Brian Wilson

Kiss Me Baby

2000 " Live At Roxy Theatre " BriMel 1001/CD





 Brian、Brian ってさわいで早一年。昨年7月の来日コンサートは忘れられません。もう一度聞きたい、CD 欲しいとまじに願ったライブアルバムが届きました。ハリウッドの小さなライブハウス ROXY で、去る4月上旬2夜の公演を録音したもの。この CD には日本公演そのまんまの音が記録されています。行った人もそうでない人も、とにかくおすすめ。とにかく素晴らしいコンサートで、秘術でも使われちゃったかなんて思っていたのですが、こうして(多少)冷静に聞いてみてもやはりこのバンドと Brian はすごい。最近の Beach Boys 関係 CD の話題は、発掘音源だの、待望の再発だのとレアさばかりが先行の感ありでしたが、本作は純粋に Brian の音楽を楽しめる1枚です。基本的な曲目構成は日本公演と同じで、8曲減の5曲増。Brian の新曲2曲も楽しめます。10人のバンドは、Jeffrey "二代目" Foskett、および Wondermints の4人を含む日本公演と同じメンツです。なおこの CD はBrian のオフィシャルページだけのインターネット限定発売だそうですが、僕は都内のレコ屋で買えました。なんとかゲットしてください。


 聞き所が多いこの2枚組ですが、「Kiss Me Baby」はコンサート序盤のぐっとくる一曲。バンドのアンサンブル良さが堪能できて、キーパーソンの Jeffrey Foskett と Darian Sahanaja (Wondermints) が活躍。ほんのりタイトな三連のリズムにうすくかかる Darian の鉄琴(ここがポイント)、美しいハーモニーの上で、Brian のしわがれ声(ごめん)、そこに飛び込む Jeff ハイトーン。この曲は1965年、Brian が Phil Spector の Wall of Sound をまさに獲得しようとしたころの作です。BB5 の録音はギター、ピアノとかなり重ねてありますが、このバンドはコーラスを上に鉄琴、下にバリトンサックスで挟み込んで、豊かで非常に広がりのある音をつくり出しています。隠し味はフレンチホルンだな。とってもドリーミーです(このサイドギタリスト/トランペッターは貴重なプレイヤー)。コーダで繰り返す部分、 クレッシェンドしながら鉄琴が6連打されるあたりはまさにシンフォニーだと思います。
 2000年夏 Brian は "The Pet Sounds Symphony Tour" の最中。このコンサートは、Van Dyke Parks 編曲の Brian 序曲にはじまって、Pet Sounds をオケつきでまるごと再現してしまうものだそうです。うれしいことに、日本公演の可能性がかなり高いとその筋で報じられています。期待大、Brian また来て下さい。
 僕がはじめて Brian を見たのは 1999年7月12日、東京初日。いまでもあの気持ちを覚えています。そしてちょうど365日後の2000年7月11日は、竹内まりやさんの復活コンサートの日。生涯何度も出会えるとは思えないコンサートがなんたる偶然か。この一年、僕の音楽生活はインターネットの導きと circustown.net でとっても充実しました。
ありがとうございます、circustown.net 一周年。またどうぞよろしく。

(たかはしかつみ)





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