『 On The Street Corner 3 』発売記念

Elvis Presley

Angel

1995 "Command Performance - The Essential 60's Masters II"
RCA 66601-2/CD





 あこがれの彼女へのラブ・ソング「Angel」は Elvis Presley 主演映画の挿入曲として世に出ました。Elvis には30本を超える映画がありますが、これは9作目の「夢の渚」からで1961年の発表。Elvis 映画の時代の1曲です。
 「Angel」の話の前に、Elvis の60年代を振り返ってみましょう。70年代後半に音楽を聞き始めた者にとっても Elvis は身近な存在でした。ジャンプスーツの大スター。実は筆者の幼少の記憶にも、ハワイからのライブ衛星中継の記憶があります。当時の印象を思い出すと、ライブ・オン・ステージの熱唱と「Hound Dog」のロックの王様。要するに70年代と50年代だったのですね。60 年代はというと、ヒット曲は知ってるけれども印象はいまひとつ。同じようなジャケットのアルバムがたくさんあるけど何だろう・・・
 そんな Elvis の60年代をまとめた好編集盤が2組が The Essential 60's Masters です。第I集の『From Nashville To Memphis』が93年、第II集の『Command Performance』が95年にリリースされました。I集は目立つ赤い箱の5枚組で通常のスタジオ録音の総集編。II集はサウンド・トラックからのベストで2枚組。「Angel」も収録されています。Elvis はレコード・リリースと映画の仕事を区別して考えていたらしく、録音場所は Hollywood 中心。録音の本拠地の Nashville でも Memphis でもないんです。


 I集では Elvis の音楽的成熟、ポップスの王者への道のりを味わえますが、サントラのII集では、とにかく楽しい歌を満喫できます。「GI Blues」「Blue Hawaii」「Viva Las Vegas」それに極め付け「好きにならずにいられない」などを収録。ちなみにサントラの重要性は、大瀧詠一紙が選んだ Elvis 60年代の91曲の内約半数が映画曲で占められていることからもわかります(I集の日本語解説書より)。
 さて「Angel」ですが、純粋な男の子から天使の様な彼女への愛のうた。Elvis はこの曲を最高の歌唱力で料理していて、もうメロメロ。天使もついでに聞いているこっちまでもノックアウト。根こそぎ天国まで連れて行ってくれます。でも待てよ、Angel に天国に連れていってと頼むんじゃなかったかな?達郎さんの「Angel」のカバーは Cliff Richard のバージョンを参考にしたとのことですが、Elvis とはがらり変わった趣。でもこのコーラスのリズムとコード感覚、それに透明感のある声で素朴な憧憬が表現されていて、この曲にぴったりなのかもしれませんね。
 あなたが Angel なら、エルビスと達郎さん、どちらを天国に連れていってあげますか?

(たかはしかつみ)




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