2012.09.22
電話で話そう 電話で話そう
花*花

リンゴとクローバー (2002)

 日本の女性シンガーを取り上げてくださいと編集長からのご所望、好きな土岐麻子さんや真城めぐみさんの在籍するHicksvilleとかが頭に浮かびましたが、今回は、兵庫県出身のこじまいずみさんとおのまきこさんの二人からなる女性デュオの花*花(2003年の活動を休止したが、2010年にミニアルバムを発表し、活動を再開)。
 私が初めて花*花を耳にしたのは、Andrew Goldの大ヒット曲の「Lonely Boy」をカバーして、2002年7月にシングルとしてリリースした「Lonely Girl」からでした。日本語詞(彼女たちの訳詞)で歌われたその歌は、彼女たちの等身大の二人の出会いの経緯をのせた内容で、とてもいいカバーだったんです。
 その曲も入っている2002年にリリースされた4枚目のアルバム「リンゴとクローバー」の中の1曲が「電話で話そう」です。
 好きな人と離れて、もどかしさとためらいの中で、前へ一歩、足を踏み出そうとしながらも、立ち止まってしまう心模様をストレートに描きだしてる詞の世界。
 
 「電話で話そう/今は声だけ/飛びこめなくて/私だけ素足は/いやだから」
 「電話で話そう/今は声だけ/笑ってるけど/「全部欲しい」っていっちゃってもいいの?」
 面と向かって言えないもどかしさの中、「電話」でなら言えそうで言えないことも言えるかもしれない、そのもどかしさとためらい。
 おのまきこさんのマニッシュな歌声を追うように(並走する?)こじまいずみさんのスウィートな歌声がつながれていく流れがよく、ふたりの歌声の調和が彼女たちならではの花*花の歌の世界を作っています。さらに、パパダイスケさんの'70年代のロックを感じさせるアレンジも二人のヴォーカルを引きたて、耳を向けさせますし、軽快なポップ・ロックとしても楽しめる歌になっています。

(伊東 潔)




Copyright (c) circustown.net