Sarah Vaughan

All Of Me

2000 " Linger Awhile-Live At Newport And More "
Pablo/Victor VICJ-60556/CD





 はじめに Blossom Dearie を取り上げたときに、このレビューを読んでくださる方のほとんどがオールディーズやポップスのファンでジャズ・ヴォーカルを取り上げてよいものかとためらいましたが、ジャンルやカテゴリーが徐々にボーダーレス化していることを思うと少しでもジャズ・ヴォーカルの魅力が伝わればよいと感じています。
 調子(?)に乗って女性ジャズヴォーカルの大御所はいかがでしょうか。 Billie Holiay を筆頭に Ella Fitzgerald、Carmen McRae、そして Sarah Vaughan。彼女の名前は The Toys の「Lover's Concerto」のカヴァーが最近 CM で使われたりして名前は耳なじみかもしれません。

 今回取り上げる新作、(というより未発表録音集)『Linger Awhile』は1957年のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ(Jimmy Jones のピアノ、Laura Nyro のアルバムにも参加していた Richard Davis のベース、今もバリバリの現役として Chick Corea などのセッションに参加している Roy Haynes のドラムス)と1978年、1979年、 1982年のアルバムの未発表テイクを集めたものです。


 やはり、どうしてもニューポートでのライブに耳がいってしまいます。解説でも触れられていますが彼女のライブの名盤として誉れの高い『At Mister Kelly's』と同じ歌伴のトリオとの息の合った雰囲気が随所随所から聴かれます。
 「All Of Me」は、短い歌唱ながら彼女の持ち味である情感豊かな暖かさを十二分に聴くことができます。やや癖のあるフレージングと受け取られるかもしれませんが。アンコールで歌われた「Time ~ Tenderly」も聞き逃せない彼女ならではの名唱ではないでしょうか。

(伊東潔)




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