2012.07.11 | ||
Lua de São Jorge
Caetano Veloso Cinema Transcendental (1979) |
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ここ数日梅雨の中休み。気温がぐんぐん上がって、いよいよ本格的な夏が目前という感じ。
暑くなってくるとソーメンとかところてんとか冷やし中華のような喉越しのいいものばかり食べたくなるのだけど、音楽もエレキバリバリのロックはしばらくお休みして、喉越しのいいボサノヴァだのハワイアンだのを聴いて涼しさとともに早くも現実逃避を図っております。
Caetano Velosoの生誕70年を記念して、このほど13枚のアルバムが紙ジャケで再発されました。
セクシーで粋でそして反骨の男。決して耳心地のいいボサのみに留まることなく到達した、漂うような独自の世界観が、空気が重たい夏の午後にはことのほかよく合っているような気がします。
さて、このアルバムは今回のシリーズ中最後の作品で、タイトルは"超越的シネマ"と訳されています。変わったタイトルですね。
収録されている1曲1曲を映画のシーンになぞらえて、映像が浮かんでくるような音の世界を構築しようと試みているのかもしれません。
非常に色彩感のはっきりした表情のあるアルバムです。僕はこの感じ、結構好き。
また、このアルバムは当時彼が一緒に活動していた、Outra Banda Da Terraというバンドで作った2枚目の作品で、練れたバンドとしてのグルーヴが心地よく響いています。
そのあたりの空気感を、解説の中原仁さんは「ティン・パン・アレイやシュガー・ベイブのサウンドに通じるものがある」と書いています。
バンドの持つ一体感のあるサウンドは、なるほどどことなくティン・パンやシュガーに通底するものを感じます。
砂浜に寝転ぶジャケットを見ながらアルバムを聴いていると「今年も夏が始まるなあ」と気持ちがざわざわしてきます。夏は不思議と焦燥の季節。
今日の1曲