『 On The Street Corner 3 』発売記念

Teddy Pendergrass

Love T.K.O

1980/1999 "TP" Westside/Philadelphia International WESM 569/CD





 70年代のノーザン・ソウル・シーンではフィラデルフィアの Philadelphia International Records がファルセット・ボーカルを中心とする多くのグループを輩出して一世を風靡しました。The O'Jays、The Intruders、The Ebonys などとともに忘れられないのが、Harold Melvin & The Blue Notes です。このグループで魅惑のバリトン・ヴォイスを聴かせていたのが Teddy Pendergrass です。
 1950年フィラデルフィア生まれ。小学校の頃から教会の聖歌隊で歌い10代の頃にはドラマーとして The Cadillacs というローカル・グループで活動します。(あの有名な Doo-Wop の The Cadillacs とは別のグループ)この時に Harold Melvin と知り合い50年代から活動していた Harold Melvin & The Blue Notes にリード・ヴォーカルとして参加します。1970年のことでした。
 彼の参加とグループが Philadelphia International Records と契約し Kenny Gamble and Leon Huff がプロデューサーとしてバックアップするようになってから、 Harold Melvin & The Blue Notes は数多くのヒット曲を放ちます。「I Miss You」を皮切りに「If You Don't Know Me By Now」、「Love I Lost」、「Wake Up Everybody」など1970 年代の中頃までは彼らが最も開花した時期でした。とりわけ Teddy Pendergrass はセクシーでスケールの大きなバリトン・ヴォイスの持ち主。特にバラードにおいて最もその才能を発揮しました。


 76年に彼はグループを脱退、ソロ・シンガーとして活動をはじめます。78年にソロ・デビュー・アルバム『Life Is A Song Worth Singing』を発表。「Close The Door」のヒットを放ちます。その後ライブ・アルバムなどのリリースを経て1980年に発表されたのがこのアルバム『TP』です。ここから彼は2枚のシングル・ヒットを生みます。バラードの「Can't We Try」そしてこの「Love T.K.O」です。この曲の作曲を手掛けたのは Cecil Womack-Gip Noble-Linda Womack のコンビ。クールで独特のセンスが Teddy の歌と溶けあって大ヒットとなります。また Stephanie Mills とのデュエットによる「Feel The Fire」や Ashford & Simpson の曲も収められており Nickolas Ashford も参加するなど多彩なアルバムです。
 82年彼は交通事故で半身不随の重傷を負ってしまいます。以降の彼は残念ながら大きなヒットにはあまり恵まれていません。それだけにこのアルバムは彼にとって最後のベスト・トラック集と言えるかもしれません。

(脇元和征)




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