Silvetti

Spring Rain

1977 " Spring Rain " Salsoul SZS-5516/LP





 春の雨降る週末、全ての予定を諦めたら暇になったので、こんな時に聴く良いレコードはないものかと適当に漁り始めて1枚のレコードを手に取りました。傘をさした女性のシルエットのジャケットが美しいSilvettiの『Spring Rain』。時間帯やその時の気候で聴く音楽が左右されてしまう僕は、おおっ、まさにこの瞬間に聴くべきレコードじゃないかっと思い、久々にターンテーブルにのっけてみました。そして流れてきた瑞々しいサウンドは、その時ちょっと乾きはじめていた僕の気持ちを潤ったものにしてくれたのです。


 恥かしいくらいベタなストリングスのイントロで始まるタイトル・チューン「Spring Rain」は世代を超えて愛されている超有名曲。40代の音楽ファンにとっては'77 年に39位のスマッシュ・ヒットとなったディスコ・クラシックとして、30代にとってはサバービア・ネタとしても紹介されたSalsoulの名曲、20代の若い世代にとっては '97年に大ヒットした電気グルーヴ「Shangri-La」の元ネタとして。でも今回取り上げた理由として一番大きかったのは、達郎ファンにも多少縁があるんじゃないかなと思ったから。達郎さんのラジオSunday Song Bookでは過去2回もかかってるし、「Sparkle」のドラマチックなイントロはこの曲をヒントにしてるんじゃないかと前々から思っていたり・・・。(Niteflyte の「If You Want It」との合わせワザ?)とにかく一時期はクラブで耳タコだったこの曲も、一過性のDJネタで終わらせてしまうには勿体無い、極上で永遠のポップ・インストゥルメンタルだと思うのです。
 このアルバムには他にもBGMとして流しておくには美し過ぎる佳曲がたくさんあります。弾むようなピアノに物憂げな女性スキャットが絡む哀愁の「A Smile At Dawn」、ギターのカッティングとストリングスが往年のA&Mサウンドを彷彿させる「Two Cups Of Coffee」、晴れた春の爽やかさを感じる「Voyage Of No Return」や、インストゥルメンタルにしておくには勿体無いくらいポップなメロディを持つ「Coconut Rain」などなど。季節が放つ特定の匂いみたいなものを、サウンドだけでこんなにも的確に表現してしまうSilvettiことBebu Silvettiは、アルゼンチン出身の男性ピアニストで、現在でもプロデューサーとして活躍しているそうです。

(高瀬康一)





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