2013.07.05 - Nippon 80s Special | ||
雨色の僕と君
有賀啓雄 シングル (1987) |
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この「ニッポンの80年代特集」について編集長から言い渡された条件は「当時リアルタイムで聴いていた音楽とする」とのこと。すみません、その条件破ります。この有賀啓雄のデビュー曲「雨色の僕と君」はかなり後追いで知りましたが、この梅雨の季節中にどうしても紹介したかったのでどうかお許しを。
有賀啓雄はベーシスト、アレンジャー、プロデューサーとしても有名ですが(最近は小田和正のバック・ミュージシャンとして年末によく見かけます)、80年代から90年代にかけて3枚のアルバムをリリースしています。そのソロ・デビューのきっかけとなったのが、アレンジャーの参考資料としてスマイルに提出したデモ・テープを達郎さんが聴いて「自分でやった方がいいよ」と助言したからといいます。そしてその言葉通り、1987年5月にシングル「雨色の僕と君」、6月にアルバム『Sherbet』でデビューしました。
僕は昔から雨の曲が好きで、よく「Rain Songs」なるテープを作っては雨の日の憂鬱対策にしていました。そんな雨歌マニアにとって衝撃だったのが、有賀さんの1stアルバム『Sherbet』でした。なんと9曲中5曲が雨の曲だったのです(うち1曲は雪でしたが)。そんな“Mr. Rain Song”こと有賀啓雄で一番好きな曲は、やっぱりこの「雨色の僕と君」になるでしょうか。本人が言うところの“エレクトリック・フォーク”なるみずみずしいサウンドと、片思いの切ない感情を雨の風景に描き出した映像的な歌詞との淡いコントラストが、とても魅惑的な1曲です。
アルバム『Sherbet』では「あと1センチ傘が寄ったら」もすごく好きな曲です。別れが近い男女の切ない思いを、雨の日に海を見に来たという微妙なシチュエーションで描いていて、言ってみれば「雨のウェンズデイ」的名曲。タイトルが乗るサビのポップなメロディが、歌詞の切なさを余計引き立てている気がします。これら有賀さんのレイン・ソングを知って以来、雨の日が随分と救われた気分になりました。
ちなみに2ndアルバムのタイトルが『Umbrella』。「僕の知らない雨が降る」や「Rain Dolphin」など、またしても雨の名曲多し。3rdアルバム『Innocent Days』には「そして夏が始まる」という素晴らしい“晴れソング”が登場しますが、この曲が出来上がった時に有賀さんは「雨が降らなくても、曲が書けた!」と喜んだそうです(笑)。もうすぐ梅雨が明けたら、今年の夏はこの曲でスタートしようと心に決めています。
(↓YouTubeには「雨色の僕と君」が無かったので「あと1センチ傘が寄ったら」をリンクしています)
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