The Buckinghams

Susan

1967-1999 " Time&Charges/Portraits " Columbia/Sundazed/SC-11073/CD





 1960年代後半からポップスを聞き始めて世代の一人として、好きな曲には必ずと言っていいほど、個性的なリード・ヴォーカリストをフロントにしたグループが多かったと思います。例えば、ハスキーな鼻にかかったヴォーカルが持ち味のDennis Yost(The Classics IV)、ハイトーンの伸びやかなヴォーカルのGary Puckett(The Union Gap)など、挙げていったらキリが無いくらいです。


 Dennis Tufanoをメイン・ヴォーカルにしたThe Buckinghamsもその一つです。シカゴ出身の5人組、1966年にUSAレーベルで「Kind Of A Drag」を全米1位にさせました(USA時代、4枚のシングルをリリース)。その当時はブルーアイドソウル的なグループでしたが、大手Columbiaへ移籍とともに、プロデューサーのJames William Guercio(後のChicago,BSTのプロデューサーとしての活躍したことは有名),楽曲提供のGary Beisber-James Holvayのバックアップを得て、ブラス、ストリングスを巧に取り入れたサウンドは当時、私たちポップス・ファンには新鮮でした。「Don't You Care」からはじまり「Mercy,Mercy,Mercy」(後にジャズを聞くようになり、アルト・サックスのCannonball Addrelyのヒット曲でもあると知りました)、「Susan」など、1967年は、このCDのライナーでも書かれているようにThe Bucknghams Yearといえる年でもあったと言えます。
「Susan」は、ピアノのイントロからDennis TufanoのヴォーカルがSusanへの失われた恋を切なく思うラヴ・ソングです。ブラスとストリングスがうまく使われ、アンサンブルよくまとめられた彼らのヒット曲の中でも傑作のひとつだと思います(この曲と「Back In Love Againは特に大好きです)。間奏のサイケデリックというか「こわれた」音は、当時、The Young Rascalsの「It's Wonderful」の間奏をもほうふつさせる時代色(?)をも感じさせます。また、カップリング曲「Foreign Policy」もドラマチックな名曲として、The Buckinghamsを記憶に残るグループとしています。
 余談になりますが、これを書くためにレコード棚を見ていたら、1977年にリード・ヴォーカルのDennis Tufanoとギター担当のCarl GiammareseがTufano & Giammarese名義で出した「The Other Side」(Ode/epic 34969)というアナログ盤があったのには、当時、気になって買っただろうなと思う次第です(Tom Scott/Hank Cicaloのプロデュースで、バックも当時のフュージョンの有名なミュージシャンが固めています)。
 以前も触れましたが、1960年代後半の前述した音楽は、今、私の聴く音楽の土台を作り、その基礎を作ってくれたものとして、いつまでもそばにある音楽として大事に聴き続けるだろうと思います。

(伊東潔)





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