Port Of Notes

私のいちばん好きな色

2004 " Evening Glow " Crue-l Sounds KYTHMAX 093/CD





 年が明けて、暖冬とは言われながらも、寒いしんしんと冷える日々が続いています。春の声が待ちどおしい日々でもあります。そのような日々に春の気配を感じさせる小さな歌を紹介させてください。
 3年前になりますが、一度、紹介した女性シンガーの畠山美由紀(ヴォーカル)と小島大介(ギター他)のデュオ、Port Of Notesの3枚目のアルバム「Evening Glow」の中の「私のいちばん好きな色」がその歌なんです。


 「晴れ渡る空を歌声が響く/君の帰りを南へ旅する鳥たちも聞く」の彼女の歌いだしから、シンプルなスリー・ピースのサウンドにのり、前、彼女の歌の紹介の際に触れた時の評言を使えば、「透明感のある水彩画」のような世界が広がります。
 ユニゾンで歌われる、その声の爽やかさ。表に出していえる言葉、言葉が彼女の歌唱の中で生命感ももつというと「褒めすぎ」でしょうか。小さな歌なのに、印象が残る作品になっています。
 『Evening Glow』では、「それぞれの海の色」、「Dead Angel」では、Port Of Notesならではのサウンドデザインの中での彼女のしなやかな歌唱の味わい、また、松任谷由実がコーラスで参加してる「Sushine In The Rain」での彼らのポップセンスなどが感じられますが、もしかしたら「私のいちばん好きな色」のような小さい歌(ニュアンスが伝わらないもどかしさがあるが)に、彼女の歌の魅力がそこここに感じられるのではないでしょうか。
 このアルバムのリリースと同時期に、昨年、Blue Jay Wayでの彼女のライブを収録した『3 Differrent Tones』(Tonetone TTLC-001)がリリースされました。ギターリストとのデュオで統一されたアルバムで、カバー曲(たとえば、大貫妙子の「新しいシャツやCyndi Lauperの「Time After Time」など)や小田急ロマンスカーのCFで流れている「ロマンスをもう一度」など、彼女の生の歌声をじっくり聴けるアルバムに仕上がっています。

(伊東潔)





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