Nancy Sinatra & Frank Sinatra

Somethin' Stupid

1967 Reprise JET-1756 / Single





 今年の新春放談で、まりや&イーチのデュエットが披露され、みんなでびっくりしたのは記憶に新しいところですが、7月にはなんとTBCのベッカムCMに採用、そして今や「ロンフェバ」のパイロット曲扱い。あれよあれよでまりやさんの代表曲に登りつめた感のある「恋のひとこと」を、もう一度紹介いたします。
 この曲が発表されたのは1967年。ベトナム戦争の影、ヒッピー文化、そしてチャートは「ポップス」から「ロック」へ、シングルからLPへ、と大きく動き出します。Jefferson Airplaine、Doors、Buffalo Springfield といったロックバンドの攻勢に、かろうじて応える Monkees、Supremes らの黄金ポップス時代の生き残りたち。そんな時代にこの曲はエアポケットのごとく登場したように見えます。ラテンの香りのする切れの良いギターイントロと洒落たリズム隊、そして「ゆとりたっぷり」の父娘デュエット。さりげなく、さりげなく、サイケも、ブリテッシュロックも、そう「アイラブユー」なんて言葉も、さりげなくやり過ごしていくような。


Reprise RS23166

 ショウビズの帝王 Frank Sinatra は、98年に他界するまでに半世紀以上のキャリアを持ちます。60年代は初頭に自ら設立したRepriseレーベルで円熟した歌声のヒットを数多く記録した時代として記憶されています。「恋のひとこと」リリース前年の66年には、「Stranger In The Night」(夜のストレンジャー)をなんとBeatles、Stones と渡り合って大ヒットさせるという不滅さをみせつけました。一方娘Nancyは、同じ66年に「These Boots Are Made for Walking」(にくい貴方)を皮切りにヒットを連発。ミニスカート、ブーツのトレードマークで箱入り娘とは思えぬ大暴れ。当時としては「女性ロッカー」のはしりという感じではなかったのでしょうか。なお「Sugar Town」はタイトルにピンときて、だまされたと思って聞いていただきたい1曲です。
 なおこの曲は、男声が主旋律、女声がハーモニーとアレンジされているのですが、例えば導入部では上昇主旋律を上で女声が3度をキープして抑えるようになっていて、ちょっと歌うのが難しいと思います。一方、Marvin Gaye &Tammi Terrell のカバーだと、パートを男女取り替えて Tammi の主旋律をオクターブ上へ、Marvin が下でハーモニーをキープ。これだと普通に聞くことができます。この曲のカバーは山ほどあるのですが、はてどのアレンジと歌手が素敵ですかね。

(たかはしかつみ)




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