何とも甘ったるくて舌っ足らずで、屈託が全くなくて聴いているうちにすっかり眠くなってしまう・・・。ここらへんがA&Mのねらい所だったのかも。
Claudine Longet はかつては女優として、また Andy Wiliams の奥さんとしてつとに有名です(後に離婚)。A&M の Herb Alpert に見出されて本格的に歌手デビューを果たします。1970年 A&M での最後のアルバムになったのがこの『Run Wild,Run Free』。プロデューサーは Nick DeCaro。さすがにそつのないすばらしいオーケストレーションを聴かせてくれています。「Lazy Summer Night」は虫の鳴き声が入った何とも涼しげな曲。漂うような浮遊感が彼女のヴォーカルの魅力。全く力みがないから汗をかかなくて涼しいのでしょうね。
ただ、このアルバム惜しむらくは Beatles のカヴァーが Nick DeCaro のアレンジはもちろん、彼女の声にも全く合っていないこと。当時は Beatles をカヴァーするのが一種のトレンドみたいになっていたのだろうからしょうがないけど。John Simon-Peter Yarrow の「Don't Remind Me Now Of Time」、Bruce Johnston-Denie Dudley 作曲の「Thank You Baby」のカヴァーは秀作。
(脇元和征)
A&M 続きで今度は情熱の国ブラジルまで飛んでみましょうか。
Sergio Mendes 1983年のアルバムから「My Summer Love」で熱い暑い夏の夜をお過ごしください。このアルバムは全体的にコンテンポラリーで明るい作り。裏ジャケで真っ赤な唐辛子をくわえている Sergioおじさんの屈託のなさがとにかくネアカ。
「Maniac」の大ヒットで有名な Michael Sembello が作曲、アレンジそしてギタリストとして参加。ボサノヴァを中心としたブラジリアン・テイストと言うよりもロック・オリエンテッド音なづくりが印象的。Ernie Watts、Jerry Hey らのホーンも快活そのもの。
Barry Mann-Cynthia Weil の名曲「Never Gonna Let You Go」も美しく仕上がっています。そして真夏の夜を美しく彩る「My Summer Love」からA面ラストを飾る陽気なサンバの「Carnival」が一夏の暑い恋を演出してくれます。クルージング・ミュージックとしてもうってつけの一枚。風が涼しくなり始めたら Saude! Saudade
(脇元和征)
My Summer Love 『Sergio Mendes』
Sergio Mendes
A&M SP4937/ LP 1983
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