2013.07.31 - Nippon 80s Special
潮騒のメモリー 潮騒のメモリー
天野春子

シングル (1986)

天野春子歌唱による幻のシングル「潮騒のメモリー」が27年の歳月を経て発売されました。

この曲は清純派女優 鈴鹿ひろ美 が主演した1986年の新春映画『潮騒のメモリー』の主題歌で、初主演・デビューシングル。新田恵理の「冬のオペラグラス」や渡辺美里の「My Revolution」とあらそうかたちで、夜のベストヒットテンの1位を獲得しました。「なんてったってアイドル」もまだチャートに残っていた時期なので、色々いそがしかったのではないでしょうか。鈴鹿ブームは止まらず、セカンドシングルの「縦笛の天使」は3週連続の1位。サードシングルの「DON感ガール」は惜しくも1位を逃しましたが、B面の「私を湖畔に連れてって」は翌春の甲子園の入場行進曲に選ばれました。

しかしこの鈴鹿ひろ美のヒットを歌っていたのは鈴鹿ではなく、天野春子。アイドルを目指していた天野が請われてマイクの前に立ち、初見で潮騒のレコーディングを乗り切ったといいます。その事実を知っていたのは、レコーディングスタッフとマネージャーのみ。鈴鹿ひろ美本人にもその事実は知らされず、生の歌番組出演においても徹底した情報管理のもと同時吹き替えが行われたので、鈴鹿自身も自分が歌っていたと信じていたという噂さえあります。現在、静御前や弁護士役で大女優の地位を確立した鈴鹿がアイドル歌謡を歌っていたこと自体記憶の彼方になってしまいましたが、それが影武者であったとは。鈴鹿ひろ美は来生たかおや大滝詠一の曲も歌っていたと思うのですが、誰が歌っていたのでしょう。現在、鈴鹿ひろ美の音源はどれも入手困難で、聴くことができません。

一方の天野春子は残念ながらデビューがかなわず、芸能界を去ることになります。オーディション番組 君だってスターだよ! の1984年8月の放送で、松田聖子の「風立ちぬ」を歌ったという記録があるそうなのですが、どうなったのでしょうか。松田聖子に憧れていた女の子が髪型は聖子カットで、声はキョンキョンで、しかも薬師丸ひろ子の落ち武者(笑い)を???あーーーめんどくせー、ほんとうにめんどくせードラマ。



「潮騒のメモリー」なんて、どこも80年代じゃねーじゃん。70年代じゃん。しかも、なにこんだけ手をかけて、リズムトラック丹念に録ってんじゃねーよ、2010年代にもなって。なんでサビ前で分厚いコーラス入ってんだよ、流麗なストリングスかよ。サビが疾走してるよ。その前のBメロが美しすぎるじゃねーか、タムの6連打かよ。それにしてもヴォーカルはアイドル歌唱の粋が詰まっていると思います。声量音圧、裏声の抜け方、はすっぱさ、こめられた気持ち受け止めさせていただきました(大友さんすみません、キョンキョンにだけ敬語になって)。

作曲の 大友良英さん、Sachiko M さん、お二方がどんな人だか、私はまだよくわかんないんだけど、ミュージシャンのみなさん、今回の音楽劇の仕事に本当に参ってます。ぼくはラッキーにも7/2のパルコ劇場の「あまちゃん サウンドトラック レコ発LIVE」に行けたんですけど、ぼくの席のすぐ後ろに Sachiko M さんが来ていて、ステージの大友さんから紹介されていました。でも Sachiko M さんのすぐ前の席がそこだけぽっかり2席空いてたんだよね。誰が来るはずだったんだろ。アンコールでは「潮騒のメモリー」がビッグバンドのインストで演奏されました。イントロは大友さんの Gibson SG。あの時はまだ謎解きが終わってなかったので、色々困ったでしょうね、大友さん。

さいごに能年ちゃんへ、
あまちゃんの能年玲奈は、ローマの休日のオードリヘップバーンと言っていいのではないでしょうか。だめだめな北三陸の男性陣と一緒に、明日の朝も待っています。

(たかはしかつみ)




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