Rick Danko, Jonas Fjeld,
Eric Andersen Blue River 1993 "Danko / Fjeld / Andersen" RYKODISC RCD 10270 / CD |
||
Rick Danko のやさしくて少したくましい歌声を思い出しながら、この原稿を書いています。
この曲はフォークシンガー Eric Andersen、ノルウェーの Jonas Fjeld とのコラボレーションのアルバムの中で1991年に発表されました。(ノルウェー発売。'93年にRYKOから世界に紹介。) "Blue River" は Eric Andersen '71年発表の代表作で、Rick Danko が淡々と大きく歌います。青く流れる河に日常の一こまを見つめた歌詞に、Rick Danko のスケール感のある声とアメリカンミュージックへの敬愛が重なります。Eric Andersen はギターではなくピアノ伴奏にて実に気の効いたサポートを、その Eric と Jonas Fjeld 、それに録音地オスロのゴスペル隊のコーラスが曲に静かな興奮と緊張感を与え、後半には僚友 Garth Hadson のアコーディオンが加わり曲をドラマチックに盛り上げます。 |
||
Eric Andersen は1943年ピッツバーグ生まれのシンガーソングライター。放浪の末にニューヨークのフォーク・シーンで活躍。アウトサイダーへのまなざしや、ロマンチックな愛のうたが特徴で「疲れた靴」などの名作を生みます。最後の吟遊詩人と呼べそうな人です。
一方 Jonas Fjeld(ヨナス・フィエルド)は1952年生まれのノルウェーを代表するシンガー・ソングライターで、10数枚のアルバムを既に発表しているそう。Rick Danko をして「ノルウェーの人間国宝」と呼ばしめました。カナダ人の Rick Danko を含んだコラボレーションは Eric を中心に築かれました。 アルバムの他の収録曲を紹介しましょう。Eric と Rick 共作の "Driftin' Away" はアウトローの心をうまく歌っていて、The Band の世界も思い起こさせます。Jonas は "Blue Hotel" でロマンチックな大人の愛を歌います。恋じゃない。 |
||
同じく "Angels In The Snow" は郷愁を誘われる曲で、英語とノルウェー語で歌われます。Eric は "Mary I'm Comin' Back Home" やフォークの旧友 Tom Paxton の "Last Thing On My Mind" でやさしいまなざしを聞かせます。他に楽しいロックンロール "One More Shot"、ノルウェーの SLATT というスタイルの器楽曲 "Judgement Day" なども収録されています。
アメリカ人、ノルウェー人、そしてカナダ人の3人を結び付けたのは、アメリカン・ルーツ・ミュージック。それは特定の様式とかではなく、郷愁を呼び起こすもの、心に語りかけるもの。3人の音楽を聴いていると世界共通のルーツ・ミュージックであると感じます。 (たかはしかつみ) |
Rick Danko 1943-1999 |