2013.10.20 | ||
The Weight
The Band Music From Big Pink (1968) |
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数日前にたまたま聴いていたFMラジオからこの曲が流れてきて、本当に久しぶりに聴いたのだけどスーッと胸に落ちてきた。秋が深まってきて鉛色の空の下、木々も少し色づいてきて、こういう季節に聴くから深く染み入ってくるのかもしれないなと思いながら聴き入った。
初めてThe Bandの曲を聴いたのは確か高校生の頃だったと思う。でもその当時は幾分背伸びをして聴いていたと思う。もうその当時でも彼らはロックのレジェンドであって、彼らの音楽を聴くことがロック・ファンのひとつのスタイルとしては確立されていたのだから。
その当時、NHK-FMでライブをノンストップでオンエアする番組があった。「キングビスケット・フラワー・アワー」というアメリカのライブ演奏を放送する番組をそのまま放送してくれていて、その中にThe Bandの回があった。これをカセットテープにエアチェックして繰り返し聴いた。
その時に聴いた番組が今はネットで簡単に聴くことができるのだが、そんな時代が来ることは予想だにしなかった当時は失敗しないように慎重にエアチェックしたものだ。とても貴重な番組だったと思う。そもそもレコードにもなっていない音源を聴く機会はそうそうなかったのだ。
でも、当時は何が良くて聴いていたのかよく覚えていない。本当にThe Bandの音楽は読解力が必要なのだ。高校生がしたり顔で背伸びして聴く音楽ではなくて。その当時は多分に分かった気になって聴いていたのだと思う。
そのライブでもこの曲「Weight」は演奏されていた。Robbie Robertsonが書いて"Big Pink"ではJohn Simonがプロデュースしていた。
それこそこのアルバムは何度も何度も聴いたと思う。このアルバムだけでも「Tears Of Rage」であったりBob Dylanの「I Shall Be Released」であったり、彼らの曲には好きな曲はたくさんあるけれど、全ての作品の中で僕にとってのThe Bandはやっぱりこの「Weight」だと思う。
この曲が『イージー・ライダー』に使われていたからというのもあるのだろうけど、かなり陳腐なイメージであっても、日本人の僕がもつアメリカ南部の心象風景と容易に像を切り結ぶことができる曲だからなのだと思う。例えばフォークやカントリーを聴く以上に彼らの音楽の方に強くアメリカを感じる。ほとんどカナダ人のバンドなのに・・・。
とりわけこの「Weight」のスネアの感じであったりアップライトのようなピアノの質感であったりが、こうやってたまにラジオから流れてくると琴線にびんびん触れてくる。もうとっくに彼らの全盛期の歳を越えてしまった今だから少しは読解力がついたのかもしれない。秋に聴くThe Band、悪くない。
今日の1曲