Band Of Gold

Love Songs Are Back Again

1984 " Love Songs Are Back Again " RCA/AFL1-5360/LP





 スウィート・ソウル。"甘茶ソウル"なんて言ったりもしますね。でも"スウィートなソウルって何?"って改まって聞かれるとうまく答えられませんね。だいたいそいうジャンル分けってあるのかなと思って、鈴木啓志先生著によるところの「R&B、ソウルの世界」という本を紐解いてみますれば、元々"スウィート・ソウル"には「甘いソウル」ではなくて「純粋でまじり気のないソウル」という意味があったのだそう。むしろサザン・ソウルのなかでよく使われていたそうで、ファルセット・ヴォーカルを中心としたソフト・サウンディングなソウル・ミュージックを指すようになったのはもっと後のことだそうで。ただいずれにせよ甘さなんか感じなくても純粋にソウルを感じられれば十分に"スウィート・ソウル"なわけで、要は聴いた人にとって甘ければそれでいいってことですね。
 そんないわゆる"スウィート・ソウル"の入門編とも言うべきレコードを紹介しましょう。 Band Of Gold の『Love Songs Are Back Again』。これは80年代初頭に流行ったいわゆる「45もの」と言われるカヴァー・メドレー集。


 当時 Stars On 45 による Beatles をはじめとする数々のメドレー集は一世を風靡しました。その特徴はオリジナルに忠実なアレンジでなるべくビートを合わせてディスコに乗せるというもので、他にもいろんなグループがいろんなアーティストの曲を取り上げました。その玄人はだしの芸はちょっとしたものでしたね。
 この Band Of Gold もそんなグループの一つでしたが、取り組んだのはあまりに渋い70 年代スウィート・ソウルの名曲メドレー。この曲を聴いてスウィート・ソウルの虜になってオリジナルを探し回った人も多かったと聞いています。かくいう私もその一人。もともと達郎さんの「サウンド・ストリート」でオンエアされたのを聴いたのが初めて。「スウィート・ソウル特集」とあわせてとにかく何回も聴いたものです。せっかくですからカヴァーされた名曲の数々を列挙しておきましょう。カッコ内はオリジナル・アーティスト。
Love Songs Are Back Again のテーマに続いて

Let's Put It All Toghther(The Stylistics)
Oh Girl(The Chi-Lites)
Betcha By Golly Wow(The Stylistics)
Walking In The Rain With The One I Love(Love Unlimited)
Side Show(Blue Magic)
Have You Seen Her(The Chi-Lites)
Reunited(Peaches & Herb)
You Make Me Feel Brand New(The Stylistics)
Kiss And Say Goodbye(The Manhattans)

 さてこのアルバム、これにとどまらず、「This Is Our Time」という Barry White のメドレーなんかも収められていて、好きな人にはたまらない構成です。ヴォーカルもなかなかのものですので、スウィート・ソウルの大海に漕ぎ出すきっかけとしてはうってつけの一枚。ドイツ盤のCDがまだ手にはいるかな?

(脇元和征)




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