Denne & Gold

Let's Put Our Love Back Together

1978-2001 " Denne & Gold " MCA Records MCA2303/LP UICY-3119/CD





 きっちり整然とした音作りなのになんと心地いいグルーヴ感。これがUKソウルからシカゴ・ソウルへの回答。
 これはイギリス出身のスタジオ・ミュージシャン/ソングライター・チーム Ken Gold とMicky Denne が1978年に残した唯一のアルバム。
僕らをはじめ多くの方が Ken Gold の名が知るようになったきっかけは、イギリスの黒人グループ、The Real Thing の「Rainin' Through My Sunshine」のプロデュースだと思います。1980年に山下達郎さんが吉田美奈子さんといっしょにやったスタジオ・ライブでこのナンバーをカバーしたことがきっかけとなり、山下達郎さんのファンのみならず、ソウル・ミュージック・ファンの心を強くとらえ、今ではイギリスのみならず日本でも大人気ナンバーとなりました。


 イギリスで生まれたこの曲は、シカゴ、ニューヨーク、フィラデルフィアといったアメリカ都市型ソウル・ミュージックのマナーといったものをしっかり遵守、驚いたことにプロデュース、演奏等サウンド面からも支えていたスタッフの殆どはイギリス白人のスタジオ・ミュージシャン達でした。The Beatles を代表に1960年代からイギリス白人の若者がアメリカのソウル・ミュージックに対して強いシンパシーを感じ次々とデビュー、その流れが後に " British Invension " としてアメリカを席捲することになることはよく知られています。そして現在になってもイギリスでは白人達によるソウル・ミュージックに対する熱い気持ちは根強く生き続けている様です。そういった中、スタジオ出身の Ken Gold もソウル・ミュージックを心から愛したイギリスのソングライター/プロデューサー。山下達郎さんが彼を「心の友」とおっしゃった気持ちが理解できるような気がします。
 Ken Gold が書いたナンバーは、Jackie Wilson、Eugene Record、The Dells といったシカゴ勢をはじめ、Aretha Franklin、Teddy Pendergrass、The Pointer Sisters らに取り上げられました。また本国イギリスにおいては、The Real Thing を手がけた後は、やはり黒人グループ、Delegation をプロデュース。また1980年代に入るとイギリス出身の黒人 Billy Ocean のアメリカ進出に手を貸すことになります。一方、相方の Micky Denne は、Ken Gold が関わった作品にギタリストとして多く参加しています。この2人が作ったこのアルバムは、ソウル・ミュージックへの憧憬がブルー・アイド・ソウルへと形を変え、また非常にソフトで洗練されたサウンドに仕上がっています。それに2人ともいい声をしており、歌もうまいです。

(富田英伸)





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