The Box Tops

I Shall Be Released

1969,2000 " Dimensions " Sundazed SC 6161/CD





 先日、CDショップをうろちょろしていたら、私にとって懐かしいジャケットに出会いました。5人のメンバーの顔が星形にデザインされたイラストで、当時、ラジオを通じてポップスを聴き始めた中学生が、少ない小遣いから買った1枚だったのです。今もレコード・ラックにはジャケットは多少汚れていますが、他の思い出の詰まったアナログ盤とともに並んでいます。
 それが The Box Tops 5枚目のアルバム『Dimension』です。ファンの方ならご存じかと思いますが、Bell 時代のカタログが Rhino と同様オールディーズ・ファンには見逃せない、Sundazed から CD化されました。

 彼らは全米1位になった「The Letter」でお馴染みですが、1960年代後半から70年代にかけてアメリカン・ポップスにどっぷり浸かった者には愛着(ニュアンスが伝わりにくいですが)のあるグループの一つです。Alex Chilton のザラッとしたソウルフルなヴォーカルと Tommy Cogbill & Chip Moman のプロデュースが作り出す作品は、当時の他のグループにはない魅力を感じたものです。


Alex Chilton は後年ソロ・シンガーとしても活躍しており最近も新作を発表しています。
 Dan Penn、Wayne Caron Thompson などの作家陣が参加しており、スマッシュ・ヒットした「Soul Deep」、「Sweet Cream Ladies,Forward March」などを収録。また、意外なところで Bob Dylan の「I Shall Be Released」が歌われていますが、これが Alex Chilton のヴォーカルとしっくり合っていて、味わいがあっていいのです。このアルバムでは、 Alex Chilton の自作でカントリー・タッチな「Happy Song」や Neil Diamond の「Ain't No Way」のようなソウル・テイストの作品などにばかり耳がいきがちですが、それぞれの歌を器用に歌いこなしていて、懐の深さを感じさせる一面も見せてくれています。

(伊東潔)




Copyright (c) circustown.net