2013.06.16 - Nippon 80s Special | ||
Rock'n' Roll Goodbye
松田聖子 Candy (1982) |
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思春期の頃は自分で勝手にルールを作る。うんうん、わかるわ〜、かつみさん。ホントやってましたね、そんなこと。歌謡曲は聞かない、ヒット曲は聞かない、ベストセラーは買わない・・・。サブカル志向?いや単にへそ曲がりというか・・・。今にして思うとあんまり意味はなかったなあと思うけど、売れているもの、メジャーなものに対する密かな抵抗みたいな、そういう気質は今もあるかも(笑)。
で、松田聖子。もうはっきりメジャー。アイドル全盛の頃のトップランナーでしたね。でもどういうわけか松田聖子は出てきた時から結構好きでした。ファースト・アルバムは買ったんだよな、何故かカセットで(笑)。
大瀧詠一がプロデュースした『風立ちぬ』が僕の記憶の中ではずっと82年の秋のことだと思っていたのですが、1年前の81年の秋のリリース。『A LONG VACATION』が81年の3月21日で10月21日が『風立ちぬ』。ここまでの間に松本隆が「白いパラソル」で初めて彼女に詞を書きます。大滝−松本ー松田のラインがこの半年で揃います。
日本のロックとかニューミュージックのサイドにいた人達が、作家的な志向で歌謡曲の方にぐっと近寄っていったその象徴的な存在が松田聖子でした。それは彼女の持つアーティスティックなシンガーとしての才能が、作家の欲望を引き寄せていたのかもしれません。こういう曲を歌わせてみたい、もっと言うなら、どうだこの曲を歌えるか?!みたいな・・・。それは作家の矜持を彼女の才能が支えていたと言えるのかもしれません。
さて、『風立ちぬ』からさらに半年後の82年3月21日に『ナイアガラ・トライアングルVOL.2』が出ます。
ロンバケでナイアガラのディストリビューターがCBSソニーに代わって、その年にナイアガラの一連の作品がソニーからリ・イシューされています。それで必死になってそれを集め始めたんです。
ちなみに82年の1月に達郎さんの『For You』が出ているのでナイアガラ・エラの山下達郎も渾然となってひっくるまって、81年から82年にかけてはもうどっぷりナイアガラ。聴いている音楽の幅も奥行もググッと拡がったのがこの頃でした。
このあたりは、もうすっかりかつみ先輩とシンクロしていたんですね。
当時付き合い始めたばかりのガールフレンドもロンバケにノックアウトされた子で、まあそれが縁で意気投合したんだけど、二人で「雨のウェンズデイ」を学校の帰りに一緒に歌いながら帰ったという、これを青春と言わずしてなんと言おう!とにかく二人で夢中になってナイアガラとか達郎さんとかを聴いてたあの頃。ロンバケの遠い思い出(笑)。
あれ、話があらぬ方向に・・・
それで、大滝さんがシンメトリックなロンバケのコンセプトで作った『風立ちぬ』が大成功して、そのあとに持ってきたテーマが”松田聖子は80年代のコニー・フランシスか”。
では、そのコニー・フランシスをひとつ
このしゃくりあげる感じ。改めて松田聖子はコニー・フランシスの系譜ですね。
さて、「風立ちぬ」のイメージを一旦引き剥がしたいという作家としての意欲。この「Rock'n' Roll Goodbye」を大滝さんは「R&Rマーチ」、「R&Rお年玉」、「R&R退屈男」に次ぐロックンロール・シリーズであると言っています。しかしナイアガラ前期のノベルティ・タイプの作風をあえて聖子ちゃんにぶつけるという・・・。間奏が「むすんでひらいて」だからね〜。
しかしそれを松田聖子は堂々と表現してのけます。シンガーとしての懐の深さはこの頃からちゃんとあって。もうしっかりコニー・フランシスと伍していますね。
大滝さんふうに言えば、コニー・フランシス−弘田三枝子−松田聖子の流れがつながったということでしょうか。
この曲はアルバム『Candy』の中の1曲ですが、このアルバムが出たのも82年。
82年は実にいろんなことがたくさんありました。
今に残る作品がたくさん出ていますし、いろんな思い出が曲と共存しているのもこの頃の音楽たちなんですよね。82年というのはいろんな思い出が詰まっていて忘れられない年ですね。
あの子どうしてるかなあ。今もたまには懐かしんで「雨のウェンズデイ」を口ずさんでくれてるといいなあ。
今日の1曲