Johnny Mandel

The Shadow of Your Smile

1965 " Original Sound Track From The Sandpiper " Verve 314531299/LP





 浜辺へ流れ込む小さなせせらぎが、美しい弧を描いて海に落ちていきます。夏が通り過ぎていった海の情景に一番似合うボサノバ・クラシック。
 「The Shadow of Your Smile」、元々は1965年公開のアメリカ映画『いそしぎ』(The Sandpiper)の主題曲。映画は、エリザベス・テーラー、リチャード・バートン、そしてエバ・マリー・セイントが競演、ヴィンセント・ミネリが監督を務めた恋愛映画。確か昔、東京12チャンネルの「昼のロードショー」の枠で観たことがあるのですが、その時、宗教が絡み難解かつ暗い印象があって、あまり記憶に残っていません。今回、調べてみたら、ダルトン・トランボが共同脚本として参加していることを発見したりして、しっかり観ておけばとちょっと後悔。



 サウンドトラックの方は、Victor Feldman(Dr)、Plas Johnson(Reeds)、Red Mitchell(Bass)、Bud Shank(Reeds)他、多くのジャズ・ミュージシャンが参加。 Johnny Mandel 自身もアレンジの他にトロンボーンを吹いています。プロデュースのクレジットに、Quincy Jones の名前も見つけることができます。
 この「The Shadow of Your Smile」は当年アカデミー主題歌賞に輝き、多くのジャズ・ボーカリスト、ジャズ・ミュージシャンに取り上げられるようになり、ボサノバ・クラシック・ナンバーとなりました。
 Johnny Mandel という人は元々、ビッグバンドのトロンボーン、トランペット奏者として1940年代から活躍していたジャズ・プレイヤーで、Chubby Jackson、 Elliot Lawrence 、Count Basie といったミュージシャンといっしょに働いていたとのこと。1950年後半から映画音楽を手がけるとともに、Frank Sinatra 等、ジャズ・ボーカルのアレンジの仕事も行ってきました。映画音楽では、『いそしぎ』以外には、クールなジャズ・フレーズが香り立つ『動く標的』やエセ東洋感覚に陥ることができる『MASH』辺りが有名。

 この「The Shadow of Your Smile」以外に Johnny Mandelが書いた曲でとても大好きなナンバーがあります。それは映画『Americanization of Emily』(未見)のために書かれた「Emily」。Bill Evans や Gary McFarland らが取り上げ、既にジャズ・クラシックとなっているナンバーですが、とってもカワイイ曲。
 Johnny Mandel という人が気になったのは、大好きだった The Singers Unlimited がこの「The Shadow of Your Smile」や「Emily」を取り上げていたから。なんて素敵なメロディーを書く人なんだろうと思いました。今でも僕にとって " The Singers Unlimited Sings Johnny Mandel " が最高。機会がありましたら是非。

(富田英伸)



"Masterpiece" The Singers Unlimited
MPS 521/CD



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