2013.11.02 | ||
5月のスプリンクラー
ヒックスヴィル マイレージ (1999) |
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先日、夜半になっても雨足の激しい日曜日、代々木駅前のライブハウス『Zher The ZOO YOYOGI』で行われたヒックスヴィルのライブに足を運びました。特に、今回のライブは、メンバーの木暮さんがライブの中でおっしゃっていた10数年ぶりのバンド編成のライブということで、ライブハウスはたくさんのお客さんで埋まっていました。また、私にとっても、10数年ぶりのヒックスヴィルのライブをバンド編成で見ることができる幸せに恵まれました。なお、サポートメンバーとしては、デビュー当時からレコーディング他でも参加しているベースの鹿島達也さん、今回彼らからオファーを受けた元カーネーションのドラムスの矢部浩志さんが参加しています。
ヒックスヴィルの魅力は、なんといっても、真城めぐみさんの聴く者を包み込む、包容力のある温かみのある歌唱、それを支える木暮晋也さんと中森泰弘さんのギタープレイとコーラス、そして、かれらの作り出すとてもポップで聴く者を心地よい世界に誘うサウンドにあります。
アメリカ・ミュージックのエッセンスを土台にして、彼らのポップな音楽の感覚で味付けされたヒックスヴィルのサウンドは、ライブでより一層、聴く者に、楽しく、暖かく、伝わってきます。
ライブでは、いままでの3枚のアルバムから彼らの代表曲を再録音したベスト・アルバム『SONG RECYCLE』から、「バイ・バイ・ブルース」、「あたしのSweet Baby」、「こんな晴れた日には」などのほか、新曲の「グローリア」、でんぱ組Inc.が歌っている、かせきさいだぁさんの作詞、メンバーの木暮晋也さんの作曲の「くちづけキボンヌ」のカバーなどが歌われました。
その中で、残念なことに聴くことができなかったのですが、紹介したいのが「5月のスプリンクラー」です。1999年に発表された彼らの3枚目のアルバム『マイレージ』に入っている、前述した「くちづけキボンヌ」とおなじかせきさいだぁさんと木暮晋也さんのコンビの作品です。
ギターのリフのディスコ・ビートにのり、真城さんが軽やかに歌う
『Sayonara』と回るスプリンクラーのイントロから、過去のふっきれないもどかしい恋心を歌われるラブ・ソングといえばいいでしょうか。歌詞の中の「5月の太陽を背にした赤いセスナ」という言葉が印象的です。また、「またいつかね、またいつか」という台詞も切ない気持ちを感じさせます。間奏の中森さんのファズのかかったギターも歌の中のいいアクセントになっています。コーラスの
想い出は微かな音をは発つ
二人黙り込む目線の間
白々しい程光放つ
『Sayonara』と回れスプリンクラーをつい口づさみたくなります。ヒックスヴィルの歌の中でキラー・チューンのひとつと言えるでしょうか。
いつまでも回れスプリンクラー