Mark James

Blue Water

1973 Mark James / Bell 1117/LP





 Elvis Presley の「Suspicious Minds」、「Always On My Mind」の作曲、そしてB.J.Thomas に多くの優れた楽曲を提供した Mark James が1973年に Bell に残したアルバム。
 Mark James が作る楽曲は派手さは感じられないのですが、曲そのものの骨格がしっかりしており力強い息吹が感じとることができます。
 Mark James はテキサス、ヒューストン生まれ。これまで、Wayne Carson, Johnny Christopher、Chips Moman、Spooner Oldham といった南部の人と曲を共作してきた優れたソングライター。しかし、Bob Crewe のマッスルショールズでのソロアルバムにも楽曲を提供していたところをみると幅広い活躍をしていたようです。
 ただ、歌唱に関して言うと Elvis Presley や B.J.Thomas 程の説得力はありませんが聴けば聴くほど心に染みてきます。


 このアルバムのクレジットを見てみると、このアルバムの前年に制作された『Billy Joe Thomas』に参加したミュージシャンの名前をたくさん見つけることができます。想像するに『Billy Joe Thomas』でのセッションでお互いにうち解けて才能を認め合い、この Mark James のソロアルバムのために再度集まってきたのではないかと考えられます。そのミュージシャン達とは、共同プロデューサーである Steve Tyrell を筆頭にアレンジャーの Glen Spreen、ギターには Al Gorgoni 、ピアノに Jon Stroll。そして Barry Mann もピアノとギターで参加しています。お互いに優れた作曲者として認め合った間柄だったのかも知れません。作詞では Carole King とのコンビで知られる Gerry Goffin もペンをとっています。
 またこのアルバムはニューヨークの Electric Lady Studio で録音されており、ニューヨークを代表するミュージシャンも多く参加。Allan Schwarzberg(Dr.)、Will Lee(B.)、ホーンセクションに MichaelとRandyの Brecker兄弟。トランペットに Lew Soloff といった面々。変わったところでは、Vibraphone に Roy Ayres の名前も。
 そう、この Electric Lady Studio は、Barry Mann『Lay It All Out』も収録されたスタジオでした。ただここから匂ってくるのは、メンフィス辺りの空気なんだなあ。


(富田英伸)





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