2013.01.26 | ||
Jesus Will
Anita Wilson Worship Soul (2012) |
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2012年によく聴いたアルバムのベスト3を選ぶと、R.Kelly の『Write Me Back』、Bonnie Raitt の『Slipstream』、そして今回ご紹介する女性ゴスペル歌手 Anita Wilson のデビューアルバム『Worship Soul』になります。
初めて Anita Wilson の名前を知ったのは、New York Times 電子版の音楽欄のアルバム・レビューでした。レビューの中で、彼女のアルバムの内容についての「'70年代、'90年代、最近のR&B」、「Sly & The Family Stone や Parliment-Funkadelic の感覚」という言葉に興味を覚え、加えて今のゴスペル音楽ってどんなんだろうと気になって、このアルバムを購入しました。
ゴスペル音楽という言葉を耳にすると、どんな歌やサウンドを想像されるでしょうか。私は、真っ先に浮かぶのは Mahalia Jackson の荘厳な歌唱であったり、私たちの世代のポップス・ファンには当時よくラジオから聴いた Edwin Hawkins Singers の大ヒット曲の『Oh Happy Day』を挙げる方も多いのではないでしょうか。また、最近では男性ゴスペル歌手の Kirk Franklin や Marvin Sapp の名前を耳にすることがあるのではないでしょうか(恥ずかしながら上述の二人の歌手の歌は聴いていないのです)。私には姉妹デュオの Mary Mary の歌が今のゴスペル音楽の貴重な接点でした。
Anita Wilson は、教会の牧師の父を持ち、幼いころから教会で歌っていたそうです。その後 Sarah Vaughn などのジャズや、Aretha Franklin、Stevie Wonder、Chaka Khanなどの'70年代のR&B、そして彼女の十代の頃、Lala Hathaway、Brandy、Faith Evans など'90年代の都会派 R&B の影響を受けたということです。
このアルバムは、2010年にシカゴの教会でのライブ録音を収めたものです。James Taylor の『Shower The People』と James Cleveland の『Jesus Will』のカバー以外は彼女のオリジナルとプロデューサーの Ricky Robinson と共作で占められています。
『Jesus Will』は、歌いだしの「Who Opens Doors That I Can Not See/Jesus Will、Jesus Will」の彼女の力強い歌唱、女性コーラスとのかけあい、そして、バック・バンドのソウルフルなサウンドが見事にマッチして、いいアンサンブルになっています。彼女の歌を聴くと、歌うことの喜びにみちみちていることを強く感じます。なにも知らず、この歌を聴いたら、ゴスペルというより、R&B、ソウル・ミュージックと受け取られると思います。今のゴスペル音楽の聴くきっかけを作ってくれるアルバムになるかもしれませんね。
このアルバムは、2月に発表されるグラミー賞のベスト・ゴスペル・アルバム部門にノミネートされています。ファンとしては、受賞されるとうれしいですね。そして、教会で彼女の歌を聴いてみたい気持ちにさせるアルバムでもあります。