Genobia Jeter
Take A Look 1986 " Genobia " RCA AFL1-5897/LP |
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99年9月にSSBでもオンエアされたGenobia Jeterのアルバム『Genobia』を最近入手しました。オンエアされた「Take A Look」でのスケールの大きなゴスペル・ソングは circustown.net のBBSでも話題になりました。
Genobia Jeter はバプティスト教会の Julius Cheeks 大司教の姪として5歳の時から教会で歌っていた実力派ゴスペル・シンガーとして知られています。しかしながら彼女が目指していたのは、クラシカルなゴスペル・ミュージックではなく、宗教的な要求を最大限に活かしつつも現代的な視点で捉えた新しい形のゴスペル・ソングでした。 このアルバム『Genobia』でもアレンジメントを中心にそうした彼女の試みが随所に垣間見られます。アレンジは全体的に当時のブラック・コンテンポラリー感覚を取り入れており、良くも悪くも時代の音をしています。 彼女は Luther Vandross や The O'Jays、そして彼女のご主人としても知られている Glenn Jones などのアルバムでもバック・コーラスとして参加しておりスタジオ歴も長い人です。 |
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そのGlenn Jones はミディアム・バラードの「Together」で彼女とデュエットしており、息のあったところを見せています。また、同時期に活躍していた Melisa Morgan がコーラスで参加した、「All Of My Love」では二人の心地よい掛け合いを聴くことが出来ます。
Glenn Jones もそうですが、彼らの世代に共通して言えることは、R&Bクラシックスよりもむしろ、Stevie Wonder や Marvin Gaye といったニューソウルなどから強い影響を受けており、そうしたものを下敷きにしながら新しいゴスペルの地平を切り開いていこうとしていることです。 彼女のヴォーカル・スタイルは Aretha Franklin を彷彿とさせる芯の太いどっしりとした歌い方が特徴であり、Aretha のカヴァーであるこの「Take A Look」からは、そうした彼女自身の切っても切れないルーツの匂いがしっかりと刻み込まれており、コンテンポラリーなだけでなく、きっちりと聴かせてくれるところも大きな魅力の一つです。 (脇元和征) |