Paul Revere & The Raiders
Featuring Mark Lindsay

Don't Take It So Hard

1968/1996 " Something Happening " Columbia/Sundazed SC6097/CD





  1960年代後半から70年代前半のアメリカのヒット・チャートを賑わせたヒット曲を、「3分間の音の魔法」とよく言いますが、これらのヒット曲は私達ポップス・ファンを酔わせてくれたものでした。私にとっては、ヴォーカルが、ギターがどうのとか、あそこのアレンジがどうだという前に耳にストレートに響き(それらは玉石混淆であったでしょうが)、その後のポップス、ロックを聴く土台になったことは確かだと思います。
 その「3分間」の魔術師たちの中に、60年代後半、アメリカであの The Monkees と人気を競っていたグループとして、Paul Revere & The Raiders (以下、The Raiders)がいます。私事で恐縮ですが、姉が当時、The Monkees のファンでアメリカのティーン雑誌「16(Sixteen)Magazine」を買っていて、この二つのグループの記事が載っていたという記憶があります。


  当時、私の好きなグループは、例えば以前紹介した Classics Four の Dennis Yost のようにリード・ヴォーカルがそれぞれ魅力的なグループでした。The Raiders も Mark Lindsayのような太い男っぽい声の持ち主なくしては語れないと思います(グループ脱退後は、ソロ歌手として「Arizona」、「Indian Reservation」などのヒットを放ったことは有名)。
 「Don't Take It So Hard」は、The Raiders としては、Terry Melcher に代わり、Mark Lindsay が作品提供、プロデュースと前面に出てきた、後期の'68年のヒット曲です。俗にいわれるスリー・コード・ソングの典型的なスタイルといえばいいでしょうか。ストレートなロックン・ロールで、いつもながら Mark Lindsay のヴォーカルが冴えています。このアルバムに収録されている(これもいいんですよね)「Too Much Talk」とともにタイトなソウル・ミュージック色を強めていた時期のサウンドといえます。この後、「Let Me」、「Just Seventeen」などのヒットが続きます。

(伊東潔)




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