2013.10.12
Love Vibes Love Vibes
Bootsy's Rubber Band

Stretchin' Out In (1976)

前回、初夏の頃にJB'Sを紹介しましたがあれからまた季節が進んですっかり秋になってしまいました。・・・というわけで、忘れた頃にやってくるファンクと格闘する4回目。
前回は、JBを支えていたミュージシャンとして、JB'SのMaceo ParkerとBootsy Collinsのことを紹介しました。今回はその続きでBootsy Collinsについてもうちょっと掘り下げてみたいと思います。
William "Bootsy" Collins。1951年生まれのベーシスト。JB'sの一員として「Sex Machine」や「Soul Power」はじめとするJBのヒット曲に参加しています。それまでのリズムとは一線を画したビートはこれ以降のソウル・ミュージックに多大なる影響を与えます。
その後、サイケデリック・ムーヴメントに呼応してJB'sを脱退し、兄のPhelps CollinsらとThe House Guestsを結成します。派手なコスチュームに身を固めてロックっぽくサイケっぽく派手なビジュアルで活動していたところ、折しも同じデトロイトで活動を始めて間もないGeorge Clintonに見出されてParliament/Funkadelicに加入します。サウンド面でまさしくPファンクの中心的なメンバーとして貢献する一方で、自らがフロントに立つバンドBootsy's Rubber Bandを結成し並行して活動していきます。

彼こそはJBのファンキーとPファンクの結節点となった人物だったのではないでしょうか。重心の低いサウンドは彼のユニークなベースに負うところが非常に大きく、彼のベース・プレイは今日我々が普段にファンクと呼んでいるサウンドの礎を作ったと言っていいと思います。その特徴は端的に言うならば「打楽器的に」演奏されるベース。時にオート・ワウやディストーションを用いた激しくも陶然としてしまうようなプレイ。
ファンクの持つ様々な要素をはぎ取っていくと、音楽を作り、捧げ、祈り、踊るという土着的な信仰を体現化した、官能的なリズムに行きつくのではないでしょうか。それはアフリカ音楽をルーツとしたアフリカン・アメリカンの記憶のようなものなのかもしれません。
重心の低い彼のベースはそうした土着的なリズムを孕んでいます。

どこか陽気で諧謔性に富んだ彼の音楽には、ブラック・ミュージックが歴史的にさまざまな文化的変容を経てきてなお残している、民族固有の不可欠な要素があるのだと思います。
僕たち東洋人にはなかなか理解の及ばない領域なのかもしれないのですが、何かその一端にでも触れていたいと思いながらファンク・ミュージックに耽溺していくのかもしれません。


今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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