2013.05.30 | ||
You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight
The J.B.'s Doing It To Death (1973) |
||
ぐずぐずしているうちに年度も変わり春を通り過ぎてついに梅雨がやってきてしまいました。そんなこんなでファンク特集の3回目。
前回まではJames Brownをファンクの始祖としてご紹介しました。その中でMaceo Pakerのことについてちょっと触れましたが、JBのバックを支えていたミュージシャンたちなくしてはあの独創的なファンキー・ミュージックは生まれなかったのではないか、ということを曲の数々を聴いていて感じます。
もちろんJBの突出した才能と個性は言うまでもありませんが、JBをJBたらしめたのは彼を支えていた優秀な多くのミュージシャンたちの誠実な仕事ぶりにあったのではないでしょうか。
JBが思いついて歌詞の一節をナプキンに走り書きしハミングで歌ってみせたフレーズがその日の夜には録音されていた、というエピソードが残っているぐらいですから、JBのセンスを汲み取って共有できる創造力に溢れたミュージシャンたちがいたということなんでしょうね。
今回はそこに焦点を当ててみたいと思います。
JBは長いキャリアの中で主にふたつのバックバンドとともに仕事をしています。
The Famous FlamesとThe JB's。もともとボーカルグループから出発して50年代中期から60年代中期のR&B時代のJBを支えたのがFamous Flames。そして60年代の終わりから70年代の中頃にかけてのファンクの時代を担っていたのがJB'sです。
JBのバックを務めるメンバーは頻繁に入れ替えを繰り返しながらステージとレコーディングの両方をを勤めていたようで、レコードはレコード、ライブはライブという分業制が当たり前だった時代としては珍しい制作スタイルをとっていたようです。
そのことはまたJBがアーティストとしてのトータリティを自らコントロールしようとしていたことを現してもいるのではないでしょうか。
さて、話はJB'sに戻りますが、JB'sの名前がR&Bシーンに初めて登場するのが69年ごろ。核となる人物はBootsy Collinsその人であります。「Sex Machine」をJBと共作しているのがこの人。Sly & The Family Stoneから後にGraham Central Stationを率いたベーシストのLarry Graham。そのラリーから影響を受けたという指で弾くスタイルのベースを軸に、初期のJB'Sは重心の低いファンク・サウンドを作り上げていました。これが今に連なるファンク・サウンドの原型かなというような音です。
ギターのJimmy Nolenの延々と続く鉄板ギターのリフも陶然とするようなグルーヴを放っています。このテンションは麻薬かも。
そして、その音を引き継いだ第二期とも言うべきJB'Sの中心メンバーはトランペットのFred WesleyとJBのバンドに復帰したMaceo Paker。メンバーがめまぐるしく入れ替わり、時代を重ねるごとに厚みを増していくJBサウンド。そんなJBファンクの到達点が70年代初頭のJB'sのアルバムに見て取れます。今日は2枚目の名盤『Doing It To Death』からこの曲を。JBがヴォーカルをとっているこれぞファンクの真髄、ブルージーにしてグルーヴし続ける「You Can Have Watergate Just Gimme Some Bucks And I'll Be Straight」。素晴らしい〜
今日の1曲