■Heritage レーベル再興と新レーベル Colossus 設立

1968年、Jerry Ross は Mercury を離れ、以前に閉鎖した Heritage レーベルを復興させます。そこで次々と新しいグループを発掘し、素晴らしいサウンドに仕上げていきます。まさにこの時期が Jerry Ross にとっての黄金期といえるでしょう。

また1969年には Colossus という新レーベルをスタート。そこで、Shocking Blue, Geroge Baker Selection, Tee Set といったオランダのグループの出版権を入手し Colossus よりリリース。ぞくに Dutch Sound と言われたそれらのグループは日本でも大ヒットを記録します。



Bill Deal & The Rhondels

Jerry Ross の友人でヴァージニア州で DJ をやっていた Gene Kaye を通して知ったグループで、ホーンセクションを擁した8人組のブルー・アイド・ソウル・グループ。1968年に新生 Heritage より Maurice Williams のカバー " May I " でデビュー。その後、Ray Whitley が書いた " I've Been Hurt "," What Kind of Fool Do You Think I Am? " でソウルな部分を全面に押し出します。Eugene Record が作った Young-Holt Unlimited のカバー、" Soulful Strut " もオルガンをフューチャーしてグルーヴ感いっぱいの演奏を聴かせてくれます。一番気に入っているのは、Ross が Mark Barkan-Ritchie Adams と共作した " Are You Ready For This " 、シャッフルの効いたビートにはいつも心踊ります。Jerry Ross サウンドらしさがよく表われた1曲です。
Bill Deal がリーダーになる前、 The Rhondels には後に The Cyrkle を結成する Don DannemannThomas Dawes が所属していたようで、1965年に彼らが書いた " Don't Say That You Love Me "," Parking In The Kokomo " という曲を Jerry Ross のプロダクションでレコーディングしていたようです。

Bill Deal & The Rhondels / Vintage Rock(Original LP)


The Best of Bill Deal & The Rhondels (Rhino/LP)


The Best of Bill Deal & The Rhondels (Sequel/CD)



Cherry People

Cherry People はワシントンDC出身で The Beatles スタイルを目指したグループ。メンバーは、Doug Grimes, Chris Grimes, Punky Meadows, Rocky Issac, Jan Zukowski の白人5人組。デビュー曲は、Left Banke のリーダーの Michael Brown が書いた " And Suddenly " 。1968年に発表したアルバムにはメンバーの Grimes 兄弟作曲の他に Carole Bayer Sager-George Fishoff の作品、そして名アレンジャーとして名を馳せる Claus OgermanScott English と組んで 洒落た感覚が光る " On To Something New " という曲を書いています。

Cherry People (Heritage/LP)


Cherry People / And Suddenly (Sequel/CD)




Father's Angels
後見人、Father Angelo

このグループも Jay & The Techniques 同様、ペンシルヴァニア州アレンタウン出身のグループで、アレンタウンで司祭をやっている Father Angelo が後見人となり結成されたブラス・セクションを中心としたインストルメンタル・グループ。







Father's Angels

彼らもやはり Ross の友人で DJ の Gene Kaye を通じて知ったとのこと。1967年に Ross が書いた " Bok Bach " というナンバーを録音しています。この Father's Angels が発展して Philadelphia International のメイン・バンドとなる MFSB(Mother,Father,Sister,Brother) の母体となったという説もあります。











The Duprees

The Duprees 山下達郎さんも取り上げた " You Belong To Me " を歌っていた イタリア系 White Doo-Wop グループ。結成は Doo-Wop が終りかけていた時代、1962年にニュージャージーにて結成されました。ヒット曲となった " You Belong to Me " は、Coed というレーベルからリリースされました。コーラスワークをぐっとモダンなスタイルに変えて Heritage より1960年代中期に再デビューを果します。Gamble-Huff が書いた ダンサブルな" Check Yourself " も録音しますが、こういった曲よりも Tony Hatch-Jackie Trent の " One in a Million " や The Happenings のカバーにあたる " Goodnight My Love " (Linzer-Randell)といった軽いポップな曲の方が似合います。

The Duprees / Delicious The Heritage Years (Sequel/CD)




The Devonnes
The Devonnes

The Devonnes はニューヨーク出身の女性3人組のガール・グループで、Jerry Ross のプロダクションに勤めていた Gary Knight-Gene Allan がプロデュースにあたり、1971年に Colossus レーベルから、その2人が書いた " I'm Gonna Pick Up My Toys " という優れた作品をリリースしました。











The Mob
The Mob

Jerry Ross
によってラスベガスで見い出されたブルー・アイド・ソウル・スタイルのボーカル・インストルメンタル・グループ。Blood,Sweat & Tears の音作りを充分意識したサウンド作りとなっており、曲の殆どはバンド・リーダーの James Holvay Gary Biesbier が書いています。特に1970年、シングルとしてリリースされた " I Dig Everything About You " は楽曲演奏とも最高水準にあり、数あるブルー・アイド・ソウル・ナンバーの中でも僕がもっとも好きな曲。James Holvay Gary Biesbier はシカゴで結成された The Buckinghams にも大きく貢献しており、" Don't You Care "," Hey Baby (They're Playing Our Song)", " Susan " といった曲はこの2人のペンによるものです。

The Mob / The Heritage Sessions(Sequel/CD)


The Mob




The Showstoppers

The Showstoppers はフィラデルフィア出身でメンバーは、 Timmy Smith, Earl Smith, Alec Burke, Laddie Burke の黒人ティーン・エイジャー4人組。この2人の Burke 兄弟はあの Solomon Burke の弟達だそうです。フィラデルフィアのマイナー・レーベルから出した Joseph Thomas が作曲によるダンス・ナンバー " Ain't Nothing But a House Party " はまずイギリスで火がつきます。それに Jerry Ross が 目をつけ Heritage レーベルからメジャー・デビュー。その後、"Eeny Meeny "," What Can a Man Do "," How Easy Your Heart Forgets " といったパンチあるダンス・ナンバーをリリースしました。

Vergil Henry

Vergil Henry はニューヨーク出身のシンガーで、歌い方に非常に特長があり、まるで泣いているよう(笑)。プロデュースにあたったのは Jerry Ross の下で多くの曲を書いてきた Mark Barkan とその相棒、Ritchie Adams が担当。彼らの書いた作品、" You Ain't Sayin' Nothin' New "," You Fooled Me " を Colossus からリリースしています。

The Festivals

The Festivals
The Festivals はダラス出身の黒人4人組のグループ。リード・シンガーの Earl Moss が書いた " Baby Show It " や メンバーの Earl Moss, Woddy Price, Vaughn Price の共作による " You're Gonna make It "," Green Grow The Lilacs "(大好きな曲!)などをリリースしています。アレンジには Carl Davis の Chi-Sound で仕事をしていた Johnny Pate そして Chuck Sagle が担当。 どことなくシカゴ・ソウルの匂いのするコーラスもうまいグループです。




Chapter One

Jerry Ross 版フィリー・グループといった感じのグループで、" Loan Shanrk "," Money Won't Do It,Love Will " 、アレンジに Philadelphia Internatinal で活躍した John Davis がアレンジを担当した " Let Me Down Easy " といった曲をリリース。


Italian Asphalt & Paving Co.

このグループは The Duprees の変名のグループで、1969年に Gamble-Huff が書いた " Check Yourself " という曲を録音しています。これまでの The Duprees とは異なりずっとダンサブルなナンバーに仕上がっています。

Biddu

Biddu はインド出身のソングライターで、1970年に " Sooner I Get To You " という曲をリリース。この人は後に、Tina Charles Carl Douglas の " Kung Fu Fighting " などのプロデュース、アレンジを手がけています。

その他、この Heritage レーベルでは、Euphoria, Devotion といったグループを手掛けています。

これらの音源は下記のコンピレーション等で聴くことができます。

V.A. / The Heritage-Colossus Story(Sequel/CD)


V.A. / Ain't Nothing But a House Party (Sequel/CD)




The Crystal Mansion

1972年にアルバムを Motown からアルバム出しているロック・グループで、Jerry Ross は Exective Producer としてクレジットされており、サウンド的には殆ど関わっていないようです。ストリング・ホーン・アレンジには、Gorgoni,Martin&Taylor のメンバーで、B. J. ThomasBarry Mann のアルバムで素晴らしいバックを務めた Al Gorgoni が担当しています。

The Crystal Mansion(Motown/LP)




Courtship

黒人3人組のスィート・ソウル・グループ。どうやら 1970年初めに Jerry Ross Production で働いていた Gary Knight-Gene Allan が手掛けたグループで、Knight-Allan が書いた" It's The Same Old Love "," Oops It Just Slipped Out "," Love Ain't Love " といったシングルをリリース。Knight-Allan が書く優しいメローな曲にはいつも胸が焦がれます。

Courtship




Shocking Blue

Dutch Group で一番成功したグループで、メンバーは、Cornelius VanDer Beek, Kassje VanDer Wal, Robby VanLeeuwen, Mariska Veres, Fred deWilde の女性1人を含む5人組で1967年に結成。メンバーの Robby VanLeeuwen が書いた " Venus " は日本を含め世界的にヒットしました。この曲は Bananarama のカバーにより若い人にもよく知られています。2000年現在、フジテレビの「笑う犬の冒険」のテーマ曲として使われています。


The Best of Shocking Blue(CD)


George Baker Selection

同様に Dutch Sound のグループで、メンバーはリーダー George Baker を筆頭に Jan Visser, Jacobus Anthonius Greuter, Jan Hop の4名。1970年に " Little Green Bag " をリリース。これも世界的なヒットとなりました。日本では1999年にキムタクが出演したウィスキーのCMに使われました。その後も " Paloma Blanca " という曲をリリース、これもヒット。

George Baker Selection / Little Green Bag(Collectable/CD)


Tee Set

このグループも Dutch Sound のグループで1966年に結成。メンバーは Peter Tetteroo, Dill Dennink, Joop Bloom, Franklin Mad, Hans Van Eijck の5人。1969年、オランダでヒットした " Ma Belle Amie " をアメリカでリリースし、メジャー・ヒットとなりました。

Tee Set (Collectable/CD)



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