Burt Bacharach

Nikki

1971 " Burt Bacharach " A&M 3501/LP





 街の舗道の洒落た石畳。同じマークを踏みつけて歩いていたら、なんかヘンな調子。そうこんな時、思い出してしまうのが Bacharach のメロディー。
 映画音楽を中心に完全復活を果たした Burt Bacharach 。ここ5年程の長い静かな Bacharach ブームの中でレアな音源をはじめ、映画音楽やミュージカルを含め、Burt Bacharach の作品の殆どがCD化されました。

 A&M 時代のソロ・アルバムの中でもとりわけ気に入っているのが、この1971年に発表されたアルバム『Burt Bacharach』。トータル性に富んでおり、Bacharach の見事なオーケストレーションを堪能できます。「Nikki」とは彼の子供のことらしくとっても可愛らしい1曲。その他に収録されているのは、Bacharach 自身の繊細なピアノがとっても印象的な「Close to You 」と「April Fools 」。このオーケストレーションの為に書き下ろされた大作「And the People Were with Her」は、まるでニューヨークを舞台にした映画を見ている様にマンハッタンのビルや舗道を思い浮かべてしまいます。


 1曲目に収録されている「Mexican Divorce」は元々、Drifters が歌った曲。ここでは、The Sweet Inspirations のメンバーというよりは、Whitney Houston の母として名が通っている Cissy Houton がボーカルをとっています。Cissy Houton は Bacharch の良き表現者であった、Dionne Warwick の叔母(いとこという説もあり)にあたります。「Hasbrook Heights」では、鼻歌まじりの Bacharach 自身のボーカルがいい味を出しています。
 僕が Burt Bacharach のことを好きになったきっかけは、彼が手掛けた様々な映画音楽。当時、故関光夫さんがDJをやっていた日曜FMの映画音楽番組にかじりついて聴いていました。『007カジノ・ロワイヤル』、『何かいいことないか子猫チャン』、『明日に向かって撃て』、『紳士泥棒ゴールデン大作戦』...、どれもテレビの劇映画枠で見た映画で、楽しい映画ばかりでした。しかし未だに彼が主題歌を書いていた 『Something Big 〜テキサス大強盗団』 という西部劇を見ることができません。「昼のロードショー」で放送して〜。

(富田英伸)




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