました。また10年ぐらい経ったらできる様に、頑張ってやりたいと思っており
ます(笑)。」

「最後はCM1曲。CMは散々作ってましたですね。1993年に作りましたザウスとい
うスキードームの。遂につぶれましてしまいた、ザウス。バブルの崩壊ですね。
物はつぶれても曲は残る。これが音楽の強さ。Spring, Summer, Autumn,
Winter and Snow. ザウスさようなら。」

♪SSAWS

・Q&A

Q: 『Greatest Hits!』のCDはりマスターされたのでしょうか?

「あれは元々リマスターされてCD化されておりますので(1997年)。ボーナストラ
ックもありますから。ご安心してお求めください。」

Q: 「スプリンクラー」はベスト盤の『Treasures』にしか入っていないのでしょ
うか。

「CDでは『Treasures』にしか入っておりません。元々アナログシングルでのみ
発売されたものですので、」

Q: 主人がギターを始めたいと言ってますが、どんな種類のどんなギターがいいか
教えてください。

「20代を過ぎたらアコースティックギターよりエレキの方がいいんじゃないでし
ょうかね。ギターのテンションが緩いので割と簡単に押さえられますし、何より
もエレキギターの方が同じ値段を出すんだったら良いものが手に入りますので。
フェンダー・ジャパンぐらいの2万円台のとかでも十分にエレキでしたらできます
ので。そんな感じでどうでしょうか。山野楽器の回し者になってしまいましたが
。」

・SSB500回記念プレゼント

1) アナログ9枚組『RCA/Air Years Box』10名
2) スペシャルボーナスディスク『Come Along』リマスターCD 10名
3) 『Big Wave』オリジナルアナログ盤 5名
4) 『僕の中の少年』オリジナルアナログ盤 5名
5) 「クリスマス・イブ」12インチ・ピクチャーレコード 3名
6) 竹内まりや「Plastic Love」12インチ、サイン入り 3名
7) 「9 Minutes of Tatsuro Yamashita」ピクチャー12インチ 1名
8) シュガーベイブ『Songs』エレック盤オリジナルアナログ盤 1名

今後の予定

・6/2はライブ関係の葉書を紹介しつつ「棚からひとつかみ」。
・その後は超待望の「棚つか Philadelphia Soul編」
・恒例の「ジューンブライド特集」は微妙。
・夏になったらBruce Johnstonの特集を。


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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