Dionne Warwick

The April Fools

1969 " The April Fools " Columbia OS 3340/LP





 Billy Wilder が亡くなりました。Frank Capra と共に僕の最も敬愛する監督で、『アパートの鍵貸します』は All Time Favorite Movie です。僕は、"暇になると Billy Wilder の作品を観る" という習慣を持っているほどで、『お熱いのがお好き』『あなただけ今晩は』『フロント・ページ』などのコメディはもちろん、『サンセット大通り』『情婦』『深夜の告白』『失われた週末』などのサスペンス物までとにかく全部好きです。ハリウッド黄金時代を象徴する最後の大監督が亡くなり寂しい限りですが、95歳ということですから大往生でしょう。ご冥福をお祈りします。


 さて Jack Lemmon という素晴らしい役者を知ったのもBilly Wilder 作品だったと思います。Jack Lemmon は音楽的才能にも恵まれた役者で自身でも数枚アルバムを出していますが、今回は Jack Lemmon が出演した映画で個人的に一番音楽が良かったと思う作品を紹介しましょう。
 69年のアメリカ映画『April Fools』(邦題は『幸せはパリで』)です。(監督:Stuart Rosenberg 、音楽は:Marvin Hamlisch )Jack Lemmon と Catherine Deneuve がパーティで知り合って駆け落ちをするまでを描いたロマンチック・コメディですが、映画的価値からみると名作の多い Jack Lemmon の作品群の中ではちょっと地味かも知れません。(Jack Lemmon にしてはちょっとロマンチック過ぎる作風だったのでは?)でも音楽がとにかく素晴らしいので、大好きな映画の一つです。
 まずタイトル曲「April Fools」はご存知、Bacharach & David 作品。Percy Faith & His Orchestra & Chorus の甘ぁ〜く切ない演奏は Catherine Deneuve のため息が出るほどの美貌を更に惹きたてます。冒頭のパーティ・シーンでかかる Mongo Santamaria のスキャットを交えたラテン・ナンバー「LA LA LA」や、2人がディスコに行った時に流れる The Chambers Brothers のブラスの効いたソウル・ナンバー「Wake Up」、他にも Taj Mahal や Robert John なんていう人のナンバーも入っていて、69年というヒップで雑多な時代性を感じます。2人のセリフのダイアログで曲を繋げていくというセンスも、映画のシーンが思い出されて実にいい感じ。
 映画のラストには Dionne Warwick の切ない歌声でタイトル曲が流れますが、今回紹介したコロンビアのサントラには Dionne のヴォーカル・ヴァージョンは入っていません(権利関係のため?)ので、セプターから当時出た日本盤シングルも合わせて紹介しました。

(高瀬康一)


1969 " エイプリル・フール "
Scepter UP-129-S/EP



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