2012.08.05
Knock On Wood Knock On Wood
Eddie Floyd

Atlantic Rhythm & Blues 1947-1974 -Japanese Edition- 2012 (1966)

ついに噂のアトランティック・リズム&ブルース10枚組が我が家にやってきた。
アトランティック・レコードの歴史をCD10枚組におさめたもので、今回日本で再編集された。

これがいい。レコード好きを満足させる、全ての要素が詰まっている。
音がいい、解説が面白い、装丁がいい、そして楽曲が素晴らしい。

以前に再発CDの5枚組が2000円でいいのだろうか?とここに書いた。確かにサイフにはありがたく、中の楽曲に罪はないのだが、そこから感じるのは経済的合理性。時代に飲み込まれる音楽、それでいいのだろうか。

一方こちらの10枚組は、つまらぬ私の心配をよそに、とても洒落たプロダクトになっている。たとえばパッケージ。これはCDなのに7インチシングルの大きさのボックスに入っている。ジャケット写真は当時のシングルではない。当時のペーパースリーブを模したポケットに、CDがちょこんと入る仕掛けになっている。これが全て異なるデザインで計10枚。写真でも紙袋のレコード皺が見えるかと思うが、これはスリーブの質感を再現するために、描いているんでしょう?この調子が全編、やりすぎ(笑)な程の丁寧な仕事になっている。

送り手の付加価値が最大限盛り込まれて、中の楽曲も幸せだ。こちらも聴く気が引き締まる。

Eddie Floyd の Knock on Wood は、アトランティックがより南部色を強めた60年代中期を代表する一曲で、Disc 6 から。録音はメンフィス、バッキングは Booker T と MG's、アトランティックが配給契約を結んでいたStaxレーベルからの作品。ちなみに "Knock on Wood" とは、おまじないで、悪いことが起きませんように、いいことが続きますように、(きみの愛がずっと続いてほしい)とのこと。ピーター・バラカン氏によるとイギリスでは同じおまじないを "Touch Wood" と表現するそう。木を触るといいそうだ。

こういう《贅沢な》プロダクトの作り手がいて、買い手がいる日本のマーケットは立派である。作り手の宮治さん、鈴木啓志さん、高瀬さんに感謝である。




今日の1曲


(たかはしかつみ)




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