2012.07.16
Fairfax Rag
Nilsson

Harry (1969)

レコ屋話でもう1本。
10代から20代前半くらいまでの頃、中古レコ屋のおじさんと話していて「若いのにこんなレコード聴くの?」とか「なんでこんな古い音楽知ってるの?」とか言われるのが結構好きでした。別に狙って選んでいたわけじゃなく、聴きたいレコードを素直に選んでいただけですが、何となく大人のレコード・マニアの仲間入りをしたような、少しだけ自尊心が満たされた気がしたものです。

それが30代に入ると徐々に何も言われなくなり、今では当たり前のような対応をされて寂しい限り。めでたく立派なレコード・マニア(?)に成長したということなんでしょうか。

そう言えば、20歳くらいの頃、当時神田にあったフォークが強い中古レコ屋で、Modern Folk Quartetのワーナー・オリジナル盤を買おうとしたら、頑固そうな店主に「このアルバムは君みたいな若い人にはまだ分からないから、よした方がいいよ」と言われ、売ってくれなかったことがありました。一瞬唖然としましたが、その時は「そうかまだ俺には分からないのか」と素直に諦めました。

よく考えてみたらスゴい話で、その後徐々に腹も立ってきましたが、今思えば確かにあの端正なフォーク・ミュージックは当時の自分にはまだ早かったような気がします(実は達郎さんがカヴァーした「This Could Be The Night」が大好きで、どうしてもMFQを聴いてみたかったのです)。

昔はこういった名物親父というか、個性的な店主がいたレコード屋が多かったですよね。今ではレコ屋自体がどんどんなくなっています。もちろん、そのフォークが強い店もとっくに店仕舞いをしたようです。

今日の1曲は、あの時、Modern Folk Quartetの代わりに買ったNilssonの『Harry』というアルバムから「Fairfax Rag」にします。MFQの代わりにNilssonのこんな素晴らしい名盤に出会えたのだから、今ではあの店主にありがとうと言いたいです。


今日の1曲


(高瀬康一)




Copyright (c) circustown.net